シャーデンフロイデ(Schadenfreude)とは、他人の不幸を喜ぶという感情のことです。
たとえば、こんな噂話を聞いたら、あなたはどのように反応するでしょうか?
きっと、ちょっと嬉しい気持ちになるのではないでしょうか?
しかし、一方で、こんな噂話だったらどうでしょうか?
学生時代、いじめっ子だったAが、現在起業して大成功したらしい!
きっと、悔しさや劣等感を感じるでしょう。
このように、我々は「他人の不幸は蜜の味」と感じてしまう傾向があります。
しかし、なぜ我々は、他人の不幸を喜ぶ傾向があるのでしょうか?
さらに、他者の不幸に喜びを感じることは、人間的に下劣だからなのでしょうか?
というわけで本日は、
- シャーデンフロイデとは
- シャーデンフロイデの具体例
- シャーデンフロイデの実験
- シャーデンフロイデはなぜ発動するのか?
- シャーデンフロイデから脱却する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
シャーデンフロイデとは
他人の不幸を喜ぶという感情のこと
シャーデンフロイデ(Schadenfreude)は、ドイツ語で「Schaden(不幸、損失、害)」と「freude(喜び)」を合成した言葉のようです。
もしも、シャーデンフロイデについて詳しく知りたい方は、『シャーデンフロイデ 他人を引きずり下ろす快感』を参考にしてください。
\\おすすめ図書//
シャーデンフロイデの具体例
では、いくつか具体例を紹介しますね。
例1:他者の不幸
たとえば、ある日、バスケットボールでいつもスタートメンバーのAくんが足を挫いて、試合に出れなくなってしまいました。
すると、そのことを悲しむAくんを尻目に、我々は反射的に「よし!」と感じてしまいます。
我々は本当に酷い生き物です。。。
これは、スポーツ、勉強、ビジネスなどあらゆる場面で起こる現象です。
例2:他者の幸福
たとえば、友達のB子ちゃんにイケメンの彼氏ができました。
それを聞いたあなたは、羨ましさのあまり「なんとしてでも引きずり落としたい!」と感じます。
そして、B子ちゃんの彼氏と接触し、「実は、B子ちゃんって、すぐに人の悪口を言ったりする子なんだよねぇ〜」などと吹聴したりしてしまうのです。。。
このように、我々は幸福を手にした他者を見ると、「なんとしてでも引きずり下ろしたい!」と感じるのです。
シャーデンフロイデの実験
しかし、我々は他者の不幸に喜びを感じるような非道な生き物なのでしょうか?
というわけで、ここからはシャーデンフロイデを証明した実験を紹介します。
実験:高橋英彦 博士
放射線医学総合研究所にて、高橋英彦博士は、平均年齢22歳の男女19人を対象にした実験を行いました。
セクション1
まず、被験者たちに「かつての同級生たちが社会的に成功して羨ましい生活を送っているシーン」を想像してもらいました。
すると、前帯状皮質(不安と結びついた脳)が活性化するという結果となりました。
セクション2
次に、被験者たちに「その羨むべき同級生が、不慮の事故や相手の浮気で不幸に陥ったシーン」を想像してもらいます。
すると、前帯状皮質はなりを潜め、その代わりに側坐核(快楽と結びついた脳)が活性化していたのです。
実験のまとめ
このように、他者の不幸を喜ぶことは、あなたが醜い存在だからというわけではなく、誰しも平等に持った本能だということがわかります。
なので、他者の不幸を喜んだ際、いちいち「私はなんて性格が悪いんだ…」などと考える必要はないのです。
シャーデンフロイデと「嫉妬・劣等感」
「嫉妬・劣等感」という感情は、「不安」という感情だということが分かっています。
つまり、我々は、他者の幸福に不安を感じているのです。
(その理由は後ほど解説しますね)
実験:フリードリチ
フリードリチは、16~32歳までの女性18名を対象に実験を行いましました。
まず、フリードリチは、モデルやインテリアデザインの写真を見せて、自分自身と比較するように指示しました。
次に、その時の彼女たちの脳をMRI(脳のどの部位が活性化しているかを調べる機械)で記録します。
実験の結果
すると、モデルの身体を見た時に、前帯状皮質と扁桃体という脳部位が強く反応するということがわかりました。
これらの脳は、不安を感じた時などに活性化する脳部位です。
我々は「不安」と「嫉妬・劣等感」を別の言葉を使って表現していますが、脳科学的に見るとこれらは一緒の感情のようですね。
シャーデンフロイデとオキシトシン
では、ここからは神経伝達物質(脳内物質)に着目しながら、シャーデンフロイデを解説していきますね。
オキシトシンとは
愛着を促進させる脳内ホルモン
オキシトシンは、愛着を感じる相手と接触した時などに分泌されます。
オキシトシンと繁殖
セックスをすると、オキシトシンが分泌されます。
なぜなら、対象との繁殖回数を増やし、繁殖可能性を高めることができるからです。
つまり、オキシトシンのおかげで、共同体を大きくすることができたと言えるでしょう。
オキシトシンと生存
セックスをすることで、その場所にも愛着を持つようになります。
なぜなら、セックスができる場所は、安全な場所だからです。
(危険な場所でセックスしないですよね?)
つまり、セックスができた安全な場所に土着するようになるので、生存確率を上げることができるのです。
オキシトシンは排他的にする
逆に、オキシトシンは、自分に悪影響となる対象を遠ざけようとします。
たとえば、愛着を持った土地を汚そうとする人たちが現れると、それをなんとしてでも阻止しようとします。
つまり、オキシトシンによって、他者を引きずり下ろそうとするシャーデンフロイデが発動しているのです。
このように、脳内ホルモン的にも、シャーデンフロイデは仕方がない現象ということが言えるでしょう。
なぜシャーデンフロイデは発動するのか
しかし、なぜシャーデンフロイデなんていう汚らわしい感情が我々の中にインストールされているのでしょうか?
結論:必要な感情だったから
実は、シャーデンフロイデは、生存戦略として必要な感情だったのです。
例:サバンナ時代
たとえば、共同体の中に、不当に食べ物を得たり、繁殖をしたりする人間がいたとする。
すると、それ以外の人たちは、それらの恩恵を受けられなくなるので、共同体が全滅してしまう危険性が生まれてきます。
だから、シャーデンフロイデの力を借りて、「あいつを引きずり下ろそう!」と感じ、不当に恩恵を受けた人間を排除しようとするのです。
つまり、シャーデンフロイデは、共同体の存続に貢献する感情と言えるでしょう。
シャーデンフロイデがなければ、我々は現代を生きてはいないかもしれませんよ?
シャーデンフロイデから脱却する方法
しかし、とはいうものの、シャーデンフロイデに翻弄されると、他者に迷惑をかけることにも繋がります。
なので、精神レベルでは問題ないのですが、行動レベルでは損をしてしまう心理傾向と言えるでしょう。
では、どうすれば、シャーデンフロイデの罠から抜け出すことができるのでしょうか?
結論:自分のメリットを考える
実は、他者を引きずり下ろしても、1ミリの得もないんですよね。
(もちろん、相対的にあなたの価値は高まるかもしれませんが、あなた自身は何も変わっていません)
例:スポーツ
たとえば、サッカー業界でライバルをイジメによって陥れても、あなたのサッカーレベルが上がることはないですよね?
仮に、ライバルを追い出すことに成功したとしても、また別のライベルが現れ、あなたはまた同じことを繰り返すでしょう。
しかし、それでもあなたのサッカーレベルは上がりません。。。
つまり、他者を引きずり下ろそうとする行為には、1ミリのメリットもないのです。
例:アンチコメントは無能の所業
これは現代でのアンチコメントにも同じようなことが言えます。
アンチコメントの多くは、シャーデンフロイデにより現象と言えるでしょう。
なぜなら、そこには嫉妬や劣等感というネガティブな感情が隠れているからです。
たとえば、「なんであんなヤツが成功できるんだ!」「私もあんな生活を送りたい!」など。
もちろん、このようなアンチコメントは全て無能のやることです。
というのも、アンチコメントをしたことで、その人のレベルは1ミリも上がらないからです。
(多少、文章力は鍛えられるかも・・・笑)
つまり、他者の評判を下げることに時間を費やしている人たちは、「自分のメリットを理性的に考えることができない愚か者」なのです。
なので、アンチコメントをしている人たちは、まずそのことを理性的に考えて見ることをオススメします。
\\バイアスを学ぶならこれ!//
まとめ:シャーデンフロイデとは
では、最後にまとめましょう。
本日は、
- シャーデンフロイデとは
- シャーデンフロイデの具体例
- シャーデンフロイデの実験
- シャーデンフロイデはなぜ発動するのか?
- シャーデンフロイデから脱却する方法
というテーマでブログを執筆しました。
シャーデンフロイデは、人間が本能として持っている感情です。だから、他者の不幸を喜んでいる自分にショックを受ける必要はありません。
ただ、これが行動レベルに落とし込まれてしまうと、問題となります。なので、その場合は、理性的な自分となって、自分のレベル上げを行うようにしましょう。
学生時代、いじめっ子だったAが、現在借金地獄でやばいらしい。。。