コミットメントと一貫性の原理とは、約束を貫き通そうとする心理傾向のことです。
たとえば、待ち合わせの時間に遅れたら「申し訳ない…」という感情になりますよね。他にも、「今月は売上100万円作ります!」と大勢の前で約束をすると、なんとしてでもその目標を達成しようと思いますよね。
このように、我々は約束したことを貫きとおそうとする本能が備わっているのです。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。この記事では、コミットメントと一貫性の原理が発動する仕組み、また営業やマーケティングに活用する方法について解説していこうと思います。
というわけで本日は、
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
コミットメントと一貫性の原理とは
約束を貫き通そうとする心理傾向
コミットメントと一貫性の原理は、心理学と説得の分野で広く認識されている概念で、人々が自分の過去の行動や意見に一貫性を持ち、それに従って行動し続ける傾向を指します。
この原理は、人々が自分自身や他人に対して整合性を保つために、一度行った行動や表明した意見に基づいて将来の行動を調整することを示しています。以下は、「コミットメント」と「一貫性の原理」について説明します。
コミットメント
コミットメントは、個人が特定の行動や態度、価値観に対して関与し、自分がそれに対して約束や責任を持つという意識を持つことを指します。コミットメントが高いほど、その目標や価値観に従った行動を取り続ける意欲が高まります。
一度コミットメントを果たすと、人々は自分の信念に一貫性を持ち、矛盾する行動を避けるよう努めることが一般的です。コミットメントは、公開的に意見を表明することや、目標を達成するための具体的な行動を取ることで強化されることがあります。
一貫性の原理
一貫性の原理は、人々が自分の過去の行動や意見に一貫性を持ち続ける傾向を指します。これは、自分自身の価値観や信念に従って行動することで、自己のアイデンティティを維持し、他人からの評価を向上させるためです。一貫性の原理により、人々は矛盾する行動を避け、自分の信念や価値観に基づいて意思決定を行います。
コミットメントと一貫性の原理は、心理学やマーケティング、リーダーシップなどの分野で重要な役割を果たしており、人々の行動や意思決定に影響を与えることが知られています。この原理を理解することで、自分自身や他人の行動を予測し、効果的な説得やコミュニケーションを行うことができます。
コミットメントと一貫性の原理の具体例
いくつか具体例をみていきましょう。
- SNSでの意見表明
- ダイエットの宣言
- 著名運動
方法1:SNSでの意見表明
SNS上で意見や信念を公開的に表明した後、人々はその意見に一貫性を持ち続けることが期待されます。たとえば、誰かが環境保護に関する投稿をした場合、その後も環境保護に関心を持ち続けることが期待され、その行動や意見が一貫しているとみなされます。
方法2:ダイエットの宣言
ダイエットを始める際、友人や家族に宣言することで、自分自身へのコミットメントを強化し、一貫性を保ちやすくなります。この宣言によって、自分の目標に対する責任を感じ、一貫した行動を取り続けることが期待されます。
方法3:署名運動
署名運動に参加し、特定の目的や原則に賛同することで、署名者はその目的に一貫性を持ち続けることが期待されます。例えば、動物の権利を守る署名運動に参加した場合、署名者は動物の権利に関心を持ち続け、その問題に一貫した態度を示すことが期待されます。
コミットメントと一貫性の原理はなぜ発動するのか
では、ここからは、コミットメントと一貫性の原理が発動する理由を、心理学と脳科学的視点から解説していきますね。
- 自己認知理論
- 認知的不協和
- 社会的評価とアイデンティティの維持
理由1:自己認知理論
自己認知理論は、人々が自分の行動や態度を観察し、それをもとに自己の価値観や信念を推測するという考え方です。コミットメントと一貫性の原理が発動する理由の一つは、人々が自分の過去の行動から自分自身を評価し、それに基づいて将来の行動を予測しようとするためです。
理由2:認知的不協和
認知的不協和は、人々が自分の信念や価値観に反する行動を行った場合、心の中で矛盾や不快感を感じることを指します。この不快感を解消するために、人々は自分の信念や価値観に一致する行動を取ることで、一貫性を保とうとします。
理由3:社会的評価とアイデンティティの維持
人々は、他人からの評価や自分自身のアイデンティティを維持するために、一貫性を重視します。一貫性のある行動や意見は、他人から信頼されやすく、自分自身のアイデンティティを強化する効果があります。また、一貫性を保つことで、他人との関係を円滑に進めることができます。
コミットメントと一貫性の原理の実験
消費者行動の研究をするダニエル・ハワードさんの実験を一緒に見ていきましょう。
ダニエル・ハワードは、クッキーを使った面白い実験をしました。彼はテキサス州のダラスの住民に電話で下記のお願いをしました。
「飢餓救援教会のものがお宅までクッキーを売りに言ってもよろしいでしょうか?」
この場合の承諾率は18%という結果となりました。
しかし、先ほどの要求をする前に、あることをすることで、先ほどの要求の承諾率を約2倍までに上昇させることに成功したのです。
それは、先ほどのお願いをする前に「お元気ですか?」という質問をして、それにポジティブなレスポンス(「元気だよ」「上々だよ」「まぁまぁだね」など)を取り付けるというもの。ちなみに、この実験では、120名に電話して108名の方がポジティブなレスポンスをしてくれました。
結果、32%もの人たちが、承諾してくれるまでになったのです。さらに、実際にお宅に訪問して、クッキーを購入してくれた人たちは89%までに及びました。つまり、訪問した時、高確率でクッキーを購入してもらうことができたのです。
では、なぜこのような現象が起きたのでしょうか?
結論、最初に「元気だよ」「上々だよ」「まぁまぁだね」などのポジティブな発言(コミットメント)を取り付けることで、それと矛盾しない「人を助ける」という思考をするようになったのです。
コミットメントと一貫性の原理を営業に活用する方法
では、ここからはコミットメントと一貫性の原理を営業に活用するための方法を紹介していきます。
- 無料トライアルやサンプル提供
- 小さなコミットメントから始める
- 顧客の意見やフィードバックの取り入れ
方法1:無料トライアルやサンプル提供
無料トライアルやサンプルを提供することで、顧客はあなたの商品やサービスに対するコミットメントを持つことができます。顧客が無料トライアルやサンプルを使い、良い経験を得た場合、一貫性の原理により、その商品やサービスに対して好意的な態度を維持し、購入する可能性が高まります。
たとえば、あなたが美容製品を販売している場合、顧客に無料サンプルを提供することで、顧客はその製品に対するコミットメントを持ちます。顧客がサンプルを使い、肌の調子が良くなったと感じた場合、その製品を購入する可能性が高まります。
方法2:小さなコミットメントから始める
顧客に対して小さなコミットメントを求めることで、その後の大きなコミットメントへの道を整えることができます。顧客が小さなコミットメントを果たすことで、一貫性の原理から、その後も類似の行動を続ける可能性が高まります。
たとえば、あなたが健康食品の定期購入プランを提供している場合、顧客に最初に1ヶ月分だけの購入をお願いすることができます。顧客が1ヶ月分を購入した後、その商品に満足した場合、定期購入プランに加入する可能性が高まります。
方法3:顧客の意見やフィードバックの取り入れ
顧客に対して意見やフィードバックを求め、それを商品やサービスに反映させることで、顧客は自分の意見に一貫性を持ち、その商品やサービスに対する関心を維持します。
たとえば、あなたがレストランを経営している場合、顧客からメニューやサービスに関する意見を求め、それを改善に取り入れることができます。顧客は自分の意見が反映されたことにより、一貫性を保ちたいという気持ちから、再度そのレストランを訪れる可能性が高まります。また、顧客は自分の意見が価値あるものと認識されたことで、そのレストランに対する好意や忠誠心が増すでしょう。
コミットメントと一貫性の原理をマーケティングに活用する方法
では、ここからはコミットメントと一貫性の原理をマーケティングに活用するための方法を紹介していきます。
- SNSでの共有やいいね
- オンラインレビューや評価の要請
- クーポンやディスカウントの提供
方法1:SNSでの共有やいいね
顧客に対して、SNSであなたのブランドや商品に関する投稿を共有したり、「いいね」をするよう促すことができます。顧客が自分の意見や支持を公開的に示すことで、コミットメントが生まれ、一貫性の原理からそのブランドに対する関心を維持し続けることが期待できます。
たとえば、あなたがエコフレンドリーな製品を販売している場合、顧客にSNSで環境保護に関する投稿を共有するよう促すことができます。顧客が投稿を共有したり、「いいね」をすることで、エコフレンドリーな製品に対する関心が高まり、あなたのブランドへの忠誠心が増すでしょう。
方法2:オンラインレビューや評価の要請
顧客に対して、オンライン上で商品やサービスに関するレビューや評価を書くよう依頼することができます。顧客が自分の意見を公開することで、一貫性の原理からその意見に従って行動し続けることが期待できます。
たとえば、あなたがオンラインストアを運営している場合、購入後のフォローアップメールで顧客に商品レビューを書いてもらうようお願いすることができます。顧客がポジティブなレビューを書いた場合、一貫性を保ちたいという気持ちから、その商品やブランドに対する好意を維持し、リピート購入や友人への紹介が期待できます。
方法3:クーポンやディスカウントの提供
顧客に対して、次回の購入で使用できるクーポンやディスカウントを提供することができます。これにより、顧客は次回の購入に対するコミットメントを持ち、一貫性の原理からその商品やサービスに対する関心を維持します。
たとえば、あなたが衣料品店を経営している場合、顧客に初回購入後に次回購入時に使えるクーポンを提供することができます。顧客がクーポンを受け取ることで、次回の購入に対するコミットメントが生まれ、一貫性の原理からその店舗に対する関心を維持し、リピート購入が期待できます。
まとめ
コミットメントと一貫性の原理とは|ビジネス活用術を徹底解説
コミットメントと一貫性の原理は、ものすごく影響力のあるテクニックと言えるでしょう。
なぜなら、人間の本能に突き刺すテクニックだからです。コミットメントと一貫性の原理は、仕事、交友、恋愛、全てに使うことができるので、あなたの生活に合わせて、効果的に使っていきましょう。
コミットメントと一貫性の原理とは|ビジネス活用術を徹底解説