社会的証明とは、マジョリティー(多数派)の意見に従いたがるという心理傾向のことです。
たとえば、「みんながそうなら、私も〜」という形で意思決定したことはありませんか?
このように、我々は普段、無意識レベルで他者の意思決定に流されています。
つまり、自らの力で意思決定していることってほとんどありません。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで本日は、
- 社会的証明とは
- 社会的証明を営業に活用する方法
- 社会的証明をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
社会的証明とは
マジョリティー(多数派)の意見に従おうとする心理傾向
別名:バンドワゴン効果
社会的証明は、別名「バンドワゴン効果」とも言わています。
「バンドワゴン」とは、パレードの先頭を走る「楽隊車」のことで、「勝馬に乗る」「多勢に与する」「時流に乗る」などといった意味があります。
社会的証明の具体例
いくつか具体例をみていきましょう。
- ガラケ
- プラン
- ラーメン屋
例1:「ガラケ」から「スマホ」へ
あなたはなぜスマホに乗り換えたのでしょうか?
答えは、「周りが持ち始めたから」です。
きっと「機能性が良いから!」と答えた人もいると思うのですが、本当にそうですか?
当時を振り返ると、多くの人たちの動機はそうではないはずです。
例2:どのプランに入る?
あなたは「Aプラン」「Bプラン」のどちらに加入しようか迷っています。
そして、あなたは、店員さんに次のような質問をするでしょう。
「多くの人たちは、どのプランに入っていますか?」と。
そして、店員さんはこのように答えます。
「ほとんどのお客様はこちらのBプラインをお選びになっています」と。
多くの人は、この言葉に安心感を覚え、Bプランを選択するでしょう。
このように、「多くの人たちが加入しているプラン」と「あなたの加入するべきプラン」は、必ずしも一致するわけではないのに、それを吟味せずに多数派の意見に従ってしまうのです。
例3:行列のできるラーメン屋
行列ができているラーメン屋を見て、あなたはどう思うでしょうか?
きっと、「あそこのラーメン屋は美味しいに違いない!」と感じでしょう。
ちょうどお腹が空いていたあなたは、そのままラーメン屋に向かうのです。
社会的証明はなぜ発動するのか
- 安全の確保
- 脳のエネルギーの節約
理由1:安全の確保
結論、社会的証明は人間の本能だからです。
我々が、狩猟採集民だった時は、多数派の意見に従うことは「安全」な選択でした。
なぜなら、多数派の意見の方が正しい可能性が高いからです。
多数派の意見=安全
たとえば、集落の移動中に分かれ道があったとする。
様々なことを要素を考慮した結果、90%の人たちはAの道を通ることを選択しました。
この場合、Aを通った方が安全な可能性が高そうですよね?
なぜなら、90%の人たちが選択しているからです。
(※もちろん、間違っているかもしれませんが)
このように、我々は自分の安全を守るために、社会的証明を効果的に使ってきたのです。
理由2:脳のエネルギーの節約
社会的証明のおかげで、我々は脳のエネルギーを節約することができています。
なぜなら、「多数派の意見=正しい」と判断すれば、それ以上頭を使う必要がないからです。
多数派の意見=質が保証されている
たとえば、スマホを選ぶ際に、Aプラン・Bプランがあるとする。
そして、「ユーザーさんの90%の人たちがAプランを選択している!」と言われてら、それを選んでしまいますよね?
なぜなら、みんなが選んでいるということは、ある程度の「質」が保証されていることの証明となるからです。
つまり、「みんなが選んでいる=質の保証」なのです。
この思考を反射的に行うことができれば、いちいちAプランとBプランの中身を吟味する必要がなくなります。
結果、脳のエネルギーを節約できるというわけです。
社会的証明の実験
- スタンレー・ミニグラムの実験
- ソロモン・アッシュの実験
実験1:心理学者スタンレー・ミニグラム
研究者がニューヨークの雑踏で立ち止まり、60秒間空を見上げた時、どれくらいの数の通行人が一緒になって空を見上げるのか?ということを調べたました。
これを研究者が1人で行った場合には、通行人のほとんどは反応を示しませんでした。
しかし、研究者の数を4人にして同じことをしたところ、立ち止まって一緒に空を見上げる割合がなんと4倍にもなったのです。
このように、空を見上げる人数が増えると、社会的証明が働いて、通行人も空に注意が向くようになるのです。
実験2:心理学者ソロモン・アッシュ
1950年代に、社会心理学者ソロモン・アッシュはある実験を行いました。
7名の被験者に「標準線」と同じ長さの線を「比較線」から選ばせるというものです。
(もちろん、あなたは「B」を選択したと思うのですが)
しかし、なんと76%の人たちは、間違った回答をしたのです。
実は、7名の被験者のうち6名はアッシュに雇われた仕掛け人で、6名は「Cだ!」と言い張ります。
もちろん、被験者はこれに驚愕しますが、この6名の仕掛け人につられてしまい、結果76%の人たちが「C」と答えてしまったのです。
社会的証明を営業・マーケティングに活用する方法
- 「多くの人が〜」という言葉を使う
- 多数派であるような画像を見せる
- 似ている人を引き合いに出す
- こちらが望む規範に注意を向ける
方法1:「多くの人が〜」という言葉を使う
人は「多くの人が〜」という言葉に弱いです。
この言葉を使われた瞬間にすぐさま、社会的証明の本能が呼び覚まされるからです。
「だったら、私もそれにする!」というふうに。
たとえば、「本」はある程度売れると「10万部突破!」などの帯がついたりしますが、これも社会的証明を使った戦略ですね。
ポイント:「数字」を使う
ここでのポイントは、「多くの人が〜」という言い方も悪くはありません。
しかし、これだと表現が抽象的で、イメージがわかない人もいるでしょう。
だから、数字を使った具体的な表現するようにしましょう。
このように、数字を使うことで、イメージしやすくなり、信憑性も一気に高まります。
なので、社会的証明を使う際は、数字も一緒に添えるようにしましょう。
方法2:多数派であるような画像を見せる
多くの人たちが選んでいるような画像を使うようにしましょう。
なぜなら、直感的に多くの人に選ばれていることを伝えることができるからです。
例:コミュニケーションスクールを売る
顧客にプレゼンテーションを行う際、上記の画像を見せながら下記のように伝えるのです。
弊社のコミュニケーション講座は、人見知りな方でも、成果を出すことができる講座なので、多くの人たちから選ばれています
すると、無意識レベルで「多くの人たちに選ばれているんだ!」と感じるようになります。
ちなみに、これには クレショフ効果という心理技術も使われています。
方法3:似ている人を引き合いに出す
似ている人を引き合いに出すと、さらに社会的証明の影響を強化することができます。
なぜなら、「私と似た人たちがやっているのであれば、大丈夫か!」と更なる安心感を与えることができるからです。
例:ダイエット食品
たとえば、顧客が40代の女性であれば、下記のように伝えましょう。
弊社の商品は、〇〇さんのような40代女性からも多く支持していただいております
※LP・販売ページなどでは、ターゲットに合わせたライティングを心がけましょう
このように、自分と似た人たちが成果を出せているのであれば、「じゃあ私にもできるかも!」と自信を持ってもらうことができるようになるのです。
方法4:こちらが望む規範に注意を向ける
こちらの望む結果を伝えるようにしましょう。
しかし、ちょっとイメージがわかないと思うので、実験を3つほど紹介しますね。
実験1:「ポイ捨て」に関する実験
ある実験では、落ちている「ゴミの数」と「ポイ捨てをする人」の割合を調べました。
結論、下記の結果となりました。
ゴミの数 | ポイ捨てした人の割合 |
1個→ | 10% |
2個→ | 20% |
4個→ | 23% |
8個→ | 41% |
ゴミの数が増えると、それと同時にポイ捨てをする人の割合が増えたのです。
このように、ゴミが捨ててあると「私も捨てよ〜」というネガティブな社会的証明が働いてしまうのです。
実験2:「チップ」をたくさんもらうには
日本だとあまり馴染みがないと思いますが、分かりやすいのでこの実験をお伝えします。
あなたは、チップが入っている瓶が置いてあるお店で働いていたとする。
その場合、どのようにして多くの人からチップをもらえるようにしますか?
答えは、開店前にあらかじめ、瓶の中にある程度のお金を入れておくのです。
すると、社会的プレッシャーから、チップを入れてくれるようになるというわけです。
このように、あらかじめ瓶にお金が入っていると「じゃあ私も入れないと!」と、ポジティブな社会的証明が働くのです。
まとめ:社会的証明
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 社会的証明とは
- 社会的証明を営業に活用する方法
- 社会的証明をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
社会的証明を使うことで簡単に他者をコントロールすることができるようになります。
なぜなら、社会的証明は、人間の本能を刺激する心理テクニックだからです。
なので、まだ社会的証明を使っていない方は、ぜひ戦略の中に組み込んでいくようにしましょう。