保有効果とは|他者を依存させる心理学

保有効果とは、所有しているモノに対して、不当に価値付けしてしまう心理現象のことです。

たとえば
  • モノが捨てられない…
  • 投資の損切りができない…
  • 関係がズルズル続き、恋人と別れられない…

上記のような経験をしたことはないでしょうか?

実は、これらは全て保有効果による現象なのです。

しかし、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?

というわけで本日は、

本日のテーマ
  1. 保有効果とは
  2. 保有効果の実験例
  3. 保有効果をマーケティングに活用する方法

というテーマでブログを執筆していこうと思います。

保有効果とは

保有効果

所有物に対して、不当に価値付けしてしまう心理現象

保有効果は、経済学者リチャード・セイラー氏により提唱されました。

別名、さずかり効果」とも呼ばれています

参考図書:実践 行動経済学

保有効果の具体例

ではいくつか具体例を見ていきましょう。

例1:断捨離

「モノを捨てられない…」といった経験はありませんか?

たとえば、洋服、靴、カバン など。

これは、購入したモノに対して、無意識のうちに不当に価値付けしてしまうからです。

例2:損切りできない

「購入した株をなかなか手放せない…」なんて経験がありませんか?

たとえば、1000円で購入した株が900円まで下がってしまったとする。(900円は損切りポイントだとする)

しかし、多くの人はここで損切りすることができません。

なぜなら、一度購入したことにより保有効果が働き、「大丈夫!上がるはずだ!」と希望的観測を持つようになるからです。

例3:恋人と別れられない

浮気ばかりする最低な男と別れないない女性っていますよね?

正直、「なんで別れないの!?」とイライラする人も多いと思いますが、これにも保有効果が影響しています。

つまり、一度付き合って、それまで多くの時間を共に過ごしてきたことにより、たとえ浮気をするような最低な男だったとしても、価値付けしてしまうわけです。

保有効果の実験

行動経済学者のダニエル・カーネマンは、ある実験を行いました。

実験:ダニエル・カーネマン

手順1

まず実験参加者を2つのグループに分けます。

半分には、ランダムに実験の実施場所となった大学の紋章入りのマグカップ(6ドル)を割り当て、残り半分の参加者にそのマグカップを売るという実験を行います。

つまり、被験者を「売り手」と「買い手」という2つのグループに分けたわけです。

2つのグループ
  1. マグカップを売るグループ
  2. マグカップを買うグループ

手順2

その際、それぞれのグループに別々の質問をします。

別々の質問
  1. 「売り手」には、「このマグカップをいくらだったら売りますか?」
  2. 「買い手」には、「このマグカップをいくらだったら買いますか?」

そして、それぞれの被験者がどれくらいの値付けをするのか?を観察しました。

実験の結果

実験の結果
  • 「売り手」=7.12ドルで売る
  • 「買い手」=2.87ドルで買う

なんと、「売り手」は「買い手」の2倍以上の値段を付けるという結果となったのです。

このように、ある対象を一度所有してしまうと、それに不当に価値付けしてしまうという現象が起こります。

保有効果はなぜ発動するのか

しかし、なぜ保有効果は発動するのでしょうか?

結論:一貫性の原理

一貫性の原理

ある思考・行動を取り続けようとする心理現象

例:映画

たとえば、映画の冒頭が退屈だったとしても、結局最後まで観てしまいませんか?

これは、「映画を観る」という行動を、一貫して取り続けようとするからです。

行動と矛盾しない行動を取る

これは、保有効果にも同じことが言えます。

たとえば、あなたが服を購入したとする。

すると、「服を購入した」という行動と矛盾しない行動を取ろうとするのです。

つまり、「服を保有し続ける」という行動ですね。

保有効果と関連した心理学

3つの心理学
  1. 損失回避の法則
  2. 現状維持バイアス
  3. サンクコスト効果

心理学1:損失回避の法則

損失回避の法則

人は損失に大きな影響を受けるという心理法則

「失う」=「死」

われわれがサバンナで生活をしていた時代、何かを失うということは「死」に直結する概念でした。

たとえば、所有している食べ物を失ってしまうと、次いつ手に入るか分からないわけです。

(昔はコンビニなんてありませんからね)

だから、手に入った食べ物をなんとしても所有し続けようとしていたわけです。

このように、われわれはサバンナ時代に培った本能によって、何かを失うという「損失」に敏感に反応するようにできているわけです。

心理学2:現状維持バイアス

現状維持バイアス

「現状を維持したい!」という人間の欲求のこと

「新しいこと」=「死」

われわれがサバンナで生活をしていた時代、新しいことにチャレンジすることは「死」に直結した概念でした。

たとえば、「現在の集落」から「別の集落」に移動すると、移動中に猛獣に襲われたり、移動した後も予想していなかった災害に襲われる可能性があります。

だから、われわれはちょっと不自由なことがあっても、現状維持をし続けることを選択するのです。

心理学3:サンクコスト効果

サンクコスト効果

特定の対象にコスト(お金・時間・労力など)をかけると、それに不当に価値付けをしてしまうという心理現象

例:男女の恋愛感の違い

男女の恋愛感の違いを説明する時よく下記のようなことが言われます。

男女の恋愛観
  • 男性=別フォルダを作る
  • 女性=上書き保存

つまり、“男性は恋愛を引きずる”ということをこのように表現したりします。

これは、男性が女性にかけてきたコストが大きいから起こる現象なのです。

しかし、女性はコストをかけられている側なので、恋愛を引きずることはほとんどありません。

動画にしました

保有効果をマーケティングに活用する方法

マーケティングに活用する方法
  1. 返金保証
  2. 無料お試し

方法1.返金保証

全額返金保証をすることで、商品・サービスを手に取ってもらえる数を増やすことができます。

なぜなら、「どうせ後から返金すればいいかぁ〜」という安心感を与えることができるからです。

全額返金=リスク?

「全額返金保証!」なんて聞くと「それってかなりリスクありませんか!?」って感じたのではないでしょうか?

しかし、安心してください。

なぜなら、保有効果によって返金率は低くなるからです。

全額返金のメリット
  • 全額返金保証を付ける
  • 顧客が手に取りやすくなる(購入者が増える)
  • 保有効果が働く
  • 返金率が低くなる
  • 売上は伸びる

平均返金率

さらに、安心材料をお伝えすると、通販などのネットショッピングの平均返金率は2~4%ほどだそうです。

仮に、「全額返金保証」を付けることで、10万円の商品を100名に販売できたとする。

そして、そこから4名の返金要請が出たとしても、総売上は960万円ですからね。

方法2.無料お試し

無料のお試しによって、商品・サービスを手に取ってもらえる数を増やすことができます。

無料のお試し=無駄?

無料のお試しは売上を上げるうえで非常に効果的なマーケティング手法と言えます。

なぜなら、無料のお試しによって、一度商品・サービスを保有させると、保有効果によって手放せなくなるからです。

全額返金のメリット
  • 無料のお試しを実施する
  • 顧客が手に取りやすくなる
  • 保有効果が働く
  • 有料で購入する
  • 売上は伸びる

例:ドモホルンリンクル

引用:https://www.saishunkan.co.jp/domo/

株式会社 再春館製薬所が製造・販売する基礎化粧品であるドモホルンリンクルは、約3日分の化粧品セットを無料で提供しています。

もしかしたら、「それってリスクじゃん!」と思う人もいるでしょうが、1974年創業以降ずっと売上をあげ続けています。

おすすめ図書:バイアス・ヒューリスティック

まとめ:保有効果

では最後にまとめましょう。

本日は、

本日のテーマ
  1. 保有効果とは
  2. 保有効果の実験例
  3. 保有効果をマーケティングに活用する方法

というテーマでブログを執筆しました。

「全額返金保証」「無料のお試し」など、一見すると販売者側が不利になるような戦略に思えるでしょう。

しかし、これこそが大きな売上を作る秘策だったりします。

なので、まだ販売戦略の中に組み込んでいないのであれば、ぜひ導入するようにしましょう。

もしも、その他の心理的錯覚について知りたい方は、下記の記事なども参考にしてもらえればと思います。

➡︎質問は公式LINEからどうぞ
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