- 片面提示とは、ある対象のメリット(またはデメリット)だけを伝える説得術
- 両面提示とは、ある対象のメリットとデメリットの両方を伝える説得術
営業・交渉などでは、これらを使い分けることで、相手を効果的に説得することができるようになります。
というわけで、本日は
- 片面提示とは
- 両面提示とは
- 片面提示と両面提示を使い分け方
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
片面提示とは
ある対象のメリット(またはデメリット)だけを伝える説得術
片面提示の例
- こちらの商品は、非常に性能が充実しています
- この薬を飲むことで、痛みを軽減させることができます
- A店が出すパスタは絶品です
相手と信頼関係がある時は使ってもOK
相手との信頼関係がある場合は、片面提示で問題ありません。
なぜなら、メリットだけを伝えたとしても、そこまであなたのことを疑うことをしないからです。
注意点
しかし、片面提示では、気をつけなければならないことがあります。
それは、後でデメリットが発覚した場合、信頼を失ってしまう可能性があるところです。
例:美味しいパスタ
たとえば、友達を「A店が出すパスタが美味しいんだよ!」と片面提示で誘ったとします。
しかし、行ってみたものの、価格がめちゃめちゃ高かったら「こんなに高いなんて聞いてないよ!」となってしまうわけです。
だから、デメリットも一緒に伝えた方がリスクがないので、どうせだったらデメリットも一緒に伝えるのが良いかと思います。
両面提示
ある対象のメリットとデメリットの両方を伝える説得術
両面提示の例
- 重量感は増えましたが、こちらの商品は、非常に性能が充実しています
- 〇〇という副作用はありますが、この薬を飲むことで、痛みを軽減させることができます
- ちょっと値段は高いですが、A店が出すパスタは絶品です
相手と信頼関係がない時に効果的
相手との信頼関係がない場合は、両面提示を使うようにしましょう。
なぜなら、信頼関係がない中で、対象のメリットだけを伝えられると、「この人は良いところしか言っていないのではないか?」と疑いの目を向ける可能性が高くなるからです。
例:営業
たとえば、初めて会った営業マンから、メリットだけを伝えられても、ちょっと信じられないですよね?
なぜなら、「まぁそりゃ営業マンだし、良いところしか言わないよね〜」となるからです。
しかし、あえてデメリットも一緒に伝えることで、信頼関係を強固にすることができるようになります。
「この人は、わざわざ言う必要がないデメリットまで伝えてくれている!信用できる!」という感じで。
なので、初対面で信頼関係がまだ薄い場合は、あえてデメリットも一緒に伝えるようにしましょう。
注意点
メリットとデメリットの間に、しっかりとした関係性を持たせましょう。
ちょっと値段は高いですが、A店が出すパスタは絶品です
このように、「値段が高い→絶品」のようにメリットとデメリットの間に相関関係があれば問題ありません。
悪い例
ちょっとここから1時間ほど離れているのですが、A店の出すパスタは絶品です
このように、「距離が離れてる→絶品」のようにメリットとデメリットの間に相関関係がなければ両面提示は効果を発揮しません。
(※このケースではそこまで違和感は有りませんが)
実験:社会科学者ゲルト・ボーナー
ボーナーたちは、あるレストランの広告を3種類作りました。
- メリットだけを載せた(「くつろいだ気分を〜」)
- 繋がりが無いメリットとデメリットを載せた(「店内はくつろいだ雰囲気ですが、専用駐車場はありません」)
- 繋がりが有るメリットとデメリットを載せた(「当店は狭いですが、くつろいだ雰囲気です」)
そして、それぞれのグループの被験者が、どの広告を評価するか?を観察しました。
結果、2種類の両面体なメッセージは、共にレストランのオーナーへの信用を向上させましたが、レストランの評価が最も高かったのは③という結果となりました。
このように、メリットとデメリットの間には関係性がないと、効果は最大化しないということが分かりますね。
両面提示の実験
社会心理学者の林理さん、山岡和枝さんは、生命保険の広告を題材に、被験者の大学生に対して、下記の2つの広告を提示しました。
- リスクを提示しない広告(片面提示)
- リスクも提示した広告(両面提示)
そして、それぞれの広告に「どれくらい好感をもったか?」を聞きました。
結果、80%の大学生は、リスクも提示した広告(両面提示)に好感を示しました。
このように、デメリットと一緒にデメリットも同時に提示された方が、信頼が生まれそれが高感度を高めるようです。
営業マンからすると、わざわざ伝える必要のないことを伝えているわけですから、それは好意レベルも高まりますよね。
両面提示の順番
次のうちどちらの順番で提示した方が、効果的に信用を高めることができると思いますか?
結論:デメリット→メリット
- 親近効果
- コントラストの原理
理由1:親近効果
最後の印象が記憶に残りやすいという心理現象
つまり、「メリット→デメリット」という順番で提示してしまうと、「デメリット」が記憶に強化されてしまうわけです。
だから、必ず「デメリット」から伝えるようにしましょう。
- 重量感は増えましたが、こちらの商品は、非常に性能が充実しています
- 〇〇という副作用はありますが、この薬を飲むことで、痛みを軽減させることができます
- ちょっと値段は高いですが、A店が出すパスタは絶品です
理由2:コントラストの原理
先行刺激によって、行動の刺激が歪められて認知されてしまうという心理現象
たとえば、先に5キロの荷物を持つよりも、10キロの荷物を持ってからの方が5キロの荷物が軽く感じますよね?
つまり、「デメリット→メリット」という順番で提示することで、メリットだけを伝えた時より、メリットの部分がより強調されるわけです。
さらにいうと、小さなデメリットを伝えて、大きなメリットを伝えると、メリットの部分が最大化されるので、オススメです。
両面提示を上手く使え!
結論、「××だからこそ〇〇だ!」という伝え方をすると、デメリットを逆にメリットだと感じさせることができます。
例:動画編集ソフト
Premiere Pro(動画編集ソフト)は、設定が複雑でものすごく使いにくいからこそ、細部の編集にまでこだわることができます!
どうですか?普通に考えるとデメリットとなり得る「設定が複雑で使いにくい」という要素をむしろメリットに感じませんか?
このように、「××だからこそ〇〇だ!」は、ものすごく使えるテクニックなので、ぜひ営業・マーケティングなどで活用するようにしてましょう。
まとめ:両面提示
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 片面提示とは
- 両面提示とは
- 片面提示と両面提示を使い分け方
というテーマでブログを執筆しました。
「デメリットを伝えると、交渉に失敗する可能性が高まるのでは!?」というのはただの勘違いです。
むしろ、デメリットも一緒に伝えた方が、信頼関係も強固になりますし、交渉後のトラブルも激減します。
なので、デメリットを包み隠していた方は、ぜひ積極的にデメリットを伝える交渉をするようにしましょう。