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爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳|三位一体脳モデルとは

人間の脳には、爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳があるという仮説があります。これを三位一体脳モデルといいます。

  • 多くの人たちと同じ行動をしようとするのは、爬虫類脳が働いているから
  • 見た目が怖そうな人に対して恐怖を感じるのは、情報脳が働いているから
  • ダイエット中に、ショートケーキを我慢できるのは、人間脳が働いているから

このように、我々は3つの脳を使って、感じたり行動したりしています。しかし、この三位一体脳モデルを知ることに、一体どんなメリットがあるのでしょうか。本記事では、三位一体脳モデルの詳細をお伝えし、それをマーケティングに活用する方法などを紹介していきます。

というわけで本日は、

本日のテーマ

爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳|三位一体脳モデルとは

というテーマでブログを執筆していこうと思います。

三位一体脳モデルとは

三位一体脳モデル

人間の脳には、爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳があるという仮説

三位一体脳モデルは、神経科学者であり医学博士のポール・D・マクリーン(Paul D. MacLean)が提唱した、脳の進化と機能を説明する理論です。このモデルでは、脳は3つの主要な部分に分けられ、それぞれが独自の機能を持ち、進化の異なる時期に形成されたとされています。下記にて、それぞれの脳の特徴を紹介していきます。

  • 爬虫類脳
  • 哺乳類脳
  • 人間脳

爬虫類脳(反射脳)

この部分は、脊椎動物の進化の過程で最も古く形成された部分で、脳幹と大脳基底核を含みます。爬虫類脳は、本能的な行動や生存に関連する基本的な機能を制御しており、呼吸や心拍数、体温調節などの自律神経機能や、攻撃性や支配欲などの基本的な感情を担当しています。

  • なわばり作り
  • 巣作り
  • 習慣作り
  • 再演行動
  • 排泄
  • 狩り
  • 社会グループの形成
  • 挨拶
  • 生殖行為
  • 集団行動

哺乳類脳(情動脳)

この部分は、哺乳類の進化の過程で形成され、大脳辺縁系と呼ばれる一連の構造を含みます。古い哺乳類脳は、感情や記憶、学習、社会的行動などを制御しており、恐れや喜び、怒り、悲しみといった感情を扱います。また、この部分は、報酬や罰の感覚を通じて行動を学習することができます。

  • 怒り
  • 恐れ
  • 悲しみ
  • 喜び
  • 愛情

人間脳(理性脳)

この部分は、主に人間と霊長類の進化の過程で形成され、大脳新皮質と呼ばれる部分を含みます。新しい哺乳類脳は、高度な認知機能や思考、計画、意思決定、言語能力を担当しており、人間が高度な知性や創造性を発揮できる理由です。

  • 理解
  • 判断
  • 選択
  • 計算
  • 計画
  • 論理推論

三位一体脳モデルを理解するメリット

では、三位一体脳モデルを理解することのメリットを紹介します。

  • 他者をコントロールできる
  • 自己をコントロールできる

メリット1:他者をコントロールする

三位一体脳モデルを理解することで、人々の感情や行動が脳のどの部分から生じているかを把握できます。これにより、他者とのコミュニケーションや説得の際に、その人が感情的に反応するか理性的に反応するかを予測し、適切なアプローチを行うことができます。また、リーダーシップやチームマネジメントの際に、メンバーの感情や動機を理解し、効果的な指導やサポートを提供することができます。

メリット2:自分をコントロールする

三位一体脳モデルを理解することで、自分自身の感情や行動がどの部分の脳から生じているかを知ることができます。この知識を活用することで、自分の感情や衝動をより効果的に管理し、自己コントロールを向上させることが可能になります。例えば、ストレスや怒りを感じたときに、それが辺縁系から生じる感情であることを認識し、自分の大脳新皮質を使って理性的に対処する方法を見つけることができます。

爬虫類脳(反射脳)

目的

安全に生きること

では、3つほど具体例をあげましょう。

  1. 狩り
  2. 再演行動
  3. 集団模倣

例1:狩り

我々は、食べ物を見ると「それを手に入れたい!」とどうしても思ってしまいます。なぜなら、獲物を見た瞬間に、脳内に神経伝達物質であるドーパミンが分泌されるからです。たとえば、大好きなショートケーキを目にすると、どうしれも食べたいと感じてしまいますよね。

我々がまだサバンナで生活していた頃は、いつ食糧が手に入るか分からない時代でした。だから、獲物を発見して「それを捕まえよう!」と反応できなければ、獲物を捕まえることができず餓死してしまう可能性が高かったわけです。

例2:再演行動

再演行動とは、繰り返し同じ行動を取るということです。たとえば、トカゲは、毎日一定の迂回路うかいろを通って巣に帰るということを繰り返します。なぜなら、一度、帰巣に成功したことにより、そのルートに危険がないということを学習したからです。その結果、同じルートばかりを使い、別のルートを使おうとしなくなるのです。

これは、人間にも同じようなことが言えますよね。新しいチャレンジを拒むのは、チャレンジしたことにより、失敗というリスクを回避するためです。だから、人間は現状維持を決め込み、なかなか行動しようとしないし、行動したとしても続かなかったりするのです。これを現状維持バイアスと言います。

例3:集団模倣

我々には、多くの人たちがした選択と同じ選択を取るという本能が備わっています。というのも、多数派の選択は生きる上で正解である可能性が高いからです。

たとえば、コモドドラゴン(正解最大級のトカゲ)は、他のコモドドラゴンが群がっているところを発見すると、すぐさまその群れへと向かいます。なぜなら、その他のコモドドラゴンが獲物にありついている可能性が高く、自分もその恩恵を受けることができるからです。

これは、人間にも同じことが言えますよね。たとえば、「人気No. 1の!」なんて言われると、それ以外の商品には目もくれず「欲しい!」と感じてしまいますよね。これは、爬虫類脳が反応するからです。それだけ、我々は多数派と同じように選択したいと本能で感じるのです。

哺乳類脳(情動脳)

目的

感じること

では、3つほど具体例をあげましょう。

  1. 喜び
  2. 恐怖
  3. 愛情

例1:喜び

「喜び」は、仲間意識を持つ上で非常に大切な感情です。なぜなら、人間は集団を形成し、お互いが協力することで、命をつなぎとめてきたからです。たとえば、運動神経がいい人が狩りに出かけ、手先が器用な人が武器を作る。そして、女性が育児や料理をする。このように、我々は今も昔も協力原理の中で生活しているわけです。

では、このような集団を形成する上で大切なこととは何なのでしょうか。それが、喜びという感情なのです。他者と交流し、喜びを感じることで、それが集団形成に繋がるのです。これは現代に置き換えると分かりやすいですよね?趣味が合う人と積極的に交流したり、学校でも価値観が合う人たちと常に一緒にいたり。

例2:恐怖

「恐怖」は、生命維持において非常に大切な感情です。たとえば、あるシマウマが、ライオンに襲われたとする。しかし命かながら逃げ切ることに成功しました。

すると、このライオンに襲われた時の恐怖という感情は記憶に深く刻み込まれるのですがもしも、この恐怖という感情が記憶に刻み込まれなければ、次回またライオンに遭遇した時に瞬時に反応することができなくなるわけです。このように、サバンナ時代の我々は、恐怖という感情によって命を繋ぎ止めることに成功してきました。

例3:愛情

「愛情」は、子孫繁栄において非常に大切な感情です。今、我々が「人」として生きているのは、愛情という感情があったからと言えるでしょう。

たとえば、異性を好きになるという愛情。生まれた子供に対しての愛情。これらの感情があるから、異性とセックスをして子供を作り、そして、生まれた子供を愛で育てるということに繋がるのです。この連鎖により、哺乳類は今もなお数を増やし続けているのです。

人間脳(理性脳)

目的

考えること

では2つほど具体例をあげましょう。

  1. 不倫
  2. ダイエット

例1:不倫

メディアでは芸能人の不倫報道がよくありますが、これは爬虫類脳が暴走した結果起こる現象です。これによって、社会的地位が低下してしまったり、慰謝料の請求により経済的に苦しむことにもつながります。しかし、性欲をコントロールしてくれるのが人間脳です。人間脳のおかげで「いや、不倫なんてしちゃいけない!」と思い踏みとどまったりすることに貢献してくれるのです。

例2:ダイエット

我々は時に、自分と思ったことと逆の行動をとってしまうことがあります。たとえば、過食、禁煙、禁酒、パチンコなど。やめた方がいいのは分かっているのに、それらをなかなかやめることができない…。こんな経験を一度や二度はしたことがあるのではないでしょうか。これらの多くは中毒による現象なのですが、これらを制御するのも人間脳の役割。

3つの脳の関係

我々の脳には、これら3つの脳が一緒になって入っているわけですが、ではこれら3つの脳はそれぞれどのように関係しあっているのでしょうか。以降では3つの脳の関係を解説していきます。

実は、人間脳は3つの脳の中でも非常に力が弱い脳と言えます。たとえば、ダイエットをしようと思っているけど、目の前のショートケーキを食べてしまうのは、人間脳が爬虫類脳に支配されていることを意味します。他にも、セクシーな女性と不倫関係になってしまうのも同様です。

三位一体脳モデルをマーケティングに活用する方法

では、ここからは三位一体脳モデルをマーケティングに活用する方法を紹介していきます。

  1. 爬虫類脳へのアプローチ
  2. 哺乳類脳へのアプローチ
  3. 人間脳へのアプローチ

方法1:爬虫類脳へのアプローチ:直感や本能に訴える

爬虫類脳は生存に必要な基本的な機能を担当しているため、直感や本能に訴えるマーケティングが効果的です。例えば、商品やサービスの広告で危機感や緊急性を煽ることで、消費者の購買意欲を刺激できます。タイムセールや限定商品など、短期間で行動を促す手法がここに該当します。

たとえば、Amazonのプライムデー Amazonのプライムデーは、期間限定で大幅な割引が適用されるセールイベントです。消費者に緊急性や限定感を与えることで、購買意欲を刺激し、多くの人々が購入に駆り立てられます。

方法2:哺乳類脳へのアプローチ:感情や社会的つながりに訴える

哺乳類脳は感情や社会的行動を担当しているため、消費者の感情や人間関係に訴えるマーケティングが効果的です。

例えば、ストーリーテリングを用いて商品やサービスに感情的な価値を付加することで、消費者の心をつかむことができます。また、SNSや口コミを活用して、人間関係の中で商品やサービスが共有される仕組みを作ることも効果的です。

方法3:人間脳へのアプローチ:理性や価値に訴える

人間脳は高度な認知機能を担当しているため、消費者の理性や価値観に訴えるマーケティングが効果的です。例えば、商品やサービスの機能や品質について詳細な情報を提供することで、消費者の理性的な判断に訴えかけることができます。

たとえば、トヨタのプリウス トヨタのプリウスは、燃費効率の良さや環境に配慮した技術が特徴的なハイブリッド車です。マーケティング戦略では、燃費性能や低排出ガスの数値を具体的に示すことで、消費者の理性的な判断に訴えます。

まとめ

本日のテーマ

爬虫類脳・哺乳類脳・人間脳|三位一体脳モデルとは

三位一体脳モデルを知ることで、人間がどのように行動するのか、についての理解を深めることができるようになります。

つまり、三位一体脳モデルを理解することで、自己と他者を誘導することに役に立つのです。

これは、あなたの目標達成においてものすごく大切な考え方になります。たとえば、営業での目標達成では、顧客という他者を動かすことが大切ですし、ダイエットでは自己を動かすことが大切だからです。

ぜひ、本記事を繰り返し読んでも、三位一体脳モデルについての理解を深めていきましょう。

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