返報性の原理とは、貰い物をしたら、そのお返しをしなければならないと思う心理現象のことです。
たとえば、バレンタインデーにチョコをもらったら、ホワイトデーにそのお返しをしなければならないという義務感のようなものを感じますよね?
このように、われわれには貰い物をしたら、そのお返しをしなければならないという本能が備わっているのです。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで本日は、
- 返報性の原理とは
- 返報性の原理の心得
- 返報性の原理を営業に活用する方法
- 返報性の原理をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
返報性の原理(法則)とは
貰い物をしたら、そのお返しをしなければならないと思う心理現象
返報性の原理の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
例1:バレンタインデー
たとえば、バレンタインデーにチョコレートをもらったら、ホワイトデーに何かお返しをしなければならないと感じますよね?
もらったチョコが義理チョコだったとしても、「お返しをしないと!!!…」という呪縛から逃れられないのはすごいことですよね。
例2:自己開示
たとえば、警戒心の強い相手に、自己開示をさせたいのであれば、まずはこちらから自己開示しましょう。
僕は奈良県出身なんですが、花子さんはどちら出身ですか?
(私も開示しないと!)兵庫県です
例3:譲歩
たとえば、女性をデートに誘うとき、まずは無謀なお願いをしてから、本命のお願いをしましょう。
今からディナーに行かない?(急な誘い)
今日は流石に無理ですよ〜
まぁそうだよね!(譲歩)
それだったら、土日のどっちか空いてない?
花子さんが好きって言ってたパスタのお店に行こうよ!
(私も譲歩しないと!)いいですよ!
返報性の原理(法則)はなぜ発動するのか
しかし、なぜこのような現象が発動してしまうのでしょうか?
結論:本能だから
われわれがまだ狩猟採集民だった頃は、共同体を作り、お互い協力し合うことで命をつなぎ止めていました。
たとえば、ある人は運動神経がすごくいい。一方で、ある人は運動神経が悪いが、手先は器用だったとする。
この場合「手先が器用な人」が弓矢などの武器を作り、それを「運動神経が良い人」に持たせ、狩りをさせればいいのです。
そして、もしも「運動神経がいい人」が狩りに成功したら、そのうちの1/3くらいを分け与えてもらう。
このように、われわれは、お互いの強みを活かし、弱さを補填し合って生き延びてきたのです。
お返しをしなかったら…
与えてもらってばかりで、そのお返しを一切しなかったらどうなるでしょうか?
たとえば、「運動神経が良い人」が、「手先が器用な人」から武器を与えてもらったにも関わらず、獲物を分け与えなかったとしたら。
すると、「運動神経の良い人」は信頼できないということで村八分に合い、最終的に共同体から追放されてしまいます。
もちろん、共同体から追放されてしまった人は、上手く生きていくことはできず、すぐに命を落とすことになるでしょう。
返報性の原理の実験
では、ここからは返報性の原理を理解する上では欠かせない実験を紹介します。
実験:デニス・リーガン
心理学者のデニス・リーガン氏は、
被験者の学生ともう一人の学生(リーガンが仕掛けたサクラ)に美術鑑賞会をさせ、その作品の評価をさせるという実験をしました。
実験の目的
しかし、この実験の本当の目的は、
「美術鑑賞の休憩中に、サクラが被験者の学生にある行動を取るのですが、それに対する学生の反応を観察する」というもの。
手順1
その際、リーガンは、サクラが被験者の学生に取る行動を以下の2つに分けました。
- サクラは自分と被験者のコーラを買ってくる(与える群)
- サクラは自分のコーラだけを買ってくる(与えない群)
手順2
そして、美術鑑賞会が終わった後、サクラは被験者に対して下記のお願いをします。
「1枚25セントの新車が当たるくじ引きチケットを売っているんだけど、何枚でも良いから買ってくれない?」
このお願いにどれくらいの学生が、チケットをどれくらい購入するかを調べました。
実験の結果
結果、「親切にされた被験者」は、「親切にされなかった被験者」と比べて2倍ものチケットを購入したのです。
驚くべきことに、この2倍のチケットは金額に換算すると、与えたコーラの5倍もの値段となったのです。
続きの実験
さらに、実験の後、親切にされた被験者に、「サクラに関する好感度テスト」を受けてもらいました。
すると、「親切にされた被験者」は好意レベルとは関係なく、平均して同じ枚数のチケットを購入していたということが分かったのです。
つまり、返報性の原理は、好意レベルに関係なく発動する最強の心理法則ということですね!
返報性の原理を営業に活用する方法
- 自己開示の返報性
- ドア・インザ・フェイス(譲歩の返報性)
方法1:自己開示の返報性
多くの顧客は、初対面の営業マンに対して警戒心を抱いているため、自分の情報を積極的に開示しようとはしてくれません。
そこで自己開示を使うのです。
先にこちらから情報を開示することで、無意識のうちに「私も自己開示しないと!」と自己開示の返報性が生じます。
結果、顧客からの情報を開示してもらいやすくなるのです。
例1:出身地を聞く
僕は奈良県出身なのですが(自己開示)、田中さんはどちら出身ですか?
(自己開示しないと!)兵庫県です!
このように、自己開示してから質問をぶつけることで、スムーズに情報を開示させることができるようになります。
例2:自己開示無し
出身はどちらですか?
兵庫県です
趣味はなんですか?
テニスです(居心地が悪いわ…)
自己開示無しで質問をすると、「尋問」のようなコミュニケーションになってしまいます。
なので、質問をする前は、必ず自己開示をするようにしましょう。
もしも、自己開示のコツなどについて詳しく知りたい方は、『自己開示とは|好意を持たれる10のネタを紹介』を参考にしてください。
方法2:ドア・インザ・フェイス(譲歩の返報性)
ポイント
「本命の要求」をする前に、まずは「少しハードルの高い要求」をすることで、相手にその要求を断らせましょう。
なぜなら、断ったことにより、罪悪感を感じるようになるからです。
結果、次に「本命の要求」をした時、「さっきの要求は断っちゃったし…」という形で、承諾率を高めることができるのです。
例:夕食を奢ってもらう
ねぇ〜、新発売のグッチのバック欲しいなぁ〜(フェイクの要求)
え〜、嫌だよ〜
じゃあ今日の夜ご飯奢って〜(本命の要求)
それだったらいいよ〜
動画にしました
返報性の原理をマーケティングに活用する方法
では、ここからは返報性の原理をマーケティングに活用する方法について解説します。
フリー戦略
たとえば、デパ地下などの「試食コーナー」に疑問を感じたことはないでしょうか?
「なんで無料で与えるんだろう?」と。
これはフリー戦略によるもので、無料で食べ物を与えることで、返報性の原理が生じ、購入に繋げることができるのです。
では、もう少しフリー戦略を活用するには、下記の3つの方法が効果的になります。
- 無料プレゼント
- ブログ・YouTube
- ライブ配信
⑴無料プレゼント
「無料プレゼント」という企画は、フリー戦略を利用したものになります。
たとえば、下記のようなコピーを見かけたことはないでしょうか?
- 有料メルマガを今だけ無料で!
- 公式LINEに登録していただけたら、通常有料の動画を5つプレゼント!
無料プレゼントにより、顧客ロイヤリティが向上し、商品・サービスの購入などへ繋がります。
このように、質の高い情報を無料で与えることで、ビジネスを大きく拡大させることができると言えるでしょう。
⑵ブログ・YouTube
コンテンツマーケティングは、ある意味フリー戦略と言えるでしょう。
質の高い情報を定期的に届けるマーケティング手法
たとえば、ブログやYouTubeなどがそうですね。
ブログやYouTubeなどで質の高い情報をコツコツと提供することで、消費者と信頼を構築することができます。
それが、ファン獲得やひいては売上に繋がっていくのです。
⑶ライブ配信
ライブ配信は、最強のフリー戦略と言えるでしょう。
なぜなら、ライブ配信中に質問をもらって、それに答えることができるからです。
たとえば、オータニは隔週で「質疑応答型」のライブ配信を行っています。
つまり、視聴者の営業やビジネスで抱える悩みをリアルタイムで解決しているのです。
オータニは、有料サービスとして「チャンネルメンバーシップ」を運営しているのですが、悩みが解決された視聴者の多くがチャンネルメンバーになってくれます。
これって面白いですよね?
というのも、別に無料で解決されたのだから、お金を支払う必要はないのにも関わらず、お金を支払うことを選択しているからです。
このような献身的な活動が、意外にも売上を作る結果となることを忘れてはいけません。
返報性の原理の心得
では、ここからは返報性の原理を活用する上での心得について解説していこうと思います。
結論:give!give!give!
結論、与えまくりましょう。
なぜなら、与えることによって、最終的にたくさんの恩恵を受けることができるからです。
9割はテイカー(Taker)
多くの人は、他者から与えられるのを待つ「テイカー(Taker)」であることがほとんど。
しかし、このように静止した状態では、いつまで経っても与えてもらうことはできないでしょう。
なぜなら、与えていないからです。
大切なことは、「ギバー(Giver)」になること。
なので、目の前の相手に対して、与えられるものはなるべく与えていくようにしましょう。
悲報:帰ってこないこともある…
もちろん、全てのギブに対してお返しが来るわけではありません。
むしろ、返ってこないことの方が多いでしょう…
イメージ:タネ植え
しかし、だからこそ与え続けるのです。返って来る可能性が低いからこそ与えまくるのです。
これはちょうど「タネ植え」に例えると分かりやすいですね。
タネを植えたとしても、その全てが発芽するわけではなく、少数のタネが発芽する。
しかし、そこで「全然発芽しないしもういいや〜」と諦めてしまったら、いつまで経っても発芽数を増やすことはできません。
このように、ビジネス・営業では、植えたタネの多くは発芽しないということを理解しつつも、全力でネタを植え続けることが大切なのです。
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まとめ:返報性の原理
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 返報性の原理とは
- 返報性の原理の心得
- 返報性の原理を営業に活用する方法
- 返報性の原理をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
あなたが与えていないのに、他者から与えてもらうことはできません。
だからこそ、「与え続ける」という行為が大切なのです。
なので、ぜひ今日から「Taker」ではなく、「Giver」としての人生を歩んでいきましょう。
もしも、その他の心理学について知りたい方は、下記の記事を参考にしてもらえればと思います。