権威性の法則とは、専門家の意見に従いやすくなるという心理傾向のことです。
たとえば、お医者さんから出された薬をわざわざ疑うなんてことはしないですよね?
他にも、「ペンシルバニア大学の研究で〜」なんて言われたら、その内容がどうであれ、ちょっと納得してしまいますよね?
このように、我々は専門家からの意見に従いやすいという本能が備わっています。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで本日は、
- 権威性の法則とは
- 権威性の具体例
- 権威性をビジネスに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
権威性の法則とは
専門家の意見に従いやすくなるという心理傾向
※別の言い方をすると、「専門家の意見に盲目的になりやすいという心理法則」ですね
権威性の法則の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- 医者
- コンサルタント
- 話し方
例1:医者
医者から処方された薬に疑問を持たないですよね?
たとえば、「もしかしたら、毒かもしれないぞ?・・・」と。
なぜなら、薬を処方してくれた人が、「白衣」を着た「医者」だからです。
仮に、白衣を着たオータニが、適当に薬を処方したとしても、あなたはそれを信じるでしょう。
例2:オータニ
- 年収600万円稼いだ(ネットワーク時代)
- 月間280万円の売上を作った(自己啓発の営業マン時代)
- 月間320万円の売上を作った(起業家のプロデュース時代)
きっと、これをみた多くの人が「オータニは営業の専門家なんだ!」と感じるのではないでしょうか?
※そう感じない人は、きっとオータニよりも売上を上げている人ですね
例3:話し方
下記の文章を読んでみてください。
「権威性の法則」はビジネスに応用するべきです。
なぜなら、権威の力だけで、人を盲目的にすることができるからです。
たとえば、白衣を着た人をみただけで「この人は医者だから、彼の指示にしっかり従おう」と感じてしまいますよね?
このように、「服装」や「肩書き」を工夫するだけで、相手を服従させることができるのです。
あなたは、この文章にかなりの説得力(権威)を感じたのではないでしょうか?
なぜなら、この文章の中には「権威」を感じるある一言を添えているからです。
それは、太文字にした「なぜなら」です。
人は、「なぜなら」という理由の接続詞に権威を感じるということが分かっています。
このように、我々は、「話し方」によっても権威を感じるようになります。
権威性の法則はなぜ発動するのか
でも、なぜ我々は権威性の法則にいとも簡単に支配されてしまうの??
脳科学の話で、ちょっと難しいですが、しっかり解説します!
結論:脳のエネルギーの節約
脳は、「専門家=正しい」という直感的な判断するという性質があります。
なぜなら、このような直感的な判断をすることで、脳のエネルギー(意志力)を節約することができるからです。
※簡単に言うと、全てのことに思考していたら、脳がバーストしてしまうからです
習慣化→脳のエネルギーを節約
たとえば、下記のようなことを考えて、いちいち行動しないですよね?
- 朝起きたが、歯を磨くべきだろうか?
- 今日は〇〇線を使って出社するべきだろうか?
- 今日はお風呂に入るべきだろうか?
このように、脳は、頻繁に繰り返す思考・行動に関しては、思考をショートカットして行うことが出来るようになっているのです。
これを我々は、習慣化と呼びます。これは権威性の法則も一緒です。
たとえば、何度も紹介している通り、お医者さんに対して「この人の処方してくれた薬は大丈夫か?」なんて思わないですよね?
なぜなら、今までの経験則から「白衣をきている人=お医者さん」と記憶に強化されているからです。
権威性の法則の実験
スタンレー・ミニグラム氏は「人道的にどうなのか?」と疑われるような、おぞましい実験を行いました。
実験:スタンレー・ミニグラム
被験者たちは「罰が学習に与える影響を調べる」という名目で実験に集められ、研究者たち(権威)は、被験者を下記の2つのグループに分けました。
- 学習者役(問題に答える)
- 教師役(学習者が問題を違ったら罰を与える)
次に、学習者役は、電気椅子に固定され、教師役が出す問題に答えていきます。
一方、教師役は学習者役が問題を間違うごとに電圧を上げて電流を流すという仕事を任されます。
※1問間違うごとに15ボルトづつ電流を上げていき、最大で450ボルトまで上げます
もちろん、教師役はビクビクしながら、学習者役が問題を間違うごとに電流を流します。
電流を流された学習者役の声は電圧を上げるごとに、どんどん大きくなり「もうやめてくれ!!!」と大声をあげるほどでした。
実は、学習者役の被験者は、ミニグラムに雇われたサクラでした。つまり、学習者役は電流を流され、苦しんでいる演技をしていただけだったのです
学習者役の叫び声は、インターホン越しに教師役に伝わります。
しかし、研究者たち(権威)は教師役に「これは許可を取っていて大切な実験なので、躊躇なく電流を流してください」と伝えます。
そのときに、どれくらいの教師役の人たちが、この研究者たちに服従するか?ということを調べました。
結果、最大の450ボルトまで電圧を上げた教師役は、全体の65%までにのぼりました。
さらに、40名の被験者のほとんどが、この実験を途中で投げ出さなかったというのには驚きです。
つまり、被験者のほとんどが、権威の前で盲目的になってしまったということですね。
権威に騙されない方法
昨今では、嘘の権威をでっちあげて、お金を騙しとる輩が増えてきています。
たとえば、「Googleの元社員でした!」「海外に大豪邸を持っている!」などと嘘をついて権威にしていた人とか。
そこで、ここからは「どうすれば権威に騙されなくなるのか?」という内容について触れていこうと思います。
- クリティカル・シンキング
- 過去を無視する
- メタ認知
方法1:クリティカル・シンキング
健全な批判精神を持ちながら、物事を論理的に考える思考法
※簡単に説明すると、対象を疑う思考法のことです
たとえば、「私はGoogleに勤めていました!」と言われた時、それを鵜呑みにするのではなく、一瞬でも「ん?本当か?」と疑うようにしましょう。
すると、相手の情報を調べようとするので、ネットで調べた時に、意外なほころびが浮き彫りになったりすることも。
詐欺師によく騙される人の多くが、良くも悪くも人のことを信用しすぎる傾向があります。
方法2:過去を無視する
結論、相手の過去の情報は全て無視しましょう。
なぜなら、大切なのは「過去」ではなく、「今」だからです。
たとえば、「昔は、100億円企業の社長だったんだよぉ〜」と言われても、それが「今もすごい!」ということには繋がりません。
特に現代は、情報が風化するスピードが早い時代です。
つまり、昔は稼いでいたとしても、今は稼いでいないということは十分考えられる時代なわけです。
なので、相手を判断する際は、必ず「今!その人が何をしているのか?」に注目するようにしましょう。
方法3:メタ認知
自分を俯瞰して見ること
結論、「人間は権威に支配されやすい存在なんだ!」ということを常に意識しておきましょう。
なぜなら、上記のことを意識化すると、権威に対して冷静な判断が下せるようになるからです。
たとえば、上司(権威)からのアドバイスって、直感で「正しいに違いない!」と思ってしまいますよね?
しかし、上司だって人間。間違ったアドバイスをすることは十分にあるわけです。
なので、普段から権威を意識して、盲目的に間違ったアドバイスを受け入れない準備しておきましょう。
※大切なことは、「〇〇(権威)は100%正しい!」という評価をしないこと
権威性の法則をビジネスに活用する方法
では、ここからは権威性の法則を営業やマーケティングに活用する方法について解説していきます。
- 肩書きの力
- モノの力
- 服装の力
- 話し方の力
方法1:肩書きの力
「肩書きの力」はものすごく大切です。
オータニの場合は、「セールスYouTuber」という肩書きでビジネス活動をしていますが、これを見た多くの人たちは、オータニに対して「営業の達人」という権威を抱きます。
結果、「営業のことなら、オータニにお願いしよう!」と思わせることが出来るのです。
実験:オーストラリア
大学の5つのクラスを対象に行った実験です。
研究者たちは「ケンブリッジ大学からある人物(仕掛け人)が来た」とそれぞれのクラスに紹介します。
しかし、それぞれのクラスには、その人物(仕掛け人)の肩書きを別々の形で紹介します。
- 学生として紹介
- 実験助手として紹介
- 講師として紹介
- 准教授として紹介
- 教授として紹介
※下に行くほど地位が上がっていきます
その後に、5つのクラスの学生に対して、彼の「身長」についての推測をしてもらいました。
実験の結果、地位が上がることに平均して1.5センチづつ身長が高く評価されたのです。
「学生」として紹介された場合と「教授」として紹介された場合では、7.5センチも身長に差があったのには驚きです。
つまり、権威によって身長まで錯覚させてしまうということですね。
方法2:モノの力
身に着けるモノを変えるだけで、他者からの見られ方は大きく変わります。
たとえば、営業に出かける際は、ちょっとした高級バックにするなど。
他にも、もっと信用してもらいたいとうのであれば、メガネをかけるなども効果的です。
なぜなら、多くの人は「メガネ→賢い」というイメージを持っているからです。
※伊達メガネでもOK
これだけで、「この営業マンは稼いでいるんだ!信用できる!」と感じさせることができたりします。
論文:ジョージ・キャッスルダイン
ジョージ・キャッスルダインは、「見た目の印象はとても重要」という論文を出しました。
その中では、お医者さんは聴診器を持つことは、必要不可欠だと述べています。
なぜなら、どんなに技術力のある医者でも、聴診器を持っていないだけで、信用されないなんてこともあるからです。
しかし、これってテレビ番組でもよくありますよね?
たとえば、お医者さんでもないのに、白衣を着てテレビに出る専門家たちを見たことありませんか?
方法3:服装の力
「服装」を変えるだけで、他者からの見られ方は大きく変わります。
たとえば、警察服を着ていれば「警察」として判断されますし、白衣を着ていれば「医者」として判断されます。
なので、ターゲットに合わせた服装を心がけるようにしましょう。
営業マンであるのであれば、「スーツ」を着るなどですね。
実験:社会心理学者レオナード・ビックマン
研究者は、通行人を呼び止めて、15メートル先にあるパーキングメーターの側に立っている男性を指差します。
そして、下記のようなお願いをします。
「あそこの駐車場の側に立っている男性に10セント硬貨を上げてもらえませんか?
駐車料金を超過してしまったらしいのですが、小銭を持ち合わせていないらしいのです」
その際、研究者が着ている服装を2つのグループに分けました。
- 普通の服
- 警備員の服
そして、被験者たちがそれぞれどれくらいの割合で承諾してくれたのか?を観察しました。
- 普通の服の場合
→承諾率42% - 警備員の服の場合
→承諾率92%
なんと2倍以上の差をつけて「警察服」が勝利したのです。
このように、全く同じお願いをしても、「服装」によって承諾率にこれだけの違いがあることには驚きですね。
方法4:話し方
主張をしたら、必ず理由を添えるようにしましょう。
なぜなら、我々は理由に説得力(権威)を感じるからです。
実験:心理学者エレン・ランガー
エレン・ランガーは、コピー機があるオフィスである実験を行いました。
コピー機に並んでいる人たちに研究者が「先にコピーをとらせてもらえませんか?」というお願いをするのですが、そのお願いの仕方を3つに分けました。
- 先にコピーをとらせてもらえませんか?
(理由無し) - 急いでいるので、先にコピーをとらせてもらえませんか?
(理由有り) - コピーをとらないといけないので、コピーを先にとらせてもらえませんか?
(理由は有りだが、内容が意味不明)
そして、それぞれの被験者がどれくらいコピー機を譲ってくれるか?を調べました。
- 先にコピーをとらせてもらえませんか?
→承諾率60% - 急いでいるので、先にコピーをとらせてもらえませんか?
→承諾率94% - コピーをとらないといけないので、コピーを先にとらせてもらえませんか?
→承諾率93%
このように、要求の理由を伝えただけで、承諾率が1.5倍近くになるということが分かりました。
さらに驚くべきことは、BとCでは承諾率にほとんど差がなかったというところです。
これは、「なぜなら〜」「ので〜」などの理由の接続詞をいれるだけで、承諾率が高まるということを意味しています。
だから、何かの主張を伝える際には、必ず「理由」をいれるようにしましょう。
もしも、「説得力の高まる話し方をマスターしたい!」という方は、『PREP(プレップ)法とは|論理的な文章を書くフレームワーク』を参考にしてください。
まとめ:権威性の法則
では、最後にまとめましょう。
本日は、
- 権威性の法則とは
- 権威性の具体例
- 権威性をビジネスに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
権威性の法則は、瞬時に相手を従わせることが出来る最強の心理法則です。
なので、実績がある方は、積極的に伝えるようにしましょう。
もちろん、この記事を読んでもらっても分かるとおり、実績がなかったとしても、「服装」や「話し方」などを工夫するだけで、権威性を高めることができます。
なので、ぜひ本日お伝えした内容を積極的に使うようにしましょう。