フレーミング効果とは、同じ主張でも表現を変えることで、違う印象を受けてしまうという心理現象のことです。
たとえば、「嫌い!」と言われるよりも、「好きではない」と言われた方が、なぜか軽い印象がありませんか?
他にも、「死亡率10%の手術」と言われるよりも、「成功率90%の手術」と言われた方が手術を受ける気になりますよね?
このように、同じ主張でも表現が変われば、全く違う印象を受けることが分かります。
というわけで本日は、
- フレーミング効果とは
- フレーミング効果の実験
- フレーミング効果を営業に活用する方法
- フレーミング効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
フレーミング効果とは

同じ主張でも表現を変えることで、違う印象を受けてしまうという心理現象
フレーミング効果は、行動経済学者ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーにより提唱された心理現象になります。
フレーミング効果の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
例1.「好きではない」と「嫌い」
「私〇〇が嫌いなんだよね!」と物事をはっきり言う人たちがいますが、これは非常にもったいないですね。
なぜなら、人間の脳は「主語」を認識できないという性質があるからです。
たとえば、Aさんがあなたに「〇〇が嫌いなんだよね〜」と言ったとしたら、
あなたの脳は無意識に、その「嫌い」という言葉に敏感に反応し、Aさんに対して嫌悪感を抱くようになってしまうわけです。
だから、「嫌い」などというネガティブな言葉を使う人たちに対して、あまりポジティブな印象を抱かないですよね?
なので、その場合は「嫌い」→「好きではない」という表現に変えましょう。
例2.お笑い芸人ナイツのネタ
たとえば、漫才コンビの「ナイツ」(塙さん、土屋さん)を知っているでしょうか?
オータニは「ナイツ」のネタが大好きなのですが、
彼らの漫才の中に、このフレーミング効果を使った笑いがありましたので、それを共有したいと思います。
「今年のブームと言えば何と言っても、『半沢直樹』でしたよね?
最高視聴率42,2%ですって。すごくないですか?
だって、57,8%の人たちは、見てないってことですからね?」
- 最高視聴率42.2%
- 57.8%の人たちは観ていない
これら2つのメッセージは全く一緒であるのにも関わらず、受ける印象が全く違いますよね?
例3.栄養ドリンク
下記のような広告をみたことはないでしょうか?
タウリン1,000mg配合!
こう言われると「かなりの栄養がありそう!」と思いますよね?
しかし、これって別の言い方をすると「タウリン1g配合」なんですよね。
つまり、「1mg!」と言われるよりも「1,000mg!」と言われた方が、
表現は一緒ですが、すごく多くの内容成分が入っていると勘違いしてしまうのです。
言葉の力(The Power of Words)
こちらの動画を見れば、表現の違いがどれだけ大切が分かるでしょう。
ある盲目でホームレスの男子が、「I’m blind. Please hep(私は盲目です、おお金を恵んでください)」と書かれたダンボールを自分の横に置き、お金を恵んでいます。
しかし、人通りはいいのにも関わらず、なかなかお金を集めることができません。
そんな時、ある女性がホームレスの男子に近寄り、ダンボールに書かれた文字をいじり始め、それを終えると帰っていきました。
そして、女性が去ってから数分が過ぎたころです。
なんと、多くの通行人たちが、ホームレスの男性にお金を恵んでくれるようになったのです。
ホームレスの男子はびっくりしました。
それもそのはず、ダンボールにはこう書かれていたのです。
「Its a beautiful day. But I can’t see it.(今日は良い日だね!でも、私はそれを見ることができない)」
表現を変えるだけで、人の行動は大きく変わるということですね
フレーミング効果の実験

ではここからは、フレーミング効果に関する3つの実験を紹介します。
フレーミング効果の実験1
実験者は、被験者である医師たちが、肺ガン2つの治療法である放射線治療と手術のどちらを選ぶのか?を調べるという実験を行いました。
5年後の生存率は手術の方が高いが、短期的には放射線治療よりも危険
医師たちを2つのグループに分けて、手術に関するデータの表現を変えて、それを提示します。
その際、半分には生存率に関するデータを、もう片方には死亡率に関するデータを見せました。
- 術後1ヶ月後の生存率は90%です
- 術後1ヶ月後の死亡率は10%です
そして、それぞれのグループの医師たちが、どれくらいの割合で手術を選択したのかを観察します。
実験の結果
- 術後1ヶ月後の生存率は90%です
=84%の割合で手術を選択 - 術後1ヶ月後の死亡率は10%です
=50%の割合で手術を選択
実験の考察
- 手術後の生存率90%と表現
↓ - 成功の方に注意が向く
↓ - 手術を選択しやすい(短期的なリスクあり)
- 手術後の死亡率10%と表現
↓ - 失敗の方に注意が向く
↓ - 放射線治療を選択しやすい(短期的リスクが手術よりも低い)
フレーミング効果の実験2
手順1
まず20名の被験者に、この実験のための費用である50ドルを受け取ったことを想像させます。
手順2
次に、被験者が「ギャンブル」か「確実な結果」のどちらを選択するのか?を観察します。
ギャンブルと確実な結果のどちらを選択しても、ルーレット(白2:黒3という配置)を回してもらうのですが、それぞれにルーレットでの結果に差を付けました
- ギャンブルでは、白に止まったら50ドルをそのままもらえるが、黒に止まったら何ももらえない
- 確実な結果では、白に止まったら20ドルもらえるが、黒に止まったら30ドルを失う
(白でも黒でも、もらえるお金は20ドル)
手順3
その際、被験者を2つのグループに分けて、確実な結果の方を2つの方法で被験者に伝えます。
- 確実な結果を選んで、白に止まったら、20ドルをもらえます
- 確実な結果を選んで、黒に止まったら、30ドルを失ってしまいます
この時、どれくらいの被験者がギャンブルか確実な結果を選ぶのか?を観察しました。
実験の結果
「20ドルもらえる」というフレームで提示された被験者全員が、確実な結果を選択するということが分かりました。
- 「もらうフレーム」で表現
↓ - ギャンブルに不快感を感じる(ゼロになる可能性もあるから)
↓ - 「確実な結果」を選択しやすい
- 「失うフレーム」で表現
↓ - 確実な結果に不快感を感じる(失うことへの恐怖を感じるから)
↓ - 「ギャンブル」を選択しやすい
フレーミング効果の実験3
あなたは臓器移植に同意しているでしょうか?
事故死の場合の臓器移植に関する意思表示は、多くの国で免許証に記載されています
これはあなたが善人・悪人だとかという話ではなく、きっとほとんどの人は臓器移植に同意していないと思います。
なぜなら、日本人の臓器移植に関する同意は「オプトイン方式」で行われるからです。
つまり、「同意する際は、チェックマークを入れる」というものです。
それゆえ、平成25年度の日本人の臓器移植の同意率は、12.6%という結果となっています。
アプトアウト方式
しかし、2003年に発表された記事によると、オーストリアの同意率は100%近く、スウェーデンは86%だそうです。
では、なぜ日本とこれだけの差が生まれるのでしょうか?
結論、臓器移植の同意率が高い国ほど「オプトアウト方式」が採用されているからです。
つまり、「同意しない際は、チェックマークを入れる」というものです。
デフォルトで「同意する」になっている
このように、臓器移植の同意率が高い国でも悪い国でも、
臓器移植の重要性については理解があるはずなのにも関わらず、フレーミング効果により、これだけ同意率に差が生まれるのです。
動画にしました
フレーミング効果を営業・マーケティングに活用する方法

- 感情フレーミング
- 損失フレーミング
- オプトイン・オプトアウト
方法1.感情フレーミング効果
感情フレーミング効果とは、感情表現などを変えることで、相手に与える印象を変えるフレーミング効果になります。
結論:ネガティブな言葉は使わない
結論、なるべくネガティブな言葉を使わないようにしましょう。
たとえば、下記のような言葉が挙げられます。
- 嫌い
- イライラする
- ダルい
他にも、ネガティブな言葉はたくさん挙げることが出来ますが、ここでは上記3つの単語を扱います
繰り返しにはなりますが、ネガティブワードは使わないようにしましょう。
なぜなら、ネガティブワードによって、「あなた」「相手」の両者がネガティブな影響を受けてしまうからです。
「あなた」がネガティブな影響を受ける
脳は、主語を認識できないという性質があります。
ゆえに、仮に相手に対して「バカ!」「マヌケ!」などの乱暴な言葉を使っていると、自分もそのネガティブワードの影響を受けてしまうのです。
結果、自己肯定感が下がり、目標達成が妨げられてしまう可能性があるので、気を付けるようにしましょうね。
自分をありのままに受け入れること
「相手」が影響を受ける
ネガティブな言葉ばかりを使っていると、相手からの印象が悪くなります。
仮に、あなたが営業マンであれば、ネガティブワードは必ず避けるようにしましょう。
なぜなら、ネガティブな言葉を多用する人から、商品を購入しようとは思わないからです。
解決策
結論、ポジティブな言葉を使いましょう。
しかし、とはいうものの、ポジティブな言葉だけを使うというのもなかなか難しかったりします。
そこで、オータニが推奨しているテクニックが「ポジティブな単語+否定」です。
- 嫌い→好きではない
- イライラする→スッキリしない
- ダルい→楽しくない
このようにフレーミングすれば、同じ意味ですが、受ける印象は全く違ったものになりますよね?
方法2.損失フレーミング効果
損失フレーミングとは、「利得」を「損失」の表現に変えることで、相手に影響を与えやすくなるというフレーミング効果になります。
結論:「利得」→「損失」
結論、「利得」を「損失」にフレーミングするようにしましょう。
なぜなら、人間は何かを得るという「利得」よりも、何かを失うという「損失」に影響を受けやすいという性質があるからです。
これを、プロスペクト理論といいます。
では実際の具体例をみていきましょう。
例.1電気の節約を提案する
弊社の電気を使っていただけると、毎月5%ほど電気代を節約することができるようになります!
弊社の電気を使っていただけると、毎月5%の電気を無駄に支払い続けることになってしまいます…
例2.化粧品
この化粧品に入っている〇〇と言う成分は、お肌にハリを与えてくれます!
この化粧品に入っている〇〇と言う成分をお肌に入れ続けていかないと、お肌のハリがどんどん失われていってしまいます…
このように、「利得」を「損失」にフレーミングするだけで、受ける印象がガラッと変わります。
方法3.オプトアウト
オプトアウトとは、「同意しない際は、チェックマークを入れる」というものです。
結論:デフォルトで支払わせる
支払わせるサービスをあらかじめデフォルト設定しておくようにしましょう。
※つまり、「オプトイン方式」→「オプトアウト方式」に設定するということです
例1.ウォーターサーバー
たとえば、オータニのうちにはウォーターサーバーが置いてあるのですが、それを契約する際に、ある面白いことを言われました。
それがこちら。
「月々100円の〇〇というプランがあるのですが、こちらは後から電話で外せますのでご安心ください」
つまり、デフォルトであらかじめ支払いすることが確定している状態で販売するのです。
結果、オータニは、半年間も無駄なオプションにお金を払い続けていました。。。
例2.携帯電話
しかし、これって考えてみたら携帯電話でもありますよね?
「こんなプランいらねぇ〜よ!」と思うものでも、あらかじめデフォルト設定されており、後から自分で外さなければならない面倒な契約です。
注意点
結論、あらかじめデフォルトで設定されていることを伝えるというものです。
当たり前ですが
あらかじめ伝えないと、顧客トラブルになることもあるので、注意ですよ。
▼おすすめ図書:心理学▼
まとめ:フレーミング効果
では最後にまとめましょう。
本日は、
- フレーミング効果とは
- フレーミング効果の実験
- フレーミング効果を営業に活用する方法
- フレーミング効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
フレーミング効果は、人々の人生を大きく変える最強の心理テクニックと言えます。
なので、今後は使う言葉や表現に気をつけて営業やマーケティングを行っていきましょう。
具体的には、あなたのブログやLP(販売ページ)などを隈なくチェックです!
もしも、その他の心理テクニックについて知りたい方は、下記の記事を参考にしてもらえればと思います。