演繹法・帰納法ってなに?
問題解決力を高めたい…
推論力を高めたい…
こんな疑問や悩みを抱えていないでしょうか?
推論力は、現代では非常に大切な力となってきています。
というのも、現代は「VUCAの時代」と言われているからです。
- V=Volatility(変動性)
- U=Uncertainty(不確実性)
- C=Complexity(複雑性)
- A=Ambiguity(曖昧性)
つまり、“企業の行く末”や“個人の行く末”などの未来が読みにくい時代となっているのです。
では、こんな時代に必要な力とはなんなのでしょうか?
結論、「推論力」です。
物事をロジカルに捉え、推論することで、未来の確実性を高めることができるようになります。
たとえば、「現代はサービスの時代だから、プログラミングスキルを学んでおこう!」など。
このように、時代にあった選択をすることで、会社としても個人としても、安定した未来を実現することができるようになるのです。
では、どうすれば、そのような推論力を高めることができるようになるのでしょうか?
結論、それが本日のテーマともなっている“演繹法”と“帰納法”なのです。
というわけで本日は、
- 演繹法とは
- 演繹法の具体例
- 演繹法の頭の使い方
- 帰納法とは
- 帰納法の具体例
- 帰納法の頭の使い方
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
演繹法とは
大前提となるルール・理論に物事を当てはめて結論を導き出す推論法
演繹法は、フランスの哲学者であるルネ・デカルト(1596~1650)によって発展させられたと言われています。
演繹法は、「演繹的推論」や「三段論法」とも呼ばれています
演繹法は、「抽象→具体」というというイメージを持っておくといいでしょう。
例1:重力
- 大前提=物体は下に落ちる
↓ - 小前提=りんごが下に落ちた
↓ - 導かれる結論=本も落ちるのでは?
例2:軽犯罪
- 大前提=交番が多い地域では、軽犯罪が多い傾向がある
↓ - 小前提=実際に交番が多い地域で空き巣被害に遭った
↓ - 導かれる結論=今後も軽犯罪に遭うのでは?
例3:YouTube
- 大前提=ここ3年間でYouTubeに参入する企業が3倍にも増えた
↓ - 小前提=YouTubeによって集客力が5倍になった企業がある
↓ - 導かれる結論=YouTubeをスタートした方がいいのでは?
演繹法の留意点
- 大前提に注意する
留意点1:大前提に注意する
演繹法を用いる時は、大前提の真偽を確かめるようにしましょう。
なぜなら、大前提が謝っていたら、正しい結論を導き出すことができないからです。
例:親の年収と学力
たとえば、下記のような場合はどうでしょうか?
- 大前提=東大入学者の親の平均年収は400万円だ
(実際の平均年収は800万円だそう)
↓ - 小前提=東大に入学したAちゃんの親の年収は1,000万円だ
↓ - 導かれる結論=学力と年収には相関関係はない(?)
実際は、親の年収と学力には相関関係があるということがわかっています。
教育にかけるお金があるか?ないか?が大きな影響を与えているそう
このように、大前提が間違っていると、導かれる結論も間違ってしまうので、しっかりとしたルール・データ・理論を拾ってくるようにしましょう。
演繹法の頭の使い方
では、ここからは、どういう頭の使い方をすれば効果的に演繹法を使いこなすことができるのか?を解説していきますね。
- 大前提を明確にする
↓ - 目の前の小前提に大前提を当てはめる
↓ - 結論を導き出す
手順1:大前提を明確にする
大前提とは、事実やルール、理論などのことです。
数が増えれば増えるほど、物事は平均へ近づく(大数の法則)
こうした事実、ルール、理論などは、普段の学習から習得するようにしましょう
手順2:目の前の小前提に大前提を当てはめる
次に、目の前の事象(小前提)に、先程明確にした大前提を当てはめてみましょう。
今回のミーティングは少数である(目の前の事象)
手順3:結論を導き出す
最後に、そこから導き出せる結論を出しましょう。
今回のミーティングでは、エッジの効いた意見が飛び交うだろう
帰納法とは
複数の事実から共通点を発見し、結論を導き出す推論法
帰納法は、イギリスの哲学者フランシス・ベーコン(1961~1626)によって発展させられたと言われています。
帰納法は、「具体→抽象」というというイメージを持っておくといいでしょう。
演繹法よりは簡単な推論法ですよ!
例1:重力
- りんごは下に落ちる(事象A)
- カップは下に落ちる(事象B)
- 財布は下に落ちる(事象C)
↓ - 物体は落ちる(共通点)
↓ - 本も落下するだろう(結論)
例2:読書と年収
- 年収800万円のAさんは毎日読書をする(事象A)
- 年収1000万円のBさんは毎日読書をする(事象B)
- 年収700万円のCさんは毎日読書をする(事象C)
↓ - 毎日勉強している人は、年収が高い(共通点)
↓ - 毎日勉強すれば、年収が上がるだろう!(結論)
例3:収益性の高い会社
- ハーゲンダッツは収益性が高い(事象A)
- amazonは収益性が高い(事象B)
- JINSは収益性が高い(事象C)
↓ - これらは新たな市場を創造した会社(共通点)
↓ - 新たな市場を開拓すれば、収益性が上がるだろう!(結論)
帰納法の留意点
- 事実の偏りに注意
- 共通点の飛躍に注意
- 結論の飛躍に注意
留意点1:事実の偏りに注意
集めた事実に偏りがないように注意しましょう。
なぜなら、集めた事実に偏りがあると、ルールや法則を導き出すことができないからです。
例:読書と年収
- 年収800万円のAさんは毎日読書をする(事象A)
- 年収1000万円のBさんは毎日読書をする(事象B)
- 年収700万円のCさんは毎日読書をする(事象C)
↓ - 毎日勉強している人は、年収が高い(共通点)
↓ - 毎日勉強すれば年収が上がるだろう!(結論)
しかし、新たに下記のような事実が出てきたらどうでしょうか?
- 年収800万円のDさんは読書をしない(事象D)
- 年収1000万円のEさんは読書をしない(事象E)
- 年収700万円のFさんは読書をしない(事象F)
すると、前述した結論がおかしくなりますよね?
なので、常に「選んだ事実に偏りはないか?」を確認するようにしましょう。
留意点2:共通点の飛躍に注意
共通点の飛躍とは、それぞれの事象の共通点を恣意的に解釈するということです。
例:読書と年収
- 年収800万円のAさんは毎日読書をする(事象A)
- 年収1000万円のBさんは毎日読書をする(事象B)
- 年収700万円のCさんは毎日読書をする(事象C)
↓ - 毎日勉強している人は、豊な生活を送っている(共通点)
↓ - 毎日勉強すれば、大金持ちになれるだろう!(結論)
見てもらえば分かる通り、彼らの年収が平均以上だからといって、豊な生活を送っているとは限らないですよね?
このように、共通点を抽出する際に、歪んだ解釈をしてしまうと、謝った結論が導き出されることになってしまいます。
なので、事実と解釈を混同しないように気をつけましょう。
留意点3:結論の飛躍に注意
結論の飛躍とは、共通点から導かれる結論を恣意的に解釈するということです。
例:読書と年収
- 年収800万円のAさんは毎日読書をする(事象A)
- 年収1000万円のBさんは毎日読書をする(事象B)
- 年収700万円のCさんは毎日読書をする(事象C)
↓ - 毎日勉強している人は、年収が高い(共通点)
↓ - 毎日勉強すれば、大富豪になれる(結論)
見てもらえば分かる通り、毎日勉強すれば、所得は上がるかもしれませんが、大富豪になれるかは分からないですよね?
このように、結論部分を飛躍させてしまうと、せっかくのプロセスが全て台無しになってしまいます。
なので、「注意点2」と同様に、事実と解釈を混同しないように気をつけましょう。
帰納法の頭の使い方
では、ここからは、どういう頭の使い方をすれば効果的に帰納法を使いこなすことができるのか?を解説していきますね。
- 様々な事実に気づく
↓ - 共通点を見つける
↓ - 結論を見いだす
手順1:様々な事実に気づく
帰納法は、様々な事実を観察するところからスタートします。
なので、普段からあらゆる対象を意識的に観察するようにしましょう。
ここで、観察する時のポイントを2つ紹介しておきますね。
- 焦点を絞る
- 常識を疑う
ポイント1:焦点を絞る
観察する時のポイントは1つに絞るようにしましょう。
なぜなら、我々は普段から意識している情報が無意識に認識されるようにできているからです。
これをカクテルパーティー効果といいます。
たとえば、オータニの場合、心理学をベースにした営業戦略、マーケティング戦略をお伝えしているのですが、
カフェなどで仕事をしている時に、隣の席で心理学の会話が聞こえてくると、それが嫌でも耳に入ってきたりします。
このように、あなたの興味関心があるテーマを絞り込むことで、日々の中でそのテーマの情報が入ってくるようになるのです。
ポイント2:常識を疑う
対象を「常識」として捉えることで、それらを思考することをスルーしてしまうことになります。
なので、大切なことは「常識などない!」と普段から考えることです。
たとえば、“馬車”を常識としてスルーしていたら、“車”は存在していなかったでしょう。
他にも、「空なんて飛べるわけがない!」と思っていたら、“飛行機”という乗り物は存在していないでしょう。
このように、新しい発見は常識を疑うところからスタートしたりするので、普段から目を光らせるようにしましょう。
手順2:共通点を見つける
いくつかの事実を捉えたら、次はその共通点を発見しましょう。
共通点の発見方法は大きく分けて2つ存在します。
- 直接的帰納法
- 間接的帰納法
方法1:直接的帰納法
直接的に観察できる事実を共通点とする帰納法のこと
直接的帰納法はオータニの造語です
- 年収800万円のAさんは毎日読書をする(事象A)
- 年収1000万円のBさんは毎日読書をする(事象B)
- 年収700万円のCさんは毎日読書をする(事象C)
この場合、共通点を直接的に観察することができますよね?
これを直接的帰納法といいます。
方法2:間接的機能法
間接的にしか導き出せない事実を共通点とする帰納法のこと
間接的帰納法もオータニの造語です
- ハーゲンダッツは収益性が高い(事象A)
- amazonは収益性が高い(事象B)
- JINSは収益性が高い(事象C)
この場合、ハーゲンダッツ、amazon、JINSの共通点が直接描かれていないですよね?
そんな時は、それぞれについて調べ、共通点を探し出さなければなりません。
しっかり調べると、これらの共通点は「新しい市場を創造した会社」だということがわかります。
手順3:結論を見いだす
次に、共通点から得られる結論を導き出しましょう。
例:読書と年収
- 年収800万円のAさんは毎日読書をする(事象A)
- 年収1000万円のBさんは毎日読書をする(事象B)
- 年収700万円のCさんは毎日読書をする(事象C)
↓ - 毎日勉強している人は、年収が高い(共通点)
↓ - 毎日勉強すれば年収が上がるだろう!(結論)
もちろん、この結論に至ったからといって、“本を読む”ということに固執しなくてもOKです。
というのも、年収を上げるうえで大切なことは“本を読むこと”ではなく、“知識を仕入れること”だからです。
なので、無料でブログや動画など、学ぶ媒体はなんでもOKということが言えますね。
まとめ:演繹法 帰納法
では、最後にまとめましょう。
本日は、
- 演繹法とは
- 演繹法の具体例
- 演繹法の頭の使い方
- 帰納法とは
- 帰納法の具体例
- 帰納法の頭の使い方
というテーマでブログを執筆しました。
演繹法も帰納法も推論力を高める上では欠かせない推論法になります。
なので、なるべく確実性の高い選択をしたいという方は、これら2つの推論法はマスターするようにしましょう。