利用可能性ヒューリスティックとは、「想起しやすさ」によって、認知が歪められてしまう現象のことです。
たとえば、「コンビニの数」と「美容院の数」はどちらの方が多いと思いますか?
きっと多くの人は、自信満々に「コンビニに決まってるじゃん!」と答えてくれたと思うのですが、それは不正解です。
実は、「美容院の数」の数の方が圧倒的に多いんですよね。
「ウソ!?」って感じですよね。。。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで本日は、
- 利用可能性ヒューリスティックとは
- 利用可能性ヒューリスティックの具体例
- 利用可能性ヒューリスティックを営業に活用する方法
- 利用可能性ヒューリスティックをマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
利用可能性ヒューリスティックとは
「想起しやすさ」によって、認知が歪められてしまう現象
※「想起しやすさ」=「思い出しやすさ」=処理流暢性
利用可能性ヒューリスティックの具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- コンビニの数
- サメの映画
- 接触回数
例1:コンビニ?歯科医院?美容院?
コンビニ、歯科医院、美容院を、日本の中で数が多い順に並べてみてください。
きっと、多くの人は下記の順位になるのではないでしょうか?
コンビニ→美容院→歯科医院
しかし、これは不正解です。
正解:美容院→歯科医院→コンビニ
つまり、「想起しやすさ」が「数」に影響を与えているわけです。
ちなみに、「美容院の数」はコンビニの4倍近くあると言われています。
日本フランチャイズチェーン協会のデータによると、2018年度のコンビニの数は5万8340店となっているので、美容院の数は20万近くあるということになりますね。
例2:サメの映画
サメの映画と言えば「ジョーズ」ですが、この映画を観た後に「よし!海にいくぞ!」とはあまり思えないですよね?
なぜなら、サメが人を襲う姿を想起しやすくなっているからです。
つまり、「想起しやすさ」が「恐怖」という感情を強化しているわけです。
他にも、ハイジャックのテレビ番組を観た後は、飛行機に乗ることに恐怖を感じるということもあったりします。
例3:接触回数
好きな女性から好意を持ってもらうためには何をしますか?
一番コストが安く、そして効果的な方法は、「繰り返し接触する」という方法です。
なぜなら、接触回数を増やすことで、処理流暢生(想起しやすさ)が高まり、それによって好意を感じるようになるからです。
つまり、「思い出しやすさ」が「好意」に影響を与えているわけです。
他にも、最初はビールが嫌いだったのに、「何度も繰り返し飲んでいるうちに好きになった!」たなんて経験をしたことはありませんか?
利用可能性ヒューリスティックの実験
心理学者のノーバート・シュワルツは、被験者を2つのグループに分けて、別々の質問をしました。
- 何か強く主張した例を6つ書き出し、自分はどの程度自己主張が強いかを自己評価させたグループ
- 何か強く主張した例を12個書き出し、自分はどの程度自己主張が強いかを自己評価させたグループ
そして、被験者たちの評価を調べました。
①の被験者の方が②の被験者よりも、自分の主張が強いと評価しました。
なぜなら、②の被験者たちは、自分が強く主張したことを書き出すのに苦戦したからです。
つまり、思い出すことが困難だったからです。
だから、「自分の主張は弱いものかもしれない…」と錯覚してしまったわけですね。
「思い出しやすさ」が「主張の強弱」にも影響を与えるという面白い実験でした。
利用可能性ヒューリスティックを営業に活用する方法
では、ここからは利用可能性ヒューリスティックを営業に活用する方法について解説します。
方法:接触回数を増やす
接触回数を増やすことで、相手から好意を感じてもらえるようになります。
このような心理現象をザイアンス効果(単純接触効果)といいます。
結論:接触回数>接触時間
たとえば、「月に1回の濃厚な時間」と「週に1回の短い時間×4」だったら、どちらの方が相手から好意を獲得することができると思いますか?
ここまでしっかり読んでいればもう結論は分かるでしょう。
答えは、「週に1回の短い時間」です。
なぜなら、接触回数を増やすことで、「好意」を感じてもらうことができるからです。
営業プロセスで接触回数を分ける
- アイスブレイク
↓ - ヒアリング
↓ - プレゼンテーション
↓ - クロージング
これらのプロセスを好きに分けて、顧客と接触するようにしてみてください。
顧客からしても、一度に全てのプロセスに時間を取るのも厳しいと思いますので。
アイスブレイク (1回目)
↓
ヒアリング
↓
プレゼンテーション(2回目)
↓
クロージング
アイスブレイク(1回目)
↓
ヒアリング(2回目)
↓
プレゼンテーション(3回目)
↓
クロージング
イベント(1回目)
↓
アイスブレイク(2回目)
↓
ヒアリング
↓
プレゼンテーション(3回目)
↓
クロージング
もちろん、短い時間でもOKなので、とりあえず接触回数を増やす工夫をするようにしましょう。
利用可能性ヒューリスティックをマーケティングに活用する方法
- 定期的な情報発信
- キャッチーなイメージ戦略
- 具体的なトーク・ライティング
方法1:定期的な情報発信
とにかく、定期的に情報を発信するようにしましょう。
なぜなら、定期的に情報を発信することで、オンライン上で接触回数を増やすことができるからです。
毎日更新を心がける
成果を挙げている人たちの多くは、毎日情報を発信しています。
YouTuberでも、ライバーでも、今人気の人たちは、折れずに毎日更新をし続けたからお金を稼ぐことができています。
もちろん、これはマーケティングにおいても全く一緒です。
毎日メディアを更新したり、お金をかけて繰り返し広告することで、
消費者の処理流暢性(思い出しやすさ)が高まり、「あなた」「商品」に対して好意を感じるようになるでしょう。
たとえば、「RIZAP」もCMをガンガン打つことで、その名を知らしめ、そして売上を上げていきました。
方法2:キャッチーなイメージ戦略
インパクトのあるイメージ戦略を意識しましょう。
すると、処理流暢性(思い出しやすさ)が高まり、好意を感じさせることができます。
例:RIZAP
たとえば、あなたは今ダイエットを考えています。
しかし、今までの経験もあり、自力でのダイエットは難しいと感じていたとする。
そこで、パーソナルトレーナーを付けようと考えた時に、まず頭に浮かぶ会社はどこでしょうか?
きっと、「RIZAP」でしょう。
では、なぜこのような現象が起こるのか?
結論、キャッチーなCMです。
このように、消費者にすぐに想起されるようなイメージ戦略を打ち出すことが売上UPに繋がるのです。
方法3:具体的なトーク・ライティング
「たとえ話」などを使った分かりやすいライティングをすることで、読者に好意を感じてもらうことができます。
逆に、分かりにくいライティングをしてしまうと、読者から嫌悪感を感じ持たれてしまい、離脱率を上げる結果となってしまうでしょう。
例:オータニのブログ
オータニは、ブログを執筆する際に気をつけていることがあります。
それは、「想像しやすいライティング」をすることです。
※中には専門用語混じりで、具体例が分かりにくい記事などもありますが、それは処理流暢性(思い出しやすさ)を下げてしまうことにつながります
これは、YouTubeでも全く一緒です。
いくら動画だからといって、想像しにくく、分かりにくい発信ばかりしていると、視聴者維持率が低下してしまいます。
だから、なるべく「中学3年生」でも分かるような例え話をするように心がけるようにしましょう。
もしも、たとえ話の作り方について詳しく知りたい方は、『【分かりやすい話し方】「たとえ話」を巧みに操る方法と作り方』を参考にしてください。
まとめ:利用可能性ヒューリスティック
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 利用可能性ヒューリスティックとは
- 利用可能性ヒューリスティックの具体例
- 利用可能性ヒューリスティックを営業に活用する方法
- 利用可能性ヒューリスティックをマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
利用可能性ヒューリスティックはかなり難しい概念ですよね?というのも、普段意識しないような内容ですからね。
しかし、利用可能性ヒューリスティックを意識するだけで、あなたの販売活動を促進させることは間違いありません。
なので、ぜひ利用可能性ヒューリスティックをしっかり理解して、あなたの販売戦略に活かしてもらえればと思います。