ハウスマネー効果(House money effect)とは、コストをかけずに得たお金に無頓着になるという心理現象のことです。
たとえば、あなたはどちらの100万円を大切に使おうとするでしょうか?
- 貯めた100万円
- 拾った100万円
結論、多くの人が前者を選択したのではないでしょうか?
このように、我々は、予想外に手にしたお金をぞんざいに扱う傾向があります。
しかし、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?
というわけで本日は、
- ハウスマネー効果とは
- ハウスマネー効果の具体例
- ハウスマネー効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
ハウスマネー効果とは
コストをかけずに得たお金に無頓着になるという心理現象
ハウスマネー効果は、経済学者のリチャード・セイラー氏により提唱された現象です。
※コスト=労力・時間のこと
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ハウスマネー効果の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- 宝くじ
- 親の遺産
- 保険金
例1:宝くじ
「高額の宝くじに当選した人は、以前よりも貧しくなる…」
こんなセリフを聞いたことはありませんか?
これは、下記のようなプロセスを経るからです。
- 宝くじに当たる
↓ - お金を使いまくる(ハウスマネー効果)
↓ - 使いまくることが習慣になる
↓ - お金がなくなっても、習慣を断ち切れない
↓ - 借金をする
↓ - 貧しくなる…
例2:親の遺産
親の遺産を何かの時に残しておくことってほとんどありません。
なぜなら、コストをかけずに得た臨時収入だからです。
例3:保険金
オータニには、交通事故に遭って多額の保険金をもらった友人がいます。
(彼の左の腕は傷だらけです)
しかし、彼はその保険金に甘んじて、家賃20万円の家に住み、高級車を買い、贅沢な生活を送ったそうです。
結果、1年足らずで、借金をするようになり、家賃が低い家に引越し、高級車も売り払うこととなりました。
ハウスマネー効果の実験
では、ハウスマネー効果の実験を1つ紹介しましょう。
実験:経済学者リチャード・セイラー
被験者の学生を2つのグループに分けました。
グループ1
「たったいま30ドルが手に入った」と仮定させます。
そして、次のようなコイン投げに参加するかどうかを尋ねました。
- 表が出たら、9ドルもらえる
- 裏が出たら、9ドル失う
結果、70%の学生が、コイン投げに参加しました。
グループ2
グループ1と違って、お金を与えるということをしませんでした。
しかし、確実に30ドルをもらうか、下記の内容のコイン投げに参加するかを選ばせます。
- 表が出たら、21ドルもらえる(ー9ドル)
- 裏が出たら、39ドルもらえる(+9ドル)
結果、43%の学生しかコイン投げに参加しませんでした。
考察
グループ1とグループ2では、もらえるお金も失うお金にも差がありませんでした。
(どちらのグループも±9ドルなので)
にも関わらず、50ドルをもらったと仮定させたグループ1の方が、リスクに対して積極的になることができたのです。
これは、ハウスマネー効果の影響と言えるでしょう。
ハウスマネー効果と関連のある心理学
- サンクコスト効果
- メンタルアカウンティング
心理学1:サンクコスト効果
コスト(お金・時間・労力)をかけた対象の価値を高く見積もるという心理現象
例:ホストに貢ぐ女性
たとえば、数回ホストにお金を貢いでしまうと、その罠から抜けられなくなります。
もっというと、かけたらかけた分だけ、どんどん抜け出せなくなります。
なぜなら、お金というコストをかけたことにより、ホストの価値が高いと錯覚してしまうからです。
きっと「なんで借金してまでも、ホストに貢ぐの?バカだなぁ…」と呆れている人もいるでしょう。
しかし、これはサンクコスト効果という錯覚に陥っているので、仕方がないんですよね。
これは、ハウスマネー効果にも同じようなことが言えます。
「貯めたお金」の場合は、「拾ったお金」と比べると、それだけ多くのコスト(労力・時間)を投下しているため、大切に使おうとするのです。
心理学2:メンタル・アカウンティング
人がお金を扱う際に、無意識にそれを心の中で勘定してしまうという心理現象
例:財布の中のお金
たとえば、財布の中に10万円入っている時の方が、5,000円入っている時よりも、消費行動を起こしやすくなります。
なぜなら、何かを購入する際に、10万円の時の方が心理的ダメージが少ないからです。
これって、面白いですよね?
なぜなら、たとえば同じ3,000円の商品を購入するとしても、10万円の時の方が積極的に購入しようと思えるからです。
これが「心の会計」です。
これは、ハウスマネー効果にも同じようなことが言えます。
「貯めた10万円」も「拾った10万円」も同じ10万円なのに、心の会計次第で扱い方が大きく変わってしまうんですよね。
ハウスマネー効果をマーケティングに活用する方法
では、ハウスマネー効果をマーケティングに活用する方法について解説します。
方法.お金を贈呈する
まずは、お金を与えましょう。(デジタル形式が好ましい)
なぜなら、先にお金を与えることで、それ以上の消費を行うようになるからです。
例:バイナリーオプション
FXのような投資
買った時よりも上がっていたら勝ち、下がっていたら負けという投資法
バイナリーオプションの口座を開設したら、キャッシュバックをもらえることが多々あります。
(オンラインカジノなどでも)
これは、ハウスマネー効果を利用した戦略と言えるでしょう。
ハイローオーストラリア
『ハイローオーストラリア』という口座を開設すると、5,000円もキャッシュバックが受けれるようですね。
しかし、多くの人たちは、5,000円を使い切ってしまいます。
(トレードスキルがないから)
結果、自分のお金を口座に送金して、それを使い始めるのです。
もちろん、送金したお金も全部溶かしてしまうので、マイナスで終わってしまうという結果に。
まとめ:ハウスマネー効果
では、最後にまとめましょう。
本日は、
- ハウスマネー効果とは
- ハウスマネー効果の具体例
- ハウスマネー効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
我々は、予期せず得たお金はぞんざいに扱うようになります。
なので、もしも、予期せぬお金を手にすることがあれば注意です。
その時は、この記事の内容を思い出すようにしましょう。