著書:サイコロジーセールスを出版しました

サンクコスト効果|熱狂的な信者を作り出す販売戦略を徹底解説

サンクコスト効果とは、特定の対象にコスト(時間・お金・労力など)をかけると、それを不当に価値付けしてしまうという心理傾向のことです。

たとえば、パチンコで1万円負けてしまったとする。しかし、多くの人たちはその損を取り返そうと、さらにお金を注ぎ込んでしまい、結果大負けしてしまう。。。実はこれには、サンクコスト効果が大きく影響しています。

しかし、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか。本記事では、サンクコスト効果が発動する心理学的理由、またそれを営業やマーケティングに活用する方法などを紹介していきます。

というわけで本日は、

本日のテーマ

サンクコスト効果|熱狂的な信者を作り出す販売戦略を徹底解説

についてブログを執筆していこうと思います。

サンクコスト効果とは

サンクコスト効果

特定の対象にコスト(時間・お金・労力など)をかけると、それを不当に価値付けしてしまうという心理現象

サンクコスト効果は、人々が過去に投資した資源によって、現在や未来の決断に影響を受けることを示しています。例えば、映画のチケットを買った後、その映画がつまらないことに気づいても、チケット代を無駄にしないために映画を最後まで見るという行動があります。

この効果は、理性的な意思決定とは異なります。理性的な意思決定では、過去の投資は無視され、現在や未来の利益やコストだけを考慮に入れます。しかし、サンクコスト効果は過去の投資を考慮に入れるため、効率的でない決断を引き起こすことがあります。

サンクコスト効果を克服するためには、過去の投資と現在の決断を切り離すことが重要です。具体的には、過去の投資を「沈んだ費用」として捉え、現在の状況や将来の利益を考慮して決断を下すことが求められます。

別名:コンコルド効果

ちなみに、サンクコスト効果は、別名「コンコルド効果」とも呼ばれています。コンコルド効果の名前の由来は、フランスとイギリスが共同開発した超音速旅客機のコンコルド機から来ています。

コンコルドは、開発中から開発が終わっても採算が取れないと分かっていたのにも関わらず、それまでに投資してきた金額が膨大だったため、そのまま開発が継続され、商用化後さらに赤字を膨らませる結果となりました。

ちなみに、コンコルド機は2000年の7月にパリで100名を超える犠牲者を出したことから、2003年コンコルドグループという巨大組織は崩壊しました。

サンクコスト効果の具体例

では、いくつか例を見ていきましょう。

  • 食事のレストラン
  • ジム会員
  • 関係の継続

事例1:食事のレストラン

レストランで高価なコース料理を注文し、食べきれないほど満腹になったとしても、高い金額を払ったからという理由で無理に食べ続けることがあります。この場合、すでに支払ったお金を無駄にしないために、健康を害する可能性がある行動を取ることになります。

事例2:ジム会員

ジムに長期契約で会員登録し、利用していないにも関わらず、契約期間が終了するまで継続して会費を払い続けることがあります。この場合、サンクコスト効果が働いて、過去に投資した会費を無駄にしないために、実際に利用していなくても会費を支払い続けることになります。

事例3:関係の継続

友人や恋人との関係が悪化し、自分の幸福にとって良くないと感じていても、長い間その関係に投資してきたために、関係を解消することを避けることがあります。この場合、サンクコスト効果により、過去の投資を正当化するために、自分にとって不幸せな関係を続けることになります。

サンクコスト効果の実験

サンクコスト効果を調査した有名な実験として、1985年に行われたArkesとBlumerによる劇場チケットの実験があります。この実験は、サンクコスト効果がどのように人々の意思決定に影響を与えるかを示しています。

まず、実験参加者には、劇場でのシナリオが提示されます。参加者は2枚のチケットを持っていると仮定され、そのうちの1枚は$20で購入し、もう1枚は無料で手に入れたとされます。

次に、参加者はどちらかのチケットを紛失してしまうという状況が提示されます。そして、どちらのチケットを失くした場合に、劇場に行く意欲がどのように変化するかについて尋ねられます。

実験の結果、 多くの参加者は、$20で購入したチケットを失くした場合に、無料で手に入れたチケットを失くした場合よりも、劇場に行く意欲が低くなることを報告しました。この結果は、過去に投資した金額(サンクコスト)が、現在の意思決定に影響を与えることを示しています。

この実験は、理性的な意思決定とは異なる結果を示しました。理性的な意思決定では、どちらのチケットを失くしても、劇場での体験は同じであり、過去の投資は現在の意思決定に影響を与えないはずです。しかし、実際には、過去の投資が現在の意思決定に影響を与えるサンクコスト効果が観察されました。

この実験は、サンクコスト効果が人々の意思決定に影響を与えることを明らかにしており、様々な状況において同様の効果が観察される可能性があることを示唆しています。

なぜサンクコスト効果が発動するのか

サンクコスト効果が発動する心理学的な理由には、主に以下の要素が関与しています。

  1. 損失回避
  2. 認知的不協和
  3. 責任感と自尊心

損失回避

人々は損失を避けるために、過剰に努力を行います。過去に投資した資源が失われることを避けたいという感情が強く、その結果、サンクコスト効果が発動します。

認知的不協和

人々は自分の考えや行動が矛盾することを受け入れるのが難しい傾向があります。過去の投資が無駄だったと認めることは、自分の判断や選択が間違っていたことを示すため、認知的不協和を引き起こします。これを回避するために、サンクコスト効果が発動し、過去の投資を正当化しようとします。

責任感と自尊心

過去の投資に対する責任感や自尊心が、サンクコスト効果を発動させる要因となります。過去の投資を無駄にしたくないという思いから、現在や未来の利益を無視して、過去の投資を正当化しようとする行動を取ります。

サンクコスト効果を営業に活用する方法

では、ここからはサンクコスト効果を営業に活用する方法をいくつか紹介します。

3つの方法
  1. 顧客の既存の投資にアピールする
  2. 無料トライアルやデモを提供する
  3. 段階的なコミットメントを促す

方法1:顧客の既存の投資にアピールする

顧客がすでにある商品やサービスに投資している場合、それに関連するアップグレードや追加サービスを提案することで、顧客は過去の投資を正当化したいというサンクコスト効果が働きやすくなります。

たとえば、ソフトウェア会社が、顧客が購入したプレミアムプランの有効期限が切れる前に、さらに高度な機能を持つ新しいプランを提案することで、顧客は過去の投資を活かすために新しいプランにアップグレードする可能性が高まります。

方法2:無料トライアルやデモを提供する

顧客に無料トライアルやデモを提供することで、顧客はそのサービスや商品に時間や労力を投資し始めます。それにより、サンクコスト効果が働き、顧客はその投資を無駄にしないために、最終的に有料プランや商品を購入する可能性が高まります。

たとえば、オンライン英会話スクールが2週間の無料トライアルを提供し、顧客がその期間に講師とのレッスンを受けることで、顧客は時間と労力を投資します。その結果、トライアル期間終了後に有料プランに移行する可能性が高まります。

方法3:段階的なコミットメントを促す

顧客に小さなコミットメントから始めさせ、徐々に大きなコミットメントに誘導することで、サンクコスト効果が働き、顧客は最終的により高額な商品やサービスを購入する可能性が高まります。

たとえば、ある化粧品会社が、顧客にまず安価なスキンケア製品を購入させ、その後、高額なアンチエイジング製品を提案することで、顧客は過去の投資を活かすために、高額な製品を購入する可能性が高まります。

サンクコスト効果をマーケティングに活用する方法

では、ここからはサンクコスト効果をマーケティングに活用する方法をいくつか紹介します。

マーケティングに活用する方法
  1. スタンプカード
  2. ポイント
  3. 毎月払い

方法1:スタンプカード

顧客が特定の商品やサービスに投資した際、スタンプを提供することで、顧客は過去の投資を活かすために、同じブランドや店舗を継続的に利用する可能性が高まります。

たとえば、コーヒーショップがスタンプカードを導入し、一定数のスタンプが集まると無料のコーヒーを提供することで、顧客は同じショップで継続的にコーヒーを購入することを選びやすくなります。

方法2:ポイント

顧客が特定の商品やサービスに投資した際、ポイントを提供することで、顧客は過去の投資を活かすために、同じブランドや店舗を継続的に利用する可能性が高まります。

たとえば、家電店が期限付きのポイントを導入し、アプリなどから「あと3日で1,000円分のポイントが消滅してしまいます」などの通知を送ることで、再度、顧客に来店してもらうことができるようになります。

方法3:会員ランク制度

引用:https://point.rakuten.co.jp/

会員ランクを導入することで、継続的な購入に繋げることができるようになります。たとえば、大手ECサイトである楽天市場は、この会員ランク制度を導入しています。

仕組みを分かりやすく説明すると、決まった期間内に商品を購入した金額に応じて会員ランクが上がり、様々な特典を手に入れることができるというものです。このような会員ランク制度を導入することで、ユーザーを囲い込むことができます。

なぜなら、「せっかくダイヤモンド会員になったんだから〜」という理由で、その他のECサイトで商品を購入しなくなるからです。なので、会員ランク制度の導入も考えてみるようにしましょう。

まとめ

本日のテーマ

サンクコスト効果|熱狂的な信者を作り出す販売戦略を徹底解説

サンクコスト効果を利用することで、顧客を熱狂的なリピーターにすることができるようになります。

もちろん、そのようなファンを作り出すことは、一朝一夕にはいきません。なので、今からあなたの販売戦略にサンクコスト効果を導入していくようにしましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です