自己奉仕バイアスとは、成功を自分の資質のためとし、失敗を他者や環境のせいにするという現象のことです。
たとえば、車の衝突事故では、被害者が相手のせいにするのはもちろんですが、加害者側は自己奉仕バイスによって自分の責任を過小評価するようになります。「急に飛び出したのが悪いんだ!…」という感じで。このように、我々は自分にとって都合が良いように物事を解釈しようとするバイアスを持っています。
しかし、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか。本記事では、自己奉仕バイアスの心理的メカニズム、また自己奉仕バイアスから脱却する方法などを紹介していきます。
というわけで本日は、
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
自己奉仕バイアスとは
成功を自分の資質のためとし、失敗を他者や環境のせいにするという心理現象
自己奉仕バイアス(self-serving bias)は、人々が自分自身に関連する情報を解釈し、記憶し、認識する際に生じる心理学的な傾向です。このバイアスは、自分自身をより肯定的に、あるいは他人よりも有利に見せることを目的としています。
自己奉仕バイアスは、自己評価の維持や向上、自尊心の保護、ストレスや否定的な感情から逃れるための心理的防衛機制として機能します。しかし、このバイアスは客観的な自己認識や他者との関係に悪影響を与えることがあります。自己奉仕バイアスを把握し、自己認識を向上させることで、より現実的な自己評価が可能になります。
自己奉仕バイアスの具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- 試験の結果
- スポーツの勝敗
- 仕事の評価
事例1:試験の結果
学生Aは試験で高得点を取ったとき、「自分が勉強したおかげで良い成績が出た」と考えます。しかし、試験で低得点を取ったときには、「問題が難しかった」「先生が厳しい採点をした」など、自分以外の要因に失敗を帰す傾向があります。
事例2:スポーツの勝敗
サッカー選手Bは試合に勝ったとき、「自分の技術やチームワークが良かったから勝てた」と考えます。しかし、試合に負けたときには、「審判の判断が悪かった」「相手チームがラッキーだった」など、自分以外の要因に敗北を帰する傾向があります。
事例3:仕事の評価
従業員Cはプロジェクトが成功したとき、「自分のスキルや努力が成果を生んだ」と考えます。しかし、プロジェクトが失敗したときには、「予算やリソースが不足していた」「上司の指示が不適切だった」など、自分以外の要因に失敗を帰する傾向があります。
自己奉仕バイアスが発動する理由
自己奉仕バイアスが発動する心理学的理由は、主に自尊心の保護や自己評価の維持に関連しています。人間は、自分自身を肯定的に捉えることで、精神的な安定や幸福感を得ることができます。以下に、初心者にも分かりやすく説明します。
- 自尊心の保護
- 自己評価の維持
- 精神的安定の確保
理由1:自尊心の保護
自尊心は、自分に対する評価や自分の価値に関する信念のことです。人々は自尊心を高めることで、自信や安定感を得ることができます。自己奉仕バイアスが発動する理由の一つは、自尊心を守り、自分を肯定的に捉えることで、ストレスや否定的な感情から逃れるためです。
理由2:自己評価の維持
自己評価は、自分がどれだけ優れているか、または自分がどれだけ他人と比較して良いかという評価です。自己奉仕バイアスは、自分の成功を自分の努力や能力に帰し、失敗を外的要因に帰することで、自己評価を維持しようとする傾向があります。
理由3:精神的安定の確保
自己奉仕バイアスは、否定的な経験や失敗に直面したときに、自分自身を責めることを避けるために働きます。これにより、精神的な安定を保ち、ストレスや自己否定的な感情から逃れることができます。
自己奉仕バイアスを構成する2つの要素
ここでは、自己奉仕バイアスを構成する2つのバイアスについて解説していきます。
- 自己高揚バイアス
- 自己保護バイアス
自己高揚バイアス
自己高揚バイアスとは、成功を自分の資質のおかげとするバイアスのことです。つまり、「成功は自分のおかげ」の部分ですね。
メリット
「成功は自分のおかげ」と捉えることで、自尊心を高めることができるようになります。だから、たくさんのことにチャレンジしたり、ちょっとの失敗でクヨクヨしなくなります。
デメリット
「成功は自分のおかげ」と捉えることで、自惚れる可能性も高まります。だから、それいじょう自分のスキルを高めたり、磨いたりしなくなってしまうこともあります。レベルの高い人ほど、「いや、俺の力もまだまだだ!」と捉えていますよね。つまり、レベルの高い人ほど、自己高揚バイアスとは逆の行動を取る傾向があるということです。
自己保護バイアス
自己保護バイアスとは、失敗を他者や環境などの外部に帰属させようとするバイアスのことです。つまり、「失敗は他人のせい」の部分ですね。
メリット
自分を責め過ぎなくなります。人は時に、しなくてもいいことを自分のせいにしてしまうことがあります。たとえば、映画などで「母親が交通事故になってしまったのは、私があの時止めなかったからだ!」と自責心を持つ主人公っていますよね?
しかし、冷静に考えれば、別に“母親が事故にあったこと”と“自分”にはなんの関係もないわけです。このように、無理に自責にすることはストレスの元となりますので、自己保護バイアスを持っていると気が楽になります。
デメリット
「失敗は他人のせい」と捉えることで、成長できなくなります。たとえば、ブログを執筆しているけど、なかなかアクセスが集まらないとします。
自己保護バイアスにかかっていない人は、「もっと素人でも分かりやすい具体例を使おう!」「もっとSEOを勉強しないとダメだ!」と成長する方に向かおうとするのですが、自己保護バイアスがかかっている人は、「いや、これはまだ時代が追いついてない!」「リテラシーの低い読者ばかりだ!」と、外部のせいにばかりします。このように、何かの失敗を外部のせいにしていたら、いつまで経っても成長することができなくなるのです。
自己奉仕バイアスから脱却する
自己奉仕バイアスから逃れる方法は、客観的な自己認識を向上させ、自分の行動や思考に対する認識をリアルタイムで評価することです。以下に、事例を用いて3つの方法を紹介します。
方法1:反省と自己評価の練習
例えば、試験の結果が出たときに、自己奉仕バイアスを避けるために、自分がどれだけ努力したのか、どの程度の知識やスキルを身につけたのかを冷静に評価します。成功も失敗も、自分の責任と外的要因の両方を考慮して分析しましょう。
方法2:フィードバックの受け入れ
仕事のプロジェクトで失敗した場合、他人からのフィードバックや意見を真摯に受け止め、自分の行動や判断について客観的に検討します。他人の視点を取り入れることで、自己奉仕バイアスによる歪んだ自己認識を修正することができます。
方法3:状況を客観的に把握する
サッカーの試合で負けた場合、自己奉仕バイアスから逃れるために、試合の状況や自分のパフォーマンスを客観的に分析します。勝敗に影響を与えた要因を、自分のスキルや努力だけでなく、チーム全体の戦術や相手チームの力量も考慮して評価しましょう。
これらの方法を実践することで、自己奉仕バイアスから逃れ、より現実的で客観的な自己認識を持つことができます。また、他者との協力やコミュニケーション能力の向上にもつながります。
まとめ
自己奉仕バイアスとは|心理的メカニズムと解決策を徹底解説
自己奉仕バイアスは、悪い言い方をすると、ものすごく自分勝手なバイアスということができます。なぜなら、成功した時は自分のおかげと考えますが、失敗はすぐに他人のせいにするからです。
このバイアスに翻弄され続けると、あなたの成長を止め、目標達成を遠ざける結果となってしまいます。なので、ぜひ「成功は他人のおかげ、失敗は自分のせい!」を忘れないようにしてください。
自己奉仕バイアスとは|心理的メカニズムと解決策を徹底解説