【アンダーマイニング効果】やる気を奪う心理学

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アンダーマイニング効果とは、内発的動機付けで行われていたことに、物質的・金銭的報酬などの外発的動機付けをすると、やる気を失ってしまう心理現象です。

 

たとえば、親から「勉強しなさい!」と強制され、勉強へのやる気が一気に低下してしまったなんて経験ありませんか?

他にも、楽しんでやっていたことに対して、無理やり報酬を与えるようになると、その報酬をもらうためにしか行動を取ろうとしなくなったりもします。

このように、外部による動機付けにより、やる気を低下させてしまうことがあります。

 

しかし、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?

 

というわけで本日は、

本日のテーマ

  1. アンダーマイニング効果とは
  2. アンダーマイニング効果の具体例
  3. アンダーマイニング効果を効果的に利用する方法

というテーマでブログを執筆していこうと思います。

 

アンダーマイニング効果とは

アンダーマイニング効果

内発的動機付けで行われていたことに、物質的・金銭的報酬などの外発的動機付けをすると、やる気を失ってしまう心理現象

 

アンダーマイニング効果の具体例

ではいくつか具体例を見ていきましょう。

 

好きな仕事

入社当初は好きでやっていたが、最近新しく入ってきた管理職からめちゃめちゃ命令されるようになったとします。

「〇〇日までに絶対に終わらせろよ!」などと。

すると、今までやっていた仕事が一気に楽しくなくなり、仕事をするのがバカバカしくなったりします。

 

勉強

歴史の勉強が大好きだった子供に「毎日勉強していて偉いからお小遣いあげるね」と報酬を渡すと、それ以降、子供は報酬を渡されないと勉強をしなくなります。

 

ボランティア活動

ボランティアでゴミ拾いをしている人に「いつもありがとう」と報酬を与えるようになると、それ以降、報酬が発生しないと憤慨し、ボランティア活動に嫌気がさしてしまうこともあります。

 

外発的動機付け・内発的動機付け

では、外発的動機付けと内発的動機付けの具体例をお伝えします。

 

外発的動機付け

外発的動機付けとは、外部から与えられる「受動的」な動機付けです。

  • ボーナスアップのために、仕事を頑張る
  • お母さんに怒られないために、勉強をする
  • 尊敬している人に「本を読め!」と言われたので、本を読む

 

内発的動機付け

内発的動機付けとは、内部から自発的に沸き起こる「能動的」な動機付けです。

  • 楽しいからゲームをやる!
  • 興味関心があるから、心理学について調べる!
  • 心が穏やかになるから、ボランティア活動をする!

 

アンダーマイニング効果の実験

心理学者リチャード・ニスベットは、3歳から5歳までの未就学児を対象にある面白い実験を行いました。

実験内容は、未就学児がマーカーペンや他のおもちゃを使って遊ぶ回数と時間を観察するというものです。

 

その際、未就学児を2つのグループを分けます。

  1. マーカーペンで上手に絵が描けたらご褒美をあげると伝える
  2. 何も言わなかった

 

そして、子供たちがその後どれくらいの時間マーカーペンを使って遊ぶのかを調べました。

実験の結果、①は②よりも長時間マーカーペンを使って遊んでいたことが分かりました。

さらに数週間後、マーカーペンに対する未就学児の反応を調べたのですが、

  1. は、ご褒美がないと全くマーカーペンに興味を示さなくなった
  2. は、前回と同じく自発的にマーカーペンで遊んでいた

という結果となたのです。

 

アンダーマイニング効果はなぜ発動するのか

ではここからは、アンダーマイニング効果がなぜ発動してしまうのかについて解説していきます。

 

自律性が失われる

アンダーマイニング効果が発動する理由は、「自律性」が奪われてしまうからです。

 

「自律性」とは、人の「選択したい」という自由への欲求のことです。

コロンビア大学の教授シーナ・アイエンガーは、名著『選択の科学』にて、自律性と幸福感には相関関係があると言っています

 

つまり、「自分で選択したい!」という欲求が、外発的動機付けにより損なわれてしまい、やる気を失ってしまうのです。

 

選択権を与えよ

ではどのようにすれば、他者のやる気を高めることができるようになるのでしょうか?

それは、選択権を与えることです。

人は、自らの手で選択しているという感覚を与えるだけで、やる気が高まることが分かっています。

 

報酬を選ばせる

たとえば、多くの企業は営業マンに対して予め決まった割合の成果報酬を金銭で与えます。

もしも、営業マンの「自律性」を高めたいのであれば、成果報酬を

  • 金銭
  • 休暇
  • ギフト券

と選択肢を与えればいいのです。

多くの営業マンは「金銭」を選択するでしょうがこれでいいのです。

なぜなら、自ら選択させることで、同時にやる気も高まるからです。

 

「選択権」と「やる気」の実験

心理学者のダイアナ・コルドヴァは、子供(小学3年生〜高校生)の選択の感覚に関する実験を行いました。

コルドヴァは、生徒たちにSFをテーマにしたパソコン用の算数学習ゲームを与えました。

このゲームは、算数式を解く順番を学ぶためのものです。

たとえば、「6+4×5=?」のような問題です。(4×5から解きますよね?)

 

そして、子供たちを2つのグループに分けました。

  1. 学習内容を何も選択できない
  2. 学習内容を選択できる(自分を表すアイコンを4つの中から選択可能、宇宙船に好きな名前を付けることが可能)

 

実験の結果、②の子供たちの方が、ゲームを楽しみ、休み時間にもプレーを続ける傾向がありました。

さらに、その後の算数のテストでも、成績を向上させることができたのです。

 

選択対象が学習内容とは、無関係であったにも関わらずですよ?

これは、選択の感覚を与えることで、自律性の欲求が満たされ、内発的動機づけが高まり、大きな成果を上げることが出来たからと言えますね。

 

内発的動機付けは成果が出やすい

実は、外発的動機付けよりも、内発的動機付けによる行動の方が、成果を上げる可能性が高いということが分かっています。

 

減量

たとえば、肥満の人の減量を取り上げた研究では、スタッフの人たちが「自律性」を尊重してくれると感じた被験者の方が、

スタッフに管理されていると感じた被験者と比べて体重を多く減らし、定期的にエクササイズを行い、その後の追跡調査でも、体重を維持していることが分かりました。

 

社会的成功

他にも、自らに選択権があり、人生は自分で切り開くものだと考える人ほど、モチベーションが高く、成功しやすいという研究もあります。

※研究を取り上げたら、キリがないくらいです

 

つまり、人は外発的動機付けにより、選択の自由が奪われていると感じると、成果を上げることが困難になるということですね。

 

アンダーマイニング効果を左右するインセンティブの大きさ

ではここからは、アンダーマイニング効果をさらに深掘りして解説していこうと思います。

 

大きなインセンティブ(報酬)は万能ではない

きっと、大きなインセンティブの方がやる気を高めると思っているかもしれませんが、実は、そんなこともないです。

 

大きなインセンティブはパフォーマンスを下げる

2009年の研究では、被験者は創造性と記憶力、運動スキルを測定するタスクに取り組んだが、大きなインセンティブを与えられると、急激に成績が落ちました。

理由としては、大きなインセンティブのプレッシャーに負けてしまったからです。

 

たとえば、優勝賞金100万円よりも、優勝賞金1000万円の方がプレッシャーがかかって、思ったようなパフォーマンスが出せないのと一緒です。

つまり、インセンティブが大きいからといって、常にやる気が高まるわけではないということですね。

 

インセンティブの大きさを使い分ける

しかし、大きなインセンティブが悪いのかというと必ずしもそうではありません。

結論から言うと、「大きなインセンティブ」と「小さなインセンティブ」の使いわけが大切なのです。

 

十分に払うか、全く払わないか

ウリ・ニーズィーとアルド・ルスティキニの実験を紹介します。

 

被験者の高校生に、寄付を募るため民家を回らせました。

高校生たちのインセンティブに違いをつけました。

  1. 大きなインセンティブ:集めたお金の10%
  2. 小さなインセンティブ:集めたお金の1%
  3. インセンティブなし

 

すると、結果は下記のような順位となりました。

  1. インセンティブなし
    →平均239シュケル
  2. 大きなインセンティブ
    →平均219イスラエル・シュケル
  3. 小さなインセンティブ
    →平均154シュケル

 

面白いですよね?

インセンティブがゼロの学生が一番寄付を募ることができたのですから。

 

一貫性の原理

なぜインセンティブなしの学生が、大きなインセンティブの学生とほぼ同等のお金を集めることができたのでしょうか?

それは、一貫性の原理が働いたからです。

一貫性の原理

行動と一致した態度を取るようになるという心理現象

 

大きなインセンティブだと「お金のために頑張る!(外発的動機)」という動機になります。

これは分かりますよね?

 

しかし、インセンティブがゼロだと「私は自分の意思でボランティア活動をしているんだ!(内発的動機)」という動機に変わるのです。

これには認知的不協和が関連しているので詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしていただければと思います。

【認知的不協和】2つの矛盾から起こる人間心理とは【←ビジネス活用法】

2020年4月9日

 

このように、相手のやる気を高めたいのであれば、

十分に払うか、全く払わないか

を意識していただければと思います。

 

アンダーマイニング効果を左右する2つのインセンティブ

ではここからは、アンダーマイニング効果をさらに深掘りして解説していこうと思います。

 

2つのインセンティブ(報酬)

インセンティブには大きく分けて2つ存在します。

  1. 金銭的インセンティブ
  2. 社会的インセンティブ

 

金銭的インセンティブ

  • お金による報酬(成果報酬など)

 

社会的インセンティブ

  • モノや言葉による報酬(プレゼントや褒め言葉など)

社会的インセンティブは、相手の「内発的動機」を強化します。

 

これら2つのインセンティブは、TPOに応じて使い分けることで、さらにやる気を高めることになります。

 

長期的な関係を築きたい

この場合は、「社会的インセンティブ」が最適です。

なぜなら、もしも「金銭的インセンティブ」を与えてしまうと、社会的関係から市場的関係になってしまうからです。

 

引越しの手伝い

たとえば、あるふたりの友達に引越しの手伝いをしてもらったとします。

あなたはそのお礼に、彼らに別々のインセンティブを渡します。

  1. ワイン1本(社会的インセンティブ)
  2. 5,000円(金銭的インセンティブ)

 

そして2週間後のある時、新しい家で水道管が破裂したとします。

さて、どちらの友達が手伝ってくれる可能性が高いでしょうか?

 

お分かりの通り、社会的インセンティブを受け取った友達でしょう。

なぜなら、彼は社会的関係を維持しようと(内発的動機)、仮に報酬がなかったとしても、また手伝ってくれる可能性が高いですが、

金銭的インセンティブを受け取った友達は、また金銭的インセンティブを要求するようになる可能性が非常に高くなるからです。

 

このように、特定の人物と長期的な関係を続けたいのであれば、「金銭的インセンティブ」は全く向いていません。

 

一度だけ何かをしてもらいたい

この場合は、「金銭的インセンティブ」が最適です。

なぜなら、行動する動機を一瞬で強化できるからです。

「これだけのお金をもらったことだし!」みたいな感じで。

 

引越しの手伝い part.2

先ほどの「引越し」の例を引き合いに出すと、もしも社会的インセンティブで手伝ってもらえないようであれば、

別の手段、つまり、金銭的インセンティブで手伝ってもらうようにするのです。

すると、外発的動機が強化され、手伝ってくれる可能性が高くなります。

しかし、先ほどもお伝えした通り、金銭的インセンティブで手伝った人は、それ以降もお金でしか動かなくなる可能性が高いですが。

 

まとめ

本日は、

本日のまとめ

  1. アンダーマイニング効果とは
  2. アンダーマイニング効果の具体例
  3. アンダーマイニング効果を効果的に利用する方法

というテーマでブログを執筆しました。

 

オススメ記事

もしも、その他の心理テクニックについて理解を深めたいという方は、こちらの記事をチェックしていただければと思います。

【完全版】営業で活用するべき心理学47選

2020年2月3日

 

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