内集団バイアスとは、自分のグループに属している人を無意識のうちにひいきしてしまうという心理現象のことです。
たとえば、野球で同じ「巨人」ファンの人に対してなぜか好意を感じたりすることがあります。しかし、相手が「阪神」ファンだった場合、敵意を向けることがあります。
このように、我々は、無意識のうちに自分の集団内にいると感じた相手をひいきし、集団外にいる人を差別するという性質があります。
しかし、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?
というわけで本日は、
- 内集団バイアスとは
- 内集団バイアスの具体例
- 内集団バイアスを営業に活用する方法
- 内集団バイアスをマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
内集団バイアスとは
自分のグループに属している人を無意識のうちにひいきしてしまうという心理現象
内集団バイアスの具体例
では、いくつか具体例を見ていきましょう。
- 男女の考え方の違い
- 同じブランドの財布
- 討論会
例1:男女での考え方
女性は男性に対して「ガサツ!」などという評価をし、男性は女性に対して「感情的過ぎ!」などと評価したりします。
つまり、自分のが属さない外集団の人たちを低く評価したりするのです。
例2:同じブランドの財布
ファミリーレストランで食事をしていると、隣の席の人が自分と同じ財布を使っているとする。
すると、一度も話をしたことがないのにも関わらず、その人に対してなんとなく親近感のようなものを持ってしまいますよね?
例3:討論会
あなたは「自然エネルギー」に関する討論会に参加しているとする。
そして、グループが割り振られたところ、
同じグループの人たちに対しては好意を抱きますが、対立するグループの人には彼らの性格などを考慮することなく、嫌悪感を抱いてしまいますよね?
内集団バイアスはなぜ発動するのか
でも、なんでこんな現象が起こるの?
食糧をめぐるバトル
結論、人間の本能だからです。
我々がまだサバンナで生活していた時代は、食糧を欲する人たちがあまりにも多い中、マンモスの死体があまりにも不足している時代でした。
つまり、需要が供給よりも多かったわけです。
そのため、集団同士で生き残りをかけた食糧の奪い合いやバトルも行われていました。
そのような状況では「自分たちVS 彼ら」という認識を強めることが、生き残る上で非常に大切だったと言えます。
内集団バイアスの実験
では、ここからは内集団バイアスに関する実験をいくつか紹介していきます。
実験1:内集団ひいき性
被験者に「医師」「弁護士」「ウエイター」「美容師」の人たちに対する高感度を1〜100までの数値で評価してもらいました。
※被験者たちも「医師」「弁護士」「ウエイター」「美容師」
「医師」「ウエイター」「美容師」の人たちは、自分と違う職業の人たちを50前後で評価し、自分と同じ職業の人たちを70前後と極めて高く評価しました。
しかし、「弁護士」だけは例外でした。
「弁護士」は「自分と違う職業の人」「自分と同じ弁護士の人」それぞれに対して50前後で評価したのです。
では、なぜこのような現象が起きたのでしょうか?
結論、「弁護士」の場合は、「弁護士」とは対立関係になることが多いからです。
つまり、「弁護士」からすると、「弁護士」は同じ職業という意味では内集団でありながら、対立するという意味では外集団でもあるということです。
実験2:内集団バイアスと能力の関係
ハーバード大学の実験では、自分がどの集団に属しているかによって、その能力に変化が起こるということが分かっています。
ハーバード大学に通う数十人のアジア系アメリカ人女性に難しい数学のテストを受けさせるという実験をおこないます。
※彼女たちは、相反する2つの内集団に属しています。「アジア系→数字が得意」「女性→数字が苦手」
しかし、テストをする前に、彼女たちを3つのグループに分けて、別々のアンケートに答えてもらっていました。
- 自分や両親や祖父母の話す言葉や何世代前からアメリカに住んでいるかなどの質問が記されたアンケート(アジア系アメリカ人の帰属意識を呼び覚ますアンケート)
- 男女共同料に関する質問が記されたアンケート(女性の帰属意識を呼び覚ますアンケート)
- 使っている電話やケーブルテレビに関する質問が記されたアンケート
この時、それぞれのグループでどれくらいテストの点数に差が生まれるのか?を調べました。
①の被験者は③よりも成績が良く、逆に②の被験者は③よりも成績が悪くなるという結果となりました。
つまり、自分のことを「アジア系アメリカ人だ!(数字に強い)」と考えると数字に強くなり、自分のことを「女性だ!(数字に弱い)」と考えると数字に弱くなったのです。
このように、自分がどの集団に属しているかは、相手の判断に影響を与えるだけではなく、自分の能力にも影響を与えるというのは驚きですね
内集団バイアスを営業に活用する方法
では、ここからは内集団バイアスを営業に活用する方法について解説します。
結論:共通点を探す
共通点を見つけ出すことで、相手から機械的に信頼されるようになります。
とはいうものの、意外にも共通点を発見するのは難しかったりします。
たとえば、オータニは昔「空手」をやっていたのですが、これを共通点として発見するのは非常に困難と言えるでしょう。
では、どうすれば共通点を発見することができるの?
結論、下記の2つの方法を使いましょう。
- 共通要素を探す
- 要素を抽象化する
方法①:共通要素を探す
たとえば、相手の趣味がサッカーで、あなたはバスケットボールだったとする。
一見すると、これらって共通点扱いにはならないですよね?
しかし、これら2つの共通要素を探すことで、共通点扱いにすることができるのです。
汗をかく、ずっと動く、球技、練習がハード
なので、「私もバスケットボールをやっていたんですけど、本当に練習がハードですよね!」と言えば、相手から見た時に、あなたは内集団の人間に映るので、無意識レベルで好意を獲得することができるようになるのです。
方法②:要素を抽象化する
たとえば、相手がギターを趣味にしているとする。
しかし、あなたはギターをやったことがありません。
このような場合、ついつい共通点にできないと諦めてしまいますよね?
そんな時は、ギターという要素を抽象化してみましょう。
ギター → 音楽
もしも、あなたが音楽を聴くのが好きなのであれば、「私も音楽好きなんです!」と言えば、共通点にすることが可能になるのです。
内集団バイアスをマーケティングに活用する方法
では、ここからは内集団バイアスをマーケティングに活用する方法について解説します。
結論:悩みを共有する
たとえば、ブログでは、読者と悩みを共有することで、好意を獲得することができます。
とはいうものの、どうすれば読者と悩みを共有することができるのでしょうか?
結論:問題提起を使う
読者が抱えているであろう問題を提示すること
これをブログや動画の冒頭で伝えることで共感が生まれます。
その結果、ブログを最後まで読んでもらったり、動画を最後まで視聴してもらったりすることができるようになるのです。
さらに、「実は私も昔は〜だったんです…」というふうに伝えることで、読者はあなたを内集団の人間であると判断するようになるので、
ブログ・動画内で紹介している商品・サービスのコンバージョンが一気に高まります。
ポイント:細かくし過ぎない
問題提起は、そこまで細か過ぎないようにしましょう。
なぜなら、あまりにも細かすぎてしまうと、読者に共感されないからです。
たとえば、下記のような問題提起にどれくらいの読者が「はい!」と応えてくれるでしょうか?
「副業で月に10万円稼いでハワイに行きたい…」なんて思ったことはありませんか?
きっと、この問題提起に対して共感した人ってそう多くないですよね?
だから、もう少し抽象的な表現にすることが大切です。たとえば、下記のような感じです。
「副業で毎月10万円稼ぎたい…」なんて思ったことはありませんか?
このような抽象的な表現に変えるだけで、共感してくれる読者が増えます。
その結果、読者はあなたの内集団と感じるようになり、コンバージョンを高めることができるようになるのです。
まとめ:内集団バイアス
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 内集団バイアスとは
- 内集団バイアスの具体例
- 内集団バイアスを営業に活用する方法
- 内集団バイアスをマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
内集団バイアスは営業・マーケティングに活用しない理由はありません。
なぜなら、読者があなたのことを内集団の人間だと感じれば、機械的にあなたのことを「好きだ!」と感じてしまうからです。
なので、ぜひ今後は内集団を意識して営業・マーケティングを行っていただければと思います。