ヴェブレン効果とは、価格が上昇するほど、需要が上昇するという心理現象のことです。
たとえば、500万円もする「ロレックス」の時計が欲しいなんて思ったことはありませんか?
他にも、「BMW」や「ランボルギーニ」などの高級車を乗り回したいとか。
このように、我々は時として、高額なお買い物をしたいと感じることがあります。
しかし、普通価格が上昇すると需要は減少していくのですが、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで本日は、
- ヴェブレン効果とは
- ヴェブレン効果はなぜ発動するのか
- ヴェブレン効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
ヴェブレン効果とは
価格が上昇するほど、需要が上昇するという心理現象
ヴェブレン効果の由来
1899年アメリカの経済学者・社会学者であるヴェブレンが「有閑階級の理論」という論文で発表しました。
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実験:2つのワイン
ある脳科学の研究を紹介します。
被験者に2種類のワインを飲んでもらい(これら2つは同じワインです)、どれくらい喜びに差が出るかということを調べました。
- 5ドルのワインだと告げたワイン
- 45ドルのワインだと告げたワイン
そして、彼らの脳を調べて見ると、
5ドルのワインを飲んだ被験者よりも、45ドルのワインを飲んだ被験者の方が、喜びと結びつく脳中枢が活発な反応を示していたのです。
このように、味は一緒であるにも関わらず、価格が高いとそれだけ喜びを感じるのは面白いですよね。
実話:価格を2倍にしたら売れた
ある女性が、自身のお店で販売している「ターコイズ(トルコ石)」が売れずに困っていました。
値段の割りに、質が良いにも関わらず。。。
そこで、彼女はいくつかの成功法を試してみることにしました。
たとえば、陳列ケースを目立つとろこに設置したり、売り場の店員にもっと積極的にターコイズを勧めるように言ったり。
しかし、どれを試してもダメでした。
いい加減頭にきた女性は「この陳列ケースの品は、全部価格を1/2にしておいて!」と殴り書きのメモを売り場の主任に残し、出張に出かけました。
そして、数日して店に戻った時、案の定、ターコイズは全て売り切れていました。
しかし、ここで驚くべきことが発覚したのです。
それは、売り場の主任は「1/2」を「2」と読み間違えていたため、最初の価格の2倍にして売り出していたのです。
にも関わらず、なぜ売り切れてしまったのでしょうか?
もちろん、ヴェブレン効果によるものです。
ヴェブレン効果はなぜ発動するのか
- 承認欲求が働くから
- ヒューリスティックが働くから
理由1:承認欲求が働くから
他者から認められたいと思う欲求
ヴェブレン効果が働く理由の1つ目は、「他者から認められたい!」という欲求が働くからです。
つまり、高いものを身に付けたり、使用している姿を見てもらうことで、周りから「すごいね!」と言ってもらいたいわけですね。
例:ブランド物
たとえば、「ロレックスの時計をしたい!」「BMWに乗りたい!」と感じる理由の多くは、自分の承認欲求を満たすためと言えるでしょう。
だから、承認欲求が強い人ほど、ヴェブレン効果は働きやすくなります。
このような、「誰かに見せびらかしたい!」という動機による消費を「顕示的消費」といいます。
理由2:ヒューリスティックが働くから
直感による速い思考のこと
ヴェブレン効果が発動する理由の2つ目は、「高いもの=質が高い」という直感的な判断をしてしまうからです。
我々は、ある特定のモノの「質」を判断するのに、相当なコスト(お金・時間・労力など)を必要とします。
例:高級布団
たとえば、ある高級な布団があったとして、それがなぜ高級なのかを調べるためには、その布団の生地や製法などをしっかり調べる必要がありますよね?
しかし、こんなことをやっていたら、コストがかかってしかたがないので、その基準を「価格」においているわけです。
つまり、ヴェブレン効果は、脳のエネルギーを節約するための戦略のひとつと言えますね。
ヴェブレン効果と関連した心理学
- バンドワゴン効果
- スノッブ効果
バンドワゴン効果、スノッブ効果、ヴェブレン効果は、アメリカの経済学者ハーヴェイ・ライペンシュタインが、
1950年に論文『消費者需要理論におけるバンドワゴン効果・スノッブ効果・ヴェブレン効果』の中で提唱した概念になります。
消費者が商品を選択する際に、他者の影響を受けるという概念のこと(他者依存性)
つまり、我々は、時に他者の影響から消費行動を起こすことがあるということですね。
バンドワゴン効果
多数派の意見に従いやすいという心理効果
簡単に説明すると、「自分→多数派」という感じですね。
例:行列のラーメン屋
たとえば、行列ができているお店を見かけると、「すごい人気だな!きっと美味しいに違いない!」と思いますよね?
このように、我々は流行りのものを選択する傾向があります。
スノッブ効果
多くの人たちが持っているモノの価値を低く見積もる心理現象
簡単に説明すると、「自分↔︎多数派」という感じです。
例:会員限定
たとえば、「会員限定!」などと言われると心が躍りますよね?
なぜなら、多くの人たちが手に入れていない限定品を、自分だけが手にいれることができるという感覚を味わうことができるからです。
ヴェブレン効果をマーケティングに活用する方法
- 高額にする
- 理由を明確にする
- ブランドイメージを持たせる
- 相場を考える
方法1:高額にする
結論、高額にすればヴェブレン効果の影響を利用することができます。
ポイント1:値上げを恐れない
値上げをすることを恐れないでください。
多くの人は、売れない原因を価格に帰属してしまいがちです。
しかし、売れない本当の理由は、“売り方”や“魅せ方”、“商品・サービスの魅力”などに問題があるということもあるので、
一概に「売れない=高いから」という考え方をするのは止めるようにしましょう。
ポイント2:質の追求を忘れない
高級感を感じさせる質の追求を忘れないようにしましょう。
なぜなら、価格が高かったとしても、その理由が全くなければ、顧客が消費に不安を感じるからです。
すると、ヴェブレン効果の影響を最大化させることができます。
方法2:理由を明確にする
ただ高額にするだけでは、「高い!」となってしまうので、その理由を明確にするようにしましょう。
例:コンサル
たとえば、恋愛のコンサルを30万円で販売するとする。
その場合は、下記のように価格を提示しましょう。
弊社のサービスは、他者のようなスクール型ではなく個別型なので、30万円という価格で提案させてもらっています
このように、理由をつけることで、高額であることを正当化させることができます。
方法3:ブランドイメージを持たせる
ノーブランドの商品とブランドのある商品では、後者を選択しますよね?
なぜなら、みんなが知っているブランドの方が他者に自慢しやすいです。
たとえば、「ルイヴィトンのカバンなんだ!」と言った方が、「〇〇(マイナーなブランド)のカバンなんだ!」と言われるよりも「すごい!」ってなりますよね?
なので、価格を上げるのであれば、しっかりブランドが出来上がってからの方がいいでしょう。
方法4:相場を考える
相場を考えて高額にするようにしましょう。
例:フェイシャルサロン
たとえば、フェイシャルサロンの相場が7,000円であるのにも関わらず、
それを3万円で提供しても、ただ「高すぎ!」となってしまい消費者は寄り付きません。
※もちろん、それなりの理由があるのであればいいのですが
なので、高額にするのであれば、9,000円などと相場よりもちょっと高めを意識するうようにしましょう。
まとめ:ヴェブレン効果
では最後にまとめましょう。
本日は、
- ヴェブレン効果とは
- ヴェブレン効果はなぜ発動するのか
- ヴェブレン効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
高額であることは、消費につながらないと感じていた人も多いと思いますが、それは違います。
なので、高額な理由があるのであれば、ぜひ正々堂々と高額な値段で販売するようにしましょう。
「安い=売れる!」という方程式に縛られないように。