「どうにでもなれ効果」とは、一度失敗するともっとダメになりやすくなるという心理現象のことです。
たとえば、禁酒をしていたけど、ある日友達と遊んでいる時についつい飲んでしまったとする。
次の日、それに罪悪感を感じ「もうどうにでもなれ!」と禁酒の誓いを破り、ガブガブお酒を飲んでしてしまう…
こんな経験をしたことはありませんか?
このように、我々は、一度の失敗によって罪悪感を抱き、さらに失敗してしまうという悪循環に陥ることがあります。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで本日は、
- どうにでもなれ効果とは
- どうにでもなれ効果を攻略する方法
- いつわりの希望シンドロームとは
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
どうにでもなれ効果とは
一度失敗するともっとダメになりやすくなるという心理現象
どうにでもなれ効果は、トロント大学の心理学者ジャネット・ポリヴィとC・ピーター・ハーマンにより明らかにされました。
どうにでもなれ効果の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- タバコ
- ダイエット
- ブログの毎日更新
例1:タバコ
禁煙を頑張っていたが、友達の「1本くらい吸っても大丈夫でしょ〜」という誘惑に負けて、タバコを吸ってしまったとする。
すると、「うわぁ…吸っちゃった…」と罪悪感を抱き「もうどうにでもなれ!」とタバコをぷかぷか吸ってしまうことがあります。
例2:ダイエット
A子ちゃんは、痩せてキレイになるために、甘い物(ショートケーキ、チョコレート、フレンチトーストなど)を我慢していたとする。
しかし、ランチに行った時に、友達が「おいし〜〜」と甘い物を食べていました。
A子ちゃん、はそれに耐えることができず「やっぱり私も食べる!」ダイエットの誓いを破ってしまいます。
「うわぁ…食べちゃった…」と罪悪感を覚え、「え〜い!どうにでもなれ!」といつまで経ってもダイエットに成功することはできませんでした。
例3:ブログの毎日更新
オータニは、ブログを毎日更新しているのですが、
たとえば、ある日ブログ更新のモチベーションが上がらず「今日は記事を書くのを止めよう…」と更新しませんでした。
すると、次の日に「うわぁ…昨日やっぱり更新しておけばよかった…」と罪悪感と後悔が混ざり合った感情を抱きます。
結果、そこから不定期の更新になってしまうのです。(または、一切更新しない)
どうにでもなれ効果はなぜ発動するのか
でも、なぜこのような現象が起きてしまうの??
結論:罪悪感を埋めようとするから
一度失敗することで、罪悪感(負の感情)を抱き、それを別の誘惑物で埋めようとするからです。
- 失敗
↓ - 罪悪感(負の感情)
↓ - どうにでもなれ効果
↓ - 負の感情を埋める
例:禁煙
たとえば、禁煙に失敗してしまったとする。
すると「吸っちゃった…」と罪悪感を抱きますが、この負の感情を別のもので埋めようとするのです。
それが「タバコ」なんですよね。
脳内の神経伝達物質であるドーパミンが「目の前のタバコをもっと吸ってしまえ!」と過剰に反応します。
すると、その誘惑に屈してしまい、結果「どうにでもなれ!」と思うようになるのです。
「タバコの警告表示」が禁煙者を減らすことに全く貢献しません。
なぜなら、「タバコの警告表示」を見た喫煙者は、さらに恐怖に苛まれ、それを埋めるためにタバコを吸うようになるからです。
どうにでもなれ効果の実験
「どうにでもなれ効果」の提唱者であるトロント大学の心理学者ジャネット・ポリヴィとC・ピーター・ハーマンは、ダイエット中の被験者を対象に実験を行いました。
体重計には、あらかじめ被験者の体重が実際よりも2キロ多めに表示されるように細工しました。
その時、どれくらいの被験者たちがやけ食いをするのか?ということを調べました。
被験者は、落ち込んで自己嫌悪に陥り、憂さ晴らしにやけ食いをするようになってしまったという結果となりました。
つまり、“努力が報われなかった”という負の感情を“食べる”という行為で埋めようとしたわけですね。
どうにでもなれ効果を攻略する方法
では、ここからは「どうにでもなれ効果」を攻略する方法について解説していきます。
方法:自分を許す
何かに失敗した時は、自分を許してあげるようにしましょう。
なぜなら、自己嫌悪などのネガティブな感情が生まれなくなるからです。
実験:ルイジアナ州立大学、デューク大学
ルイジアナ州立大学のクレア・アダムズとデューク大学のマーク・リアリーは、体重に気をつけている若い女性を対象に、ドーナツとお菓子を食べさせるという実験を行いました。
実験者は、参加者の女性たちに、あらかじめ下記の説明を行います。
実験は全部で2つのセクションに別れており、
ひとつは①「食べ物が気分に与える影響」を調べるものでもうひとつは②「色々な味のお菓子の試食」です。
全ての女性にシュガーシロップをかけたドーナッツかチョコレートドーナッツのどちらかを選ばせ、4分以内に食べ終えてもらいます。
また、グラス1杯の水も飲み干すように指示しました。
(お腹を満たすため)
被験者の女性を2つのグループに分けます。
- 罪悪感を和らげるための温かい言葉をかけられたグループ
- 特になんの言葉もかけられないグループ
そして、被験者にはお菓子を試食してもらったのですが、
その時それぞれのグループが、平均でどれくらいの量のお菓子を食べるのか?を調べます。
①のグループでは食べたお菓子の量が平均で28グラムだったのに対し、②では70グラム近くという結果となりました。
このように、罪悪感を感じたままだと「どうにでもなれ効果」が働き、どか食いしてしまう可能性が高くなります。
しかし、慰めの言葉をかけることで、自分を許すことができ、「どうにでもなれ効果」を克服することができるということがわかりました。
「どうにでもなれ効果」と「いつわりの希望シンドローム」
しかし、自分を許すと言っても、ただ「変わろう!」と思うだけでは意味がありません。
むしろ、このように思うことはかなり厄介なことなのです。
なぜなら、人は変わろうと思っただけで満足してしまう性質があるからです。
いつわりの希望シンドローム
「変わろう!」と決断して負の感情を満たし、また失敗して〜というループのこと
いつわりの希望シンドロームは、トロント大学の心理学者ジャネット・ポリヴィとC・ピーター・ハーマンが提唱しました。
例:タバコ
- 失敗
↓ - 罪悪感(負の感情)
↓ - どうにでもなれ効果
↓ - 負の感情を埋める
- 失敗
↓ - 罪悪感(負の感情)
↓ - 「変わろう!」と決断する
↓ - 負の感情を埋める
このように、「変わろう!」と決断するだけで、負の感情を取っ払うことができてしまいます。
「別の自分に生まれ変わったんだ!」と思い込むことで、一時的に気分を高揚させることができるのです。
しかし、実際に自分を変えるための努力をし始めたら、「あら?こんなはずじゃなかったのに…」と挫折してしまいます。
そして、また「変わろう!」と決断することで、負の感情を埋めようとするのです。
上手に自分を許す方法
結論、失敗した後の計画を立てましょう。
なぜなら、「変わろう!」といういつわりの希望シンドロームで終わらなくなるからです。
つまり、失敗の計画をすることで、次のアクションを起こしやすくなるのです。
失敗を計画する5つの手順
- 先延ばしとなり得る要因を考える
- リストアップし、視覚化する
- 環境を整える
- 復旧プランの用意
- 復旧プランの始動
もしも、これらの手順について詳しく知りたい方は、『脳内コントラスティング法|先延ばしを克服する究極のメソッド』を参考にしてください。
まとめ:どうにでもなれ効果
では最後にまとめましょう。
本日は、
- どうにでもなれ効果とは
- どうにでもなれ効果を攻略する方法
- いつわりの希望シンドロームとは
というテーマでブログを執筆しました。
どうにでもなれ効果を知っただけでも、あなたの目標達成率はかなり高まるでしょう。
なぜなら、何かに失敗した時に、「これはどうにでもなれ効果が発動している!」と客観的に判断できるからです。
なので、まずは、どうにでもなれ効果に陥ったら、それを自覚することから始めていきましょう。