アンダードッグ効果(underdog effect)とは、弱い立場の人を応援したくなるという心理現象のことです。
たとえば、「売れに売れているアイドルよりも、全く売れず泥臭く頑張っているアイドルを応援したくなる!」というのはアンダードッグ効果によるものです。
しかし、なぜこのような現象が起こるでしょうか?
というわけで本日は
- アンダードッグ効果とは
- アンダードッグ効果の具体例
- アンダードッグ効果を営業に活用する方法
- アンダードッグ効果をマーケティングに活用する方法
- アンダードッグ効果を恋愛に活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
アンダードッグ効果とは
弱い立場の人を応援したくなるという心理現象
※アンダードッグ効果は、別名「負け犬効果」「判官贔屓(ほうがんびいき)」とも言われたりもします
アンダードッグ効果の由来
実は、アンダードッグ効果の語源は定かではありません。
ただ、一説によると、1948年のアメリカの選挙で使われたということがささやかれています。
アンダードッグ効果の具体例
ではいくつか具体例をみていきましょう。
- 選挙
- スポーツ選手
- YouTuber
例1:選挙
選挙では、劣勢に立たされているものの、必死に頑張る候補者が、最終的に逆転勝利するなんてことがあります。
これは、劣勢ではあるものの、必死に頑張る姿勢に“同情票”を入れる有権者が増えたことによる現象と言えるでしょう。
例2:スポーツ選手
たとえば、格闘技では、“小柄な選手”と“大柄な選手”が試合をした際、小柄の方を応援したくなりますよね。
特に、日本人は小柄な民族なので、海外の選手と戦った際には、かなり応援したくなります。
このように、スポーツでは、もともと不利な方を応援したくなる心理が働くことがあったりします。
例3:YouTuber
最近、YouTube界隈で「ぼっち系」と呼ばれるジャンルが出てきましたが、これはまさにアンダードッグ効果を利用した戦略と言えるでしょう。
たとえば、「大学生になったものの、友達ができず一人っきり…」みたいなコンセプトのYouTuberってめちゃめちゃ応援したくなりますよね。
だから、ライブ配信の際には、スパチャ(投げ銭)などを投げたくなるという心理が働くのです。
アンダードッグ効果はなぜ発動するのか
でも、何でアンダードッグ効果なんていう面白い現象が起こるの??
結論:同情心
我々は、可哀想な対象を見ると、無意識に同情を寄せてしまいます。
例:芸能人の浮気
たとえば、浮気をされた女性芸能人などをテレビで見ると、「なんて可哀想なんだ…」と機械的に感じてしまいますよね?
- 負け犬だと判断する
↓ - 同情する
↓ - 行動レベルで応援する
アンダードッグ効果の実験
では、アンダードッグ効果についての実験を紹介します。
実験:ニール・バハリア博士
ハーバード大学のニール・バハリア博士は、ある2つの架空の会社を181人の学生に紹介します。
- A:情熱を持っているのに業績が悪い会社(情熱○)
- B:なんの経営努力もしていないのに業績が良い会社(業績○)
※これらの会社は、洗剤、ジャケット、自転車のいずれかを販売している会社と設定し、商品の違いで判断させないようにしました
そして、学生たちにどちらの会社の商品を買うのか? を観察しました。
実験の結果、A社を選んだ学生が、B社を選んだ学生よりも多く、7点満点で「5.1:4.1」という結果となりました。
業績の良し悪しは、商品の質に影響を与えると想像するため、普通に考えればB社を選んでもおかしくない条件でした。
しかし、アンダードッグ効果が働き、A社を選択する学生が増えたのはすごいですよね。
アンダードッグ効果のポイント
当たり前の話ですが、ただ負けているからといって、同情票をもらうことができるわけではありません。
実は、あることが伴っていないと、同情票を獲得することはできないのです。
それは・・・
結論:頑張っている姿
他者に必死で頑張っている姿を見せるようにしましょう。
例:同情票がもらえるYouTuber
たとえば、チャンネル登録がなかなか伸びないYouTuberがいたとする。
彼は動画の投稿頻度はまちまちで、動画の内容にもなんの工夫もありません。
そんなYouTuberを応援しようとは思わないですよね?
しかし、「みなさん応援よろしくお願いします!」といつも全力で、毎日動画を撮影し、編集もしっかりしている。
さらに、YouTubeライブの時には、なるべくみんなのコメントを拾っている。
そんなYouTuberを応援したいと思いませんか?
このように、アンダードッグ効果は、「頑張る姿」とセットで本領を発揮するということを忘れないでください。
アンダードッグ効果とバンドワゴン効果
では、ここからはアンダードッグ効果と真逆の心理効果であるバンドワゴン効果について解説していきます。
バンドワゴン効果とは
多数派の意見に従いやすいという心理現象
※バンドワゴン効果は、“勝ち馬効果”とも言われています
バンドワゴン効果は、アンダードッグ効果と真逆と覚えておきましょう
バンドワゴン効果の具体例
先ほどアンダードッグ効果で説明した具体例を見ていきましょう。
- 選挙
- スポーツ選手
- YouTuber
例1:選挙
選挙では、優勢に立っている候補者に投票をいれることがあります。
なぜなら、「人気の候補者であれば、間違いない!」と錯覚してしまうからです。
このように、候補者をしっかり検討せずに、投票してしまうなんてことがあったりします。
例2:スポーツ選手
格闘技を例にすると、連勝を重ね、カリスマ性のある選手を応援したくなります。
たとえば、総合格闘技であればエメリヤーエンコ・ヒョードル選手が有名ですね。
彼は、「10年間無敗」という功績があり、総合格闘技で彼を応援していなかった人はいなかったのではないでしょうか?
例3:YouTuber
今では人気YouTuberがたくさんいます。
たとえば、「ヒカキン」「ヒカル」「ラファエル」「エミリン」「東海オンエアー」など。
もちろん、彼らのチャンネルは独自性があって面白いのですが、
きっとチャンネル登録している人たちの中には、「とりあえず流行っているから登録しておこう〜」なんて人もいるのではないでしょうか?
アナウンスメント効果
アンダードッグ効果とバンドワゴン効果の総称
アナウンスメント(Announcement)には、「発表・声明」などの意味があります。
つまり、選挙中のテレビなどの「優勢・劣勢」の報道により、結果が左右されるという意味で、このような名前が付けられました。
アンダードッグ効果を営業に活用する方法
では、ここからはアンダードッグ効果を営業に活用する方法について解説します。
営業にアンダードッグ効果を取り入れることで、たとえ新人営業マンであっても、契約を獲得することができるようになります
方法:与えまくる
営業をはじめたばかりであれば、できることは何でもするようにしましょう。
すると、その情熱が伝わって、同情契約をしてくれるかもしれません。
重要:営業の目的を忘れるな
なので、顧客が問題を抱えていないのに、同情契約をもらうのはやめましょう。
たとえば、病気ではない顧客から薬の契約をもらったとしても、それは顧客のためにはなりません。
そのような、“同情”という一点だけの契約は、すぐに契約は切られてしまうのがオチです。
営業で使える心理学
アンダードッグ効果をマーケティングに活用する方法
では、ここからはアンダードッグ効果をマーケティングに活用する方法について解説します。
- 努力を伝える
- 未熟さをアピールする
方法1:努力を伝える
たとえば、パンを販売している会社であれば、ホームページにパンの調理工程を画像や動画で掲載するようにしましょう。
ちょっと、パンの粉で汚れてしまった手を一緒に写した画像などを掲載すれば、より努力を伝えることができます。
方法2:未熟さをアピールする
たとえば、有料noteを販売する際に、
「まだ、ビジネスをスタートさせて3ヶ月ほどですが、すでに10本も購入していただけました!まだまだたくさんの人たちに届けたいと思っているので、拡散お願いします!」
などと伝えるのです。
この時に、土下座の写真などを一緒に載せるといいですね!
もちろん、自分の専門領域では未熟さをアピールしないようにしましょう。
たとえば、恋愛系の有料noteを販売していて、恋愛のノウハウが未熟だったら、消費者も購入しようと思いませんからね。
マーケティングで使える心理学
アンダードッグ効果を恋愛に活用する方法
では、ここからはアンダードッグ効果を恋愛に活用する方法について解説します。
実は、アンダードッグ効果は恋愛でよく使われる心理テクなんですよね
方法:弱さを見せる
「男性は弱さを見せるな!」なんて思っている人がいますが、一概にそうともいえないところがあります。
なぜなら、強さをアピールされまくると、鬱陶しいと感じてしまうからです。
たとえば、自慢話。
人の自慢話なんてそう長く聞いてられないですよね?
ポイント1:プライドを捨てろ
もちろん、強さも程よくアピールする分には全く問題無いのですが、意識してもらいたのが、「弱さ」をさらけ出すことです。
特に、普段しっかりしていると思われている場合は効果的です。
なぜなら、ギャップ萌え(ゲイン・ロス効果)を使うことができるからです。
ギャップ萌えのこと
たとえば、喧嘩ばかりしている不良が、電車で席を譲っていたりするとキュンとしますよね?
このように、たまに弱さを見せることで、異性をキュン死させることができるようになるのです。
ポイント2:弱さを見せると、弱さを見せてくれる
弱さを見せることで、他者からも弱さを開示してくれる可能性が高まります。
なぜなら、返報性の原理という「お返しの法則」が働くからです。
実は、人とコミュニケーションをとるのが苦手なんですよね…
え、本当ですか?実は、私もそうなんですよね…
このように、“普段人には共有しないような情報”を共有させることで、それがさらに信頼を強化します。
もしも、このカラクリについて詳しく知りたい方は、『自己開示とは|好意を持たれる10のネタを紹介』を参考にしてください。
まとめ:アンダードッグ効果
では最後にまとめましょう。
本日は、
- アンダードッグ効果とは
- アンダードッグ効果の具体例
- アンダードッグ効果を営業に活用する方法
- アンダードッグ効果をマーケティングに活用する方法
- アンダードッグ効果を恋愛に活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
立場が弱いからといって、勝負が決まっているわけではありません。
立場が弱いなりの戦い方があるのです。
なので、あなたが現在弱い立場なのであれば、積極的にアンダードッグ効果を使っていきましょう。