ザイアンス効果とは、ある対象への接触回数が増えると、好意レベルが高まる心理現象のことです。
たとえば、最初は「怖い…」と思っていた人も、繰り返し会っていくうちに仲良くなったりした経験はありませんか。他にも、最初は不快に感じていたテレビCMも、繰り返し接していくうちに慣れたなんてこともありませんか。
このように、我々には、特定の対象との接触回数が増えると、その対象に好意を寄せるという傾向があります。
しかし、なぜこのような現象が起きるでしょうか。この記事では、ザイアンス効果が発動する理由、また営業やマーケティングに活用するための方法について解説していきます。
というわけで本日は、
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
ザイアンス効果とは
ある対象への接触回数が増えると、好意レベルが高まる心理現象
ザイアンス効果(Zajonc effect)は、人々が繰り返し接触したものに対して、好意的な評価や好みを持ちやすくなる現象を指します。この効果は、1960年代にロバート・ザイアンス(Robert Zajonc)によって初めて研究され、多くの実験で確認されています。ザイアンス効果は、別名「単純接触効果」としても知られています。
ザイアンス効果は、人々が新しいものや未知のものに対して不安を感じることが一般的であるため、繰り返し接触することでその不安が減少し、好意的な評価が生じやすくなると考えられています。また、繰り返し接触することで、その対象に対する認知的な処理が容易になり、人々はそれに対して好意的な評価を持ちやすくなるとも考えられています。
ザイアンス効果の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- 広告とマーケティング
- 音楽
- 人間関係
事例1:広告とマーケティング
テレビ、ラジオ、インターネットなどで繰り返し見聞きする広告は、消費者がその商品やブランドに対して好意的な印象を持つように働きかけます。ザイアンス効果を利用したマーケティング戦略では、商品やサービスが消費者にとって馴染み深くなるよう、適度な頻度で繰り返し露出させることが重要です。
事例2:音楽
新しい曲やアーティストに最初は抵抗を感じることがありますが、繰り返し聞くことで次第にその音楽を好むようになることがよくあります。この現象は、ザイアンス効果によって説明されます。繰り返し聞くことで、曲のメロディーやリズムが親しみやすくなり、音楽への好感度が上がります。
事例3:人間関係
新しい人間関係や友人・知人との交流においても、ザイアンス効果が働くことがあります。最初は他人に対して警戒心を持っていることが一般的ですが、繰り返し会うことで相手に対する不安が減少し、友情や親しみを感じるようになります。また、新しい環境(学校や職場など)に慣れる過程で、ザイアンス効果が人間関係の構築に役立ちます。
なぜザイアンス効果は発動するのか
ここからは、ザイアンス効果が発動する理由を脳科学的な側面からお伝えしていきます。
結論から言うと、ザイアンス効果は、知覚処理流暢性の誤帰属が深く関わっているとされています。文字だけで見ると少し難しいと思うので、単語で区切って解説します。
まず、知覚とは視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚などで外界のものを捉えることを指します。流暢性とは、スムーズさのことですね。次に、誤帰属は、真の原因でないことを原因だとする現象のことです。なんとなく用語の整理だけでも出来たでしょうか。では、次に、ザイアンス効果と知覚的処理流暢性の誤帰属の関係を簡単に解説していきます。
たとえば、1回目の接触の時は、顔、名前、職業、趣味など、とにかく覚えることが多いですよね。つまり、1回の接触では、それだけ多くの知覚処理に負担がかかってしまうわけです。ではこれを脳はどう捉えるのでしょうか。結論、嫌悪感だと感じるわけです。これが誤帰属ですね。つまり、”知覚的処理の流暢性が悪い”ということを原因にして、”嫌悪”という感情が生起されたわけです。
しかし、2回目、3回目と接触回数を増やしていくことで、覚えなければいけない事柄が減って行きます。つまり、知覚的処理が流暢になっていくわけです。なので、相手といる時間に居心地の良さを感じるようになるわけです。
もしかしたら、ちょっと難しい話をしてしまったかもしれませんが、簡単に説明するのであれば、脳がストレスを感じている時に嫌悪を感じ、脳がストレスを受けていない時に好意を感じるというわけです。接触回数を重ねると、そのストレスが減っていくので、それを脳が好意と勘違いしてしまうということです。
ザイアンス効果の実験
ザイアンス効果を研究するための古典的な実験は、1968年にロバート・ザイアンス(Robert Zajonc)によって行われました。以下に、その実験内容を詳細に説明します。
この実験では、繰り返し接触することで、被験者が刺激に対して好意的な評価を持ちやすくなるかどうかを調べることを目的として行われました。実験の手順は下記の通りになります。
- 被験者は、個室で実験に参加しました。実験者は、あらかじめ用意された抽象的な形状や模様が描かれた画像(無意味な刺激)を用意しました。
- これらの画像は、被験者にランダムな順序で提示されました。各画像は、1回から25回の異なる頻度で被験者に提示されました。提示の際、画像は数秒間だけ表示され、被験者はそれを見るだけで、何らかの評価や判断を行うように指示されていませんでした。
- 画像提示のセッションが終了した後、被験者は別のタスクに取り組むように指示されました。このタスクでは、以前に見た画像と新しい画像がランダムな順序で提示され、被験者には、それぞれの画像がどれだけ好きかを評価するよう求められました。この評価は、好意度の尺度(例えば1から5のスケール)を使って行われました。
この実験の結果、繰り返し提示された画像に対して、被験者はより高い好意度を示すことが明らかになりました。これは、ザイアンス効果の存在を示すもので、繰り返し接触することで、被験者が刺激に対して好意的な評価を持ちやすくなることが示されました。
この実験は、ザイアンス効果は、以降の研究においても類似の実験デザインが用いられ、さまざまな刺激(顔、言語、音楽など)を用いた研究でも、単純接触効果が確認されています。
ザイアンス効果をマーケティングに活用する方法
では、ここからは、ザイアンス効果をマーケティングに活用する方法を解説していきます。
- SNSやウェブサイトでの露出
- イベントや展示会への参加
- メールマーケティング
方法1:SNSやウェブサイトでの露出
企業や商品・サービスのブランドを、SNSやウェブサイトを通じて繰り返し露出させることで、ザイアンス効果を活用します。
企業は、自社のSNSアカウントで定期的に商品やサービスに関する情報を発信し、フォロワーに繰り返し露出させます。このようなアプローチにより、フォロワーは企業や商品・サービスに対して好意的な印象を持ちやすくなり、購入意欲が高まる可能性があります。実際、オータニは、ブログ、YouTube、Twitterなどのメディアを使って、ザイアンス効果を効果的に活用しています。
方法2:イベントや展示会への参加
顧客が繰り返し企業や商品・サービスに触れる機会を提供するために、イベントや展示会に積極的に参加することで、ザイアンス効果を活用します。
企業は、自社の商品やサービスに関連する展示会やイベントに出展し、顧客が繰り返し企業のブースを訪れる機会を提供します。また、企業のロゴや商品のデモンストレーションを目立つ場所に配置することで、顧客が繰り返し目にする機会を増やし、ザイアンス効果を利用して、好意度や関心を高もちろん、他にもザイアンス効果を活用する方法はたくさんあります。
方法3:メールマーケティング
顧客に定期的にニュースレターやプロモーション情報を送ることで、ザイアンス効果を活用します。
企業は、顧客が自社のメールマガジンに登録すると、定期的にニュースレターやプロモーション情報を提供します。これにより、顧客は繰り返し企業のブランドや商品・サービスに触れることができ、ザイアンス効果によって好意度が向上する可能性があります。
もちろん、メールマガジンだけではなくても、LINEでも良いですし、自社独自のアプリを作っても良いでしょう。ちなみに、オータニの場合は、オープンチャットを使い、ユーザーが積極的に交流を行うようにしています。
まとめ
ザイアンス効果|営業、マーケティングを制する最強の心理技術
ザイアンス効果は、シンプルですが、非常に効果の高い心理法則です。
実際に、上記効果を使い、大きな成果を上げている企業も複数存在します。もし、まだザイアンス効果をあなたの営業戦略に導入できていないのであれば、すぐさま導入するようにしましょう。
ザイアンス効果|営業、マーケティングを制する最強の心理技術