ツァイガルニク効果とは、未完了のものが想起されやすくなるという心理現象のことです。
たとえば、アニメを観ている途中で「続きはCMのあと!」なんて言われると、続きが気になって仕方がなくなりますよね。このように、我々には、未完了のものが思い出されやすくなるという性質があります。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。本記事では、ツァイガルニク効果が発動する心理学的メカニズム、またそれを営業やマーケティングに活用する方法を紹介していきます。
というわけで本日は、
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
ツァイガルニク効果とは
未完了のものが想起されやすくなるという心理現象
ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect)は、心理学者ブラウマ・ツァイガルニク(Bluma Zeigarnik)によって初めて説明された現象で、未完了のタスクや中断された作業に対して記憶が強化されるというものです。これは、人々が途中で終わった仕事や未解決の問題に対して、完了済みのものよりも注意を払いやすいという傾向を示します。
ツァイガルニク効果は、認知心理学や人間の記憶の研究において重要な概念であり、心理学者たちがさまざまな状況でこの現象を調査しています。この効果は、タスクの中断や遅延が記憶に与える影響を理解するために役立ちます。
ツァイガルニク効果は、広告やマーケティング、教育などの分野で応用されています。例えば、物語や映画でのクリフハンガーやシリーズものの途中で終わるエピソードは、視聴者が次のエピソードや続きを追い求めることを促します。教育の分野では、この効果を利用して学習者の興味を引き、記憶の定着を助けることができます。
ツァイガルニク効果の由来
ツァイガルニク効果は、1920年代にロシアの心理学者ブラウマ・ツァイガルニク(Bluma Zeigarnik)が発見した現象です。彼女は、ウィーンでカフェを訪れた際、ウェイターが客のオーダーを覚えていられることに興味を持ちました。ウェイターは、未払いの注文を正確に覚えている一方で、支払いが済んだ注文についてはすぐに忘れてしまっていました。
この観察に基づいて、ツァイガルニクは実験を行い、未完了のタスクや中断された作業が、完了したタスクに比べて記憶に残りやすいことを発見しました。彼女は、未解決の問題や未完了の作業に対して人々が注意を払いやすい傾向があることを示しました。
この効果は、その後「ツァイガルニク効果」として広く認識されるようになり、認知心理学や人間の記憶の研究において重要な概念となりました。また、広告、マーケティング、教育などの分野で応用されるようになりました。
ツァイガルニク効果の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- クリフハンガー
- ゲームやアプリの進行状況
- 未読メールや未完了のToDo リスト
事例1:クリフハンガー
テレビドラマや映画、小説などの物語において、続きが気になるような状況で終わるエピソードや章があります。これらは、視聴者や読者が次のエピソードや続きを追い求めることを促し、物語への興味を維持させる効果があります。
事例2:ゲームやアプリの進行状況
多くのゲームやアプリでは、プレイヤーやユーザーが途中で終わったレベルやタスクを続けることができます。このような未完了のタスクは、ツァイガルニク効果により記憶に残りやすくなるため、プレイヤーやユーザーがゲームやアプリに引き続き興味を持ち、続けることを促します。
事例3:未読メールや未完了のToDoリスト
日常生活で、未読のメールや未完了のToDoリストがある場合、それらが気になりやすく、完了済みのタスクよりも記憶に残りやすいことがあります。この効果を利用して、重要なタスクを優先的に完了させることができます。
ツァイガルニク効果の実験
ブルーマ・ツァイガルニク(Bluma Zeigarnik)が行ったツァイガルニク効果に関する有名な実験は、1920年代後半に行われました。彼女は、当時ベルリン大学でカール・ダンバー(Kurt Lewin)のもとで学んでいました。
ツァイガルニクは、被験者にさまざまなタスクを実行させました。これらのタスクは、パズルや折り紙など、短時間で完了できるものでした。被験者は、これらのタスクの一部を完了させることができましたが、他のタスクは途中で中断されました。実験の目的は、被験者がどの程度タスクを覚えているかを調査することでした。
実験の結果、被験者は中断されたタスクを完了したタスクよりもはるかによく覚えていました。ツァイガルニクは、未完了のタスクが記憶に強く残る理由は、未解決の問題に対する脳の注意や緊張が継続しているためだと結論付けました。
この実験結果に基づいて、ツァイガルニクは「ツァイガルニク効果」という概念を提唱しました。この効果は、未完了のタスクや中断された作業に対する記憶が、完了したタスクに比べて強化される現象を指します。これは、脳が未解決の問題や未完了のタスクに対して注意を払い続けるためです。
ツァイガルニクが発動する理由
ツァイガルニク効果は、以下の3つの理由により発動するとされています。
- 不快な緊張の解消
- 情報処理の優先度
- 好奇心と学習欲求
理由1:不快な緊張の解消
未完了のタスクや中断された作業は、脳が解決を求めるストレスや緊張を生み出します。脳はこの不快な緊張を解消するために、未解決の問題に対して注意を払い続ける傾向があります。
理由2:情報処理の優先度
脳は未完了のタスクに対する情報を優先的に処理し、そのタスクに関連する情報を記憶に残しやすくします。これは、脳が未解決の問題に関する情報を継続的に検索し、整理しようとするためです。
理由3:好奇心と学習欲求
ツァイガルニク効果は、人間の好奇心や学習への欲求と関連しています。未完了のタスクや中断された作業は、人々の好奇心を刺激し、続きを知りたいという欲求を生み出します。この欲求が、記憶の定着を助けることがあります。
ツァイガルニク効果を営業に活用する方法
では、ここからはツァイガルニク効果を営業に活用する方法をいくつか紹介します。
- 話の途中で中断
- 興味付け
- ストーリーテリング
方法1:話の途中で中断
営業の途中で、興味深い話題や商品の特徴について説明を始め、途中で意図的に中断します。これにより、顧客の好奇心が刺激され、続きを知りたいという欲求が生まれます。例えば、新しい製品の革新的な機能を紹介し、詳細は後ほど説明すると伝えることで、顧客の興味を引き続けることができます。
方法2:興味付け
興味付けとは、こちらの話に注意を向けさせるテクニックのことです。興味付けを行う上で効果的なのがクイズです。なぜなら、クイズを出されると、その解答を知りたいと感じるようになるからです。たとえば、初心者の顧客にPCを販売するのであれば、「PCを選ぶ上で意識するべき3つのことってご存知ですか?」とクイズをスタートさせます。すると、クライアントはその答えが気になってしまいます。
方法3:ストーリーテリング
営業の際に、顧客との会話やプレゼンテーションで物語や実例を用いることで、顧客の興味を引くことができます。物語の途中で一時停止し、その後で続きを説明することで、ツァイガルニク効果を活用して顧客の興味を維持できます。例えば、顧客に過去の成功事例を説明し、その後に、成功の秘訣や商品・サービスの関連性を明らかにすることで、顧客の興味を持続させることができます。
ツァイガルニク効果をマーケティングに活用する方法
では、ここからはツァイガルニク効果をマーケティングに活用する方法をいくつか紹介します。
- 広告のクリフハンガー
- SNSでの情報の断片化
- シリーズ化されたコンテンツ
方法1:広告のクリフハンガー
広告やプロモーション動画の中で、物語や情報を途中で切り上げることで、視聴者の興味を引き続けることができます。例えば、新製品の特徴を紹介する動画の最後に、「詳細は公式ウェブサイトで確認してください」とメッセージを入れることで、視聴者が続きを知りたいと思い、ウェブサイトを訪れることが期待できます。
方法2:SNSでの情報の断片化
SNSでの投稿やストーリー機能を使って、情報や物語を断片的に公開することで、フォロワーの興味を引き続けることができます。例えば、新製品の開発過程やイベントの様子を一部だけ公開し、「続きは次の投稿で」と伝えることで、フォロワーが次の投稿を楽しみに待つことが期待できます。
方法3:シリーズ化されたコンテンツ
ブログ記事やメールマーケティングで、シリーズ化されたコンテンツを提供することで、読者の興味を維持することができます。例えば、「ビジネス成功の秘訣シリーズ」のように、いくつかの記事に分けて情報を提供し、それぞれの記事の最後に次回のテーマを紹介することで、読者が続きを知りたいと思い、次回の記事も読むことが期待できます。
まとめ
ツァイガルニク効果とは|営業・マーケティングに活用する方法を徹底解説
ツァイガルニク効果は、営業やマーケティングなどでかなり使われている心理法則になります。
また、ここでは詳しく紹介しておりませんが、仕事や恋愛などでも活躍する心理法則になります。ツァイガルニク効果は、覚えておいて損がない心理法則になりますので、ぜひこれを機にしっかり学んでいただければと思います。
ツァイガルニク効果とは|営業・マーケティングに活用する方法を徹底解説