フット・インザ・ドアとは、小さな承諾を積み重ねることで、本命の要求を承諾させやすくするテクニックです。
たとえば、男性から最終的に高価な貢物をさせたいのであれば、最初はあえて小さな貢物からおねだりしましょう。
食事代 → 映画 → ディナー → 高級バック
このように、最初は「小さかった貢物」も、気がつけば「大きな貢物」へと変化を遂げていきます。
つまり、「小さな承諾」も最終的には「大きな承諾」へと変貌を遂げるということです。
しかし、なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
というわけで本日は、
- フット・インザ・ドアとは
- フット・インザ・ドアのポイント
- フット・インザ・ドアを営業に活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
フット・インザ・ドアとは
小さな承諾を積み重ねることで、本命の要求を承諾させやすくするテクニック
フット・インザ・ドアの具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- 高級バック
- 皿洗い
- 契約
例1:高級バックを買ってもらう
男性から「高いもの」を買ってもらうためには、まずは落ち着いて「小額のモノ」から買ってもらいましょう。
- 食事代
↓ - 映画
↓ - ディナー
↓ - 高級なバック
例2:旦那にお皿洗いをさせる
いきなり「お皿洗ってくれる?」と頼むと、「面倒臭いよ〜」と言われる可能性があるので、その前に小さなお願いをするようにしましょう。
- テーブルを拭いてもらう
↓ - お皿をシンクまで運んでもらう
↓ - お皿を水で濯いでもらう
↓ - お皿を洗ってもらう
例3:契約を取る
顧客から「契約」という承諾をしてもらうためには、「無料お試し」の承諾を取り付けるのがいいでしょう。
1週間だけ、お試しになってみませんか?もちろん、代金は全て無料になります
1週間使われてみていかがでしたか?もしよろしければ、このまま契約とさせていただけると嬉しいのですが?
ドア・インザ・フェイスとの違い
最初に大きな要求をすることで、本命の要求を通しやすくなるという心理テクニック
フット・インザ・ドアを勉強すると、よく登場するのがドア・インザ・フェイスです。
それぞれの違いを簡単に説明すると、下記のような感じになります。
- ドア・インザ・フェイス→大きな要求から
- フット・インザ・ドア→小さな要求から
それぞれ、本命の要求を通すというところは一緒ですが、そのアプローチ方法が違うということです。
どっちを使えば良い?
結論、フット・インザ・ドアをおすすめします。
というのも、ドア・インザ・フェイスは、相手から嫌われてしまうリスクを追ってしまう可能性があるからです。
他にも、実験結果からも言えることですが、フット・インザ・ドアの方が承諾率も高いので、数字で見てもおすすめと言えます。
ドア・インザ・フェイスの詳細について知りたい方は、『ドア・インザ・フェイス|承諾率が3倍になる最強の交渉術』を参考にしてください。
フット・インザ・ドアの実験
1966年に、社会心理学者ジョナサン・フリードマンとスコット・フレイザーがある面白い実験をしました。
まず、カリフォルニア州の住民を対象に研究員が下記のお願いをしました。
⑴安全運転と書かれた看板を庭に立てさせてもらえませんか?
この場合の承諾率は17%しかありませんでした。
(※ちなみに、この看板は庭の景観が損なわれるくらい大きな看板です)
しかし、この要求の2週間前に下記の要求をした結果、承諾率が4倍以上に跳ね上がったのです。
⑵安全運転と書かれた小さなステッカーを車の窓ガラスに貼らせてもらえませんか?
この要求を受け入れさせてから、本命である⑴の要求をした場合、承諾率76%まで跳ね上がったのです。
⑴の要求の2週間前に⑴とは無関係の下記の要求をしました。
⑶カリフォルニアを美しくという嘆願書に署名をいただけますか?
そして、⑴のお願いをしたところ、なんと承諾率が承諾率は46%まで上昇したのです。
面白いことに⑴のお願いの内容と⑶のお願いの内容に関係性が無くても、その承諾率は上がるということが分かりました。
つまり、「前の要求」と「次の要求」に関連性がある方が承諾率は上がりますが、もしも関係性がなかったとしても承諾率が高まるということです。
フット・インザ・ドアはなぜ発動するのか
- コミットメントと一貫性の原理
- フランクリン効果
- 保有効果
理由1:コミットメントと一貫性の原理
言動と一致した思考・行動をしようとする心理現象
例:世界的心理学者ウィリアム・ジェームズ
楽しいから歌うのではない。
歌うから楽しい気分になるのだ。
これは、一貫性の原理を分かりやすく説明するのに最適な名言ですね。
つまり、こういうことです。
- 歌う(行動)
↓ - 楽しい(態度)
このように、人は“歌う”という行動と矛盾しない“楽しい”という態度を無意識のうちに取ろうとします。
理由2:フランクリン効果
人を助けると、その人に好意を感じるようになるという心理現象
実は、これは先ほど解説した「コミットメントと一貫性の原理」が強く関連しています。
- 助ける(助ける)
↓ - 好きになる(態度)
このように、“助ける”という行動と矛盾しない“好きになる”という態度を取るようになるのです。
理由3:保有効果
所有しているモノに対して、不当に価値付けしてしまう心理現象
例:断食が出来ない…
たとえば、「買ったもの」をいつまでも捨てることができないのは、所有することでこれらの価値を高く見積もってしまっているからです。
他にも、投資の損切りができなかったり、恋愛をズルズル引きずっとしまうのも、保有効果が深く関連しています。
フット・インザ・ドアを攻略する4つのポイント
- スモールステップを意識する
- 本命の要求から逆算する
- 「小さな行動」をさせる
- 最初の要求と次の要求の関連性
ポイント1:スモールステップを意識する
フット・インザ・ドアでは、スモールステップを意識しましょう。
つまり、小さな積み重ねを意識するということです。
もしも、いきなり承諾してもらえない要求をしてしまったら、その次はありませんからね。
なので、最初は誰でもOKしてくれるであろう要求を準備しておくようにしましょう。
ポイント2:本命の要求から逆算する
本命の要求を決めてから、小さな要求を決定するようにしましょう。
フット・インザ・ドアで大切なことは計画性です。
たとえば、「〜という要求を通すためには、どんな要求をしようか?」と考え、設計してから本命の要求をするようにしましょう。
ポイント3:小さな「行動」をさせる
「発言」よりも「行動」させることに意識をしましょう。
つまり、「はい」という承諾だけではなく、大切なのは「行動」だということです。
なぜなら、行動による態度の影響は大きいからです。
たとえば、先ほど例に挙げた「お皿洗い」がまさにそれです。
- テーブルを拭いてもらう
↓ - お皿をシンクまで運んでもらう
↓ - お皿を水で濯いでもらう
↓ - お皿を洗ってもらう
一度行動してしまったら、「最後までやるかぁ〜」と行動がスムーズになります。
このように、行動に注目してスモールステップを設計するようにしましょう。
ポイント4:最初の要求と次の要求の関連性
前述した1966年のスコット・フレイザー、ジョナサン・フリードマンの実験を思い出してください。
「最初の要求」が「次の要求」に関連している場合には承諾率が17%→76%になり、関連がなかった場合の承諾率は17%→46%となりました。
なので、「最初の要求」と「次の要求」に関連性がなくても、承諾率を上げることが出来ます。
しかし、「前の要求」が「次の要求」に関連性があった方が、やはり承諾率は高まります。
なので、先ほどの「お皿洗い」のように、あらかじめ「本命の要求」を設定した上で小さな要求を設計するようにしましょう。
営業で使える心理学
フット・インザ・ドアをマーケティングに活用する方法
- フリー戦略
- アップセル
方法1:フリー戦略
<無料>からお金を生み出すマーケティング戦略
例:無料プレゼント
たとえば、まずはホワイトペーパー(無料プレゼント)を使って、リストを取ります。
それから、そのリストに対して有料商品をセールスすれば、契約率が高まります。
なぜなら、無料プレゼントを受けとったことで、一貫性が働くからです。
しかし、いきなり有料商品からセールスしてしまうと、購入ハードルが高いため、契約に結びつかなくなってしまいます。
なので、有料商品を販売する際は、まず無料商品を与えて、それから有料商品をセールスするようにしましょう。
もしも、このようなリストからセールスしていく仕組みを作りたい方は、『リストマーケティングとは|爆発的な売上を作るマーケティング手法』を参考にしてください。
方法2:アップセル
グレードの高い商品を提案する営業テクニック
例:個別サポート
何かしらの個別サポート(バックエンド商品)を販売しているのであれば、ミドルエンド商品を購入している顧客に営業をかけるようにしましょう。
なぜなら、ミドルエンド商品を購入したことで、一貫性が働くからです。
たとえば、「個別サポート」を販売するのであれば、まずは「有料のオンラインサロン」に入ってもらいます。
そして、彼らに向かって、キャンペーンなどを通して、「個別サポート」をセールスするようにしましょう。
すると、何も購入してもらってない顧客にセールスするよりも契約率が大幅に高まります。
このように、スモールステップでセールスすることで、個別サポートなどのバックエンド商品の購入率を高めることができるのです。
マーケティングで使える心理学
まとめ:フット・インザ・ドア
では最後にまとめましょう。
本日は、
- フット・インザ・ドアとは
- フット・インザ・ドアのポイント
- フット・インザ・ドアを営業に活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
フット・インザ・ドアは、頭で考えてすぐに使えるテクニックではないので、必ず設計してから行うようにしましょう。
もちろん、何度も使っていくと慣れてくると、一瞬で頭で設計してあなたの要求を押し通すことができるようになります。
なので、何度も練習してフット・インザ・ドアをマスターしましょう。