ラベリング効果とは、ラベルを貼り付けられることで、それと一致した態度を取ろうとする心理現象のことです。
たとえば、「〇〇さんって良い人ですね!」と伝えることで、相手は自身を”性格の良い人間”にならなければならないという信念を形成するようになります。このように、他者から付与されたラベルによって、自身がその信念を形成することが多々あります。
しかし、なぜこのような現象が起きるのでしょうか。本記事では、ラベリング効果が発動する心理学的理由、そして、それを営業やマーケティングに活用する方法などを紹介していきます。
というわけで本日は
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
ラベリング効果とは
ラベルを貼り付けられることで、それと一致した態度を取ろうとする心理現象
ラベリング効果とは、人々が他者や自分自身に付けるレッテルやカテゴリーが、その人の自己認識や行動に影響を与える社会心理学の理論です。ラベリング効果は、人々が自分や他者に対して持つ期待やステレオタイプが、その期待に沿った行動や自己評価を引き起こすことを指します。
ラベリング効果には、ポジティブな面とネガティブな面の両方が存在します。ポジティブなラベリングは、自己効力感や自尊心を向上させ、良い結果をもたらすことがあります。しかし、ネガティブなラベリングは、自己評価の低下や悪影響を与える行動を引き起こすことがあります。
ラベリング効果を理解することは、人々がどのように自己認識や行動が他者からの評価や期待に影響を受けるかを理解するために重要です。また、ラベリング効果を考慮してコミュニケーションを行うことで、他者への良い影響を与えることができる場合があります。
ラベリング効果の具体例
では、ここからはラベリング効果の具体例をいくつか紹介します。
- 学業能力のラベリング
- 職場でのラベリング
- 社会的なスティグマ
事例1:学業能力のラベリング
教師や親が子どもを「優秀」「勉強ができる」とレッテル付けすることで、子どもは自分が優秀であるという自己認識を持ち、その期待に応えようと努力することがあります。一方で、子どもが「勉強が苦手」「できない子」とレッテル付けされると、自分に自信を持てず、努力を続ける意欲が低下することがあります。
事例2:職場でのラベリング
職場で上司や同僚がある従業員を「リーダーシップがある」「仕事ができる」と評価すると、その従業員は自分に自信を持ち、積極的に仕事に取り組むようになることがあります。しかし、逆に「無責任」「怠け者」とレッテル付けされると、その従業員は自分に対する評価が低くなり、仕事へのモチベーションが低下することがあります。
事例3:社会的なスティグマ
特定の病気や障害を持つ人々が、「障害者」というレッテル付けを受けることで、彼らは自分に対する評価が低くなり、社会から孤立することがあります。また、そのようなレッテル付けは他者からの差別や偏見を引き起こすことがあり、その人たちの社会的な地位や機会が制限されることがあります。
ラベリング効果が発動する理由
心理学的な側面から見たラベリング効果が発動する理由には以下のような要素が関与しています。
- 社会的認知
- 自己成就予言
- 自己概念の変化
- 承認欲求
社会的認知
人間は情報処理の過程で、他者や自分自身に関する情報をカテゴリ化し、簡略化する傾向があります。これは、日常生活で大量の情報に直面するため、情報を効率的に処理する必要があるためです。その結果、他者や自分自身に対するステレオタイプやラベルが形成されることになります。
自己成就予言
ラベリングされることで、その人物はそのレッテルに基づいた期待に沿った行動をとるようになることがあります。これは、人間が自分の行動を他者の期待に適合させようとする傾向があるためです。また、他者からの期待に応えることで、自分自身に対する評価や報酬が得られると感じることがあります。
自己概念の変化
ラベリングされることで、その人物の自己概念(自分自身に関する認識や信念)が変化することがあります。特に、他者からの評価や期待が繰り返し伝えられると、その人物はそれを自分の一部として受け入れることがあります。この自己概念の変化が、その人物の行動や意思決定に影響を与えることがあります。
承認欲求
人間は自分が他者から評価され、承認されることを求める傾向があります。そのため、他者からの肯定的なラベリングを受けると、自己評価が向上し、その期待に応えようとする行動が促されることがあります。逆に、否定的なラベリングを受けると、自己評価が低下し、モチベーションが減少することがあります。
ラベリング効果の実験
アリス・タウバイトとリチャード・ヤルクによるラベリング効果の実験は、犯罪者に対するラベリングの影響を調査するものでした。この実験は、犯罪者が再犯する可能性が、周囲からのラベリングや犯罪者としての自己認識によってどの程度影響を受けるかを調べることを目的としています。
この実験では、タウバイトとヤルクは犯罪者が保護観察中にどのような影響を受けるかを調べました。犯罪者は2つのグループに分けられました。
実験の目的は、厳格な保護観察が犯罪者の再犯率に与える影響を調べることでした。厳格な保護観察は、犯罪者に対する周囲からの期待や、犯罪者が自己認識をどのように変化させるかに焦点を当てています。
実験結果は、厳格な保護観察を受けたグループの再犯率が、通常の保護観察を受けたグループよりも高かったことを示しました。この結果は、厳格な保護観察が犯罪者に対するラベリング効果を強め、再犯の可能性を高めることを示唆しています。
この実験は、ラベリング効果が犯罪者の再犯率に影響を与えることを示しており、刑事司法制度や矯正施策において、犯罪者に対するラベリングの影響を考慮することが重要であることを示唆しています。
ラベリング効果を営業に活用する方法
ここでは、ラベリング効果を営業に活用する方法をいくつか紹介していきます。
- 顧客の自己評価を向上させるラベリング
- 顧客に共感を持たせるラベリング
- 顧客の行動を予測するラベリング
方法1:顧客の自己評価を向上させるラベリング
営業時に、顧客に対して肯定的なラベリングを用いることで、顧客の自己評価を向上させ、購入意欲を高めることができます。
たとえば、ある自動車販売店の営業マンが、顧客に「〇〇さんは、環境に配慮した選択ができる方です」と言う。これにより、顧客は環境に優しい車を選ぶべきだと感じ、エコカーの購入意欲が高まる可能性があります。
方法2:顧客に共感を持たせるラベリング
顧客が自分自身を特定のグループに所属していると感じさせることで、そのグループに関連する製品やサービスへの関心を高めることができます。
たとえば、 ある健康食品店の営業マンが、顧客に「〇〇さんは、健康に気を使っている方ですね」と言う。これにより、顧客は自分が健康志向のグループに属していると感じ、健康食品に対する関心が高まる可能性があります。
方法3:顧客の行動を予測するラベリング
顧客が特定の行動を取ると予測し、その予測をラベリングとして提示することで、顧客の行動を誘導することができます。
たとえば、あるライフプランナーが、顧客に「〇〇さんは、決断力のある素晴らしい方だと思いますので、ぜひこの機会を逃さないでいただければと思います」と言う。これにより、顧客は自分のことを決断力のある人物だと感じ、特別な割引やプロモーションを利用して製品を購入する可能性が高まります。
ラベリング効果をマーケティングに活用する方法
ここでは、ラベリング効果をマーケティングに活用する方法をいくつか紹介していきます。
- ターゲット層のアイデンティティを強調する
- 製品やサービスに社会的価値を付与する
方法1:ターゲット層のアイデンティティを強調する
マーケティング戦略の中でターゲット層のアイデンティティを強調することで、顧客が製品やサービスに対する関心を高めることができます。
たとえば、Appleは、自社の製品を「クリエイティブで独創的な人々」向けだとアピールすることで、そのターゲット層に対する魅力を高めています。これにより、顧客は自分がクリエイティブで独創的であると感じ、Apple製品に対する関心が高まります。
方法2:製品やサービスに社会的価値を付与する
製品やサービスに社会的価値を付与することで、顧客がその製品やサービスを購入することによって社会的に良い行いをしていると感じさせることができます。
たとえば、TOMS Shoesは、一足の靴を購入するごとに、発展途上国の子どもたちに靴を寄付するという「ワン・フォー・ワン」モデルを採用しています。これにより、顧客は自分が社会貢献をしていると感じ、TOMSの靴に対する関心が高まります。
まとめ
ラベリング効果とは|人を思い通りに操るテクニック
ラベリング効果を活用することで、こちらの思い通りの信念を形成することができるようになります。
もちろん、ラベリング効果は、相手の信念を100%形成することができるわけではありません。しかし、やるかやらないかでは、売上に大きな影響を与えます。
なので、あなたの営業、マーケティング戦略の中に、1つでも良いので導入してみてください。
ラベリング効果とは|人を思い通りに操るテクニック