アドバイス・シーキングとは、相手にアドバイスを求め、好意を獲得するテクニックです。
たとえば、「ちょっと〇〇について分からないんですけど、教えてもらえますか?」という感じでアドバイスを求めることで、好意を獲得することができます。
もしかして、「え!なんで?」と思ったのではないでしょうか?
確かにちょっと信じがたいですよね。
というのも、アドバイスを求めるだけで、好意を獲得できるなんてシンプルにもほどがあるからです。
しかし、これは科学的な根拠もあり、信ぴょう性が高い心理テクニックなので、ぜひ積極的に使っていきましょう。
というわけで本日は、
- アドバイス・シーキングとは
- アドバイス・シーキングの具体例
- アドバイス・シーキングのメリット
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
アドバイス・シーキングとは
相手にアドバイスを求め、好意を獲得するテクニック
※日本語に訳すと、「Advice=アドバイス」「Seeking=求めること」となります
アドバイス・シーキングの具体例
では具体例をみていきましょう。
- 恋愛相談
- 営業
例1:恋愛相談
たとえば、花子さんは太郎くんが好きだとする。その際、花子さんは太郎くんに恋愛相談をするのがいいでしょう。
私、好きな人がいるんだけど、どうアプローチかけたらいいかな?
こんな感じで。
これをきっかけに、どんどん中を深めていけばOKです。
例2:営業
顧客にアドバイスを求めるのは非常に効果的です。
私もゴルフやっているのですが、なかなか上手くならないんですよね…上手くなるコツとかってあるんですか?
こんな感じで。
営業マンは、教える側にならなければならないと考える人が多いですが、決してそうではありません。
“教えを乞”うという行為は、むしろ信頼獲得においては非常に高い効果を発揮します。
アドバイス・シーキングはなぜ発動するのか
でも、なぜ人にアドバイスを求めることで、信頼を獲得できるの??
結論:コミットメントと一貫性の原理
行動と一致した思考、行動を取るという心理効果
例1:歌うから、楽しくなる
世界的心理学者ウィリアム・ジェームズは、下記のような言葉を残しています。
笑うから歌うのではない
歌うから楽しい気分になるのだ
つまり、「歌う」という行動をすることで、その行動と矛盾しない「楽しい」という気分になるということですね。
- 歌う(行動)
↓ - 楽しい(態度)
例2:筋トレ
だから、「仕事のやる気が出ない…」という人は、作業をする前に、「筋トレ」などの運動をするのが良いでしょう。
なぜなら、運動をすることで、後から気分が上がってくるからです。
すると、その気分を仕事にキャリーオーバーすることができます。
助ける→好き
これは、アドバイス・シーキングにおいても全く一緒です。
たとえば、「太郎くんを助ける」という行動をするから、その行動と矛盾しない「太郎くんを好きになる」という態度を後から取るようになるのです。
- 助ける(行動)
↓ - 好きになる(態度)
例:助けても、助けられても…好き!
他にも、太郎くんが海で溺れている花子さんを助けたとする。
すると、花子さんも太郎くんに好意を寄せますが、一方で太郎くんも花子さんに好意を寄せるようになるのです。
なぜなら、「助ける」という行動と矛盾しない「好きになる」という態度を取るようになるからです。
アドバイス・シーキングの実験
では、ここからはアドバイス・シーキングに関する実験を2つほど紹介していきます。
実験1:ケイティ・リルジェンクィスト
研究者のケイティ・リルジェンクィストは、被験者を「売り手」と「買い手」に分けて、不動産の販売を想定した交渉をさせました。
(※「売り手」は最高可能価格で売ることが目標とします)
普通に交渉した場合、合意率はわずか8%という結果でした。
しかし、「売り手」が「買い手」にアドバイスを求めた場合、その合意率が42%という結果となったのです。
(具体的には、価格の折り合いをつけるためにはどうすればいい?というアドバイスを求めた)
実験2:イザイ・スターン、ジェームズ・ウェストファル
戦略学の教授イザイ・スターンとジェームズ・ウェストファルは、
アメリカの工業およびサービス業の大手企業350社の上級管理職を調査し、彼らがどのようにして、取締役会の議席をものにするのかを調べました。
(※取締り役会の議席を獲得することができれば、年俸・高い地位などが約束される)
結果、お世辞をいうだけではなく、同時に助言を求めていた管理職が、重役から推薦される可能性がグンと上がるということが分かったのです。
つまり、ただ「その服、素敵ですねぇ〜」などとお世辞を言うだけではなく、
重役のスキルなどに対して「どのようにマスターされたんですか?」などとアドバイスを求める方が、好意を感じてもらいやすいとうことですね。
アドバイス・シーキングと関連のある心理学
- ベンジャミン・フランクリン効果
- サンクコスト効果
心理学1:ベンジャミン・フランクリン効果
助けた人を好きになるという心理効果
例:助けを求める後輩
たとえば、よく助けを求めてくる部下のことが、可愛くてしかたがないなんてことありませんか?
「〇〇さんどうしたらいいですか!!!」と頼ってくる部下ってちょっと憎めないですよね。
なので、「お願いをすることは悪いこと」という風潮がありますが、それは心理学的にみてみると全くそんなことがないと言えますね。
心理学2:サンクコスト効果
コスト(時間・お金・労力)をかけた対象に対して、不当に価値付けしてしまう心理効果
例:男女の恋愛感
たとえば、男性は女性と別れた時に、けっこう引きずるなんて聞いたことありませんか?
これはなぜかというと、男性は女性に対してコストをかけることが多いからです。
- デート代を奢る
- 高価なプレゼントを送る
- デートの下調べをする
それに比べて、女性は男性にほとんどコストをかけることがほとんどないので、別れてもすぐに切り替えることができるんですよね。
これには女性脳と男性脳とは全く関係がありません。それは、女性がホストにハマる理由を考えてみれば分かりますよね?
アドバイス・シーキングの4つのメリット
先ほど紹介した研究者のケイティ・リルジェンクィストは、アドバイス・シーキングには4つのメリットがあるといいます。
- 情報の獲得
- 自分の身になってもらえる
- 相手との関わり合いが強められる
- ゴマすり
メリット1:情報の獲得
アドバイスを求めることで、思いもよらぬ情報を取得することができたりします。
アドバイスが欲しいのですが、ちなみにいくらだったら、もっと多くの人たちから契約がもらえると思いますか?
分割払いができるのであれば、もっと購入率も上がると思いますよ?
もちろん、分割できますよ?
え、そうなんですか?
はい、クレジット決済の後に、クレジット会社に分割の申請をしていただければと、月々1万円くらいの支払いになるとは思いますが
それだったら、支払えます
すみません、クレジットカードのことがあんまり分かってなくて
こんな感じで、アドバイスを求めるだけで、相手が何に悩んでいて、何が分かっていないのかを理解することができたりします。
メリット2:自分の身になってもらえる
アドバイスを求めることで、販売者側の気持ちになってもらうことができます。
実は、これが契約率を上げるうえで効果的だったりします。
アドバイスをもらいたいのですが、もしも、お客様が「検討します」と持ち帰りを希望していたら、どのような対応をされますか?
オータニの顧客は、営業マンが多いのですが、
営業マンに対してこのようなアドバイスを求めることで、「売る側」(オータニ)の気持ちになってもらうことができるようになるのです。
逆の立場になって考えた時、顧客から「検討します」と言われるのは、あまり嬉しくないこと。
だから、「検討します」といいずらくなり、それにより契約率が高まったりします。
メリット3:相手との関わり合いが強められる
これについてはアドバイス・シーキングのメインのメリットの部分で解説しました。
つまり、アドバイスを求めることで、コミットメントと一貫性の原理が働き、好意を獲得できるということです。
(※この内容については上記で説明したので、割愛しますね)
メリット4:ゴマすり
アドバイス・シーキングを使うことで、相手にゴマをする機会を得ることができるようになります。
たとえば、「ゴルフについて分からないのですが、何かアドバイスをもらえますか?」とアドバイスを求めて、アドバイスをもらったらこういうのです。
「〇〇さんの説明のしかた本当に上手ですね!」と。
すると、相手は褒められたことで、さらに気分をよくするというわけです。
まとめ:アドバイス・シーキング
では最後にまとめましょう。
本日は、
- アドバイス・シーキングとは
- アドバイス・シーキングの具体例
- アドバイス・シーキングのメリット
というテーマでブログを執筆しました。
アドバイス・シーキングにおいて一番大切なことは、プライドを捨てることですね。
多くの人たちは、プライドを捨てきれず、知らないことを恥だと勘違いし、他者にアドバイスを求めることができません。
しかし、他者にアドバイスを求めることで、交渉を有利にしたり、相手から好意を獲得することができます。
なので、これからは積極的にアドバイスを求めるようにしていきましょう。