現状維持バイアス とは、現状維持をしようとする人間の本能のことです。
たとえば、下記のようなことを考えたことはないでしょうか?
- 転職を考えているけど、なかなか行動に起こせない…
- ランニングを習慣化したいけど、たまにサボってしまう…
- 起業したいと思っているけど、なかなか決断できない…
実は、これらの現象は現状維持バイアスによるものなんですよね。
しかし、なぜ我々にはこのような本能が備わっているのでしょうか?
ということで本日は、
- 現状維持バイアスとは
- 現状維持バイアスの具体例
- 現状維持バイアスはなぜ発動するのか?
- 現状維持バイアスを外す5つの方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
現状維持バイアスとは

現状維持をしようとする人間の本能のこと
現状維持バイアスの具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
例1.転職できない…
「ずっと前から転職を考えているけど、なかなか転職活動に踏み切ることができない…」なんて経験ありませんか?
転職した方が、給料も高くなるし、今の劣悪な仕事環境からも離れられるということが分かっているのに、なかなか行動に起こすことができないんですよね。
例2.副業にチャレンジできない…
「副業としてブログを始めようと思っているけど、なかなかチャレンジできない…」なんて経験はありませんか?
副業を始めた方が、副収入を得ることができて、生活が少しでも豊になるのにも関わらず、なかなか行動に起こすことができないんですよね。
例3.恋人と別れられない…
「彼氏は浮気もするし、最近冷たいし、もう別れたい…」なんて考えたことはないでしょうか?
しかし、そう考える人たちの多くは、恋人に別れを告げることができません。
別れた方が、次の人生を歩むことができることができるのに、なかなか行動に起こすことができないんですよね。
現状維持バイアスはなぜ発動するのか

結論、ホメオスタシス(恒常性)が働くからです。
ホメオスタシスとは
人間の元に戻そうとする機能のこと
たとえば、寒いところへ行くと、脳は平熱にするため、体を震わせます。
これは、ホメオスタシスによる現象です。
例:ダイエット
ホメオスタシスは、何か新しいことをしようと思った時にも働きます。
たとえば、ダイエットのため、毎日ランニングをしようと計画を立てても、多くの人たちは3日坊主で終わってしまいます。
というのも、ホメオスタシスが作動し、脳が「これは普段は取らないイレギュラーな行動だよ!」と警告をしてくるからです。
サバンナ時代の名残
われわれのDNAには、サバンナ時代に培った下記の本能が深く刻み込まれています。
- 現状維持=安全
- 新しいこと=危険
たとえば、集落Aから別の集落Bに移動した方が、より多くの食料も水を手にすることができるとします。
しかし、別の集落Bに移動することを選択してしまうと、予測していなかった事態に直面する可能性が高くなり、命が危なくなるわけです。
肉食獣に襲われる、天災に襲われる など
だから、現状にちょっとした不満があったとしても、人間は本能的にそちらを選ぶようにできているのです。
現状維持バイアスと関連した心理学

- 保有効果
- 損失回避
- 正常性バイアス
心理学1.保有効果
所有しているモノに対して、不当に価値付けしてしまう心理現象のこと
たとえば、「“買ったもの”や“貰い物”をいつまでも捨てることができない…」なんて悩みはありませんか?
これは、所有することでこれらの価値を高く見積もってしまっているからです。
他にも、投資の損切りができなかったり、恋愛をズルズル引きずっとしまうのも、保有効果が深く関連しています。
心理学2.損失回避の法則
「損失」を避けようとする人間の本能のこと
人間は“何かを得る”という「利得」よりも、“何かを失う”という「損失」に影響を受けやすい という性質があります。
これを「プロスペクト理論」といいます。
損失回避倍率
ちなみに、「損失」は「利得」のどれくらいの影響力を持っていると思いますか?
結論、約1.5~2.5倍ということが分かっています。
これを「損失回避倍率」といいます
つまり、「2万円GET」と「1万円LOSS」は、ほぼ同等の影響ということですね。
例:2つのギャンブル
たとえば、あなたは下記のようなギャンブルに挑もうとするでしょうか?
- 50%の確率で1万円がもらえます
- 50%の確率で1万円を失います
きっと、ほとんどの人は挑まないでしょう。
しかし、下記のようなギャンブルはどうでしょうか?
- 50%の確率で2万円がもらえます
- 50%の確率で1万円を失います
きっと、挑もうと思う人もチラホラ出てくるのでは?
損失に極端に強い嫌悪感を感じる人は挑もうと思わないでしょうが
心理学3.正常性バイアス
自分に都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりする心理現象のこと
たとえば、「大きな地震」があった時に、
「私には危険が及ぶはずがない!」と被害に遭う可能性を過小評価することで、逃げ遅れ、命を落としてしまうことがあります。
他にも、「投資詐欺」でも同じようなことが起こります。
「自分が詐欺に合うわけがない!」と騙される可能性を過小評価することで、大金を騙し取られてしまうことがあります。
動画にしました
現状維持バイアスを外す5つの方法


- 数値化する
- 第三者からアドバイスをもらう
- 最悪のケースを想定する
- パブリックコミットメント
- 目標を小さくする
方法1.数値化する
これは営業で使えます
現状維持バイアスによって、なかなか決断できない顧客に対しては、数値化してメリットを伝えるようにしましょう。
なぜなら、数値化した方が、メリットが十分に伝わるからです。
下記の要素を数値化していきましょう。
- 本体価格
- コスト
- 生産性
たとえば、「商品を導入すれば、毎月のコストが10%カットできます!」と伝えられると、
現状維持バイアスによる恐怖がなくなり、商品を導入してもらいやすくなります。
なので、現状維持バイアスがかかっている顧客に対して“使いやすさ”や“使い心地”などの抽象的な要素で勝負するのはやめましょう。
方法2.第三者からアドバイスをもらう
第三者からアドバイスをもらうようにしましょう。
なぜなら、第三者は、現状維持バイアスの影響を受けていないため、
客観的で理性的なアドバイスをくれる可能性が高いからです。
例:プログラミングスクール
たとえば、「プログラミングスクールに通うべきだ!」と考えているものの、なかなか行動できないとする。
そんな時は、友達などの信頼できる人に相談して、理性的なアドバイスをもらいましょう。
すると、現状維持バイアスを超えた動機を発見できるかもしれませんよ?
方法4.最悪のケースを想定する
行動することによる最悪のケースを明確にしましょう。
なぜなら、現状維持バイアスの影響を受けるほとんどの人は、なんとなくリスクを感じているだけだからです。
例:ブログをスタートする
たとえば、ブログをスタートさせたいと思っているとする。
では、ブログをスタートさせることのリスクってなんなのでしょうか?
- ドメイン代が無駄になる(年間1,000円ほど)
- サーバー代が無駄になる(年間1万円ほど)
実は、これくらいなんですよね。
こう考えたら、リスクなんてないし、すぐに行動できますよね?
方法4.パブリックコミットメント
公に約束をすること
他者と“行動する”という約束をしてしまいましょう。
なぜなら、人は他者に目標などを伝えることで、「約束をはたさないと!」と感じるようになるからです。
これをコミットメントと一貫性の原理といいます
つまり、パブリックコミットメントをすることで、「現状維持バイアスに支配されている場合じゃない!」という状態を作ることができるのです。
例:ブログの毎日更新
オータニは、ブログを370日連続で更新することができました。
というのも、自身のSNSなどで「毎日更新します!」とパブリックコミットメントをしていたからです。
もしも、この約束を破ってしまったら、「オータニって口だけじゃん〜」と思われてしまいますからね。
方法5.目標を小さくする
いきなり大きな目標を実行しようとすると現状維持バイアスが発動してしまいます。
なので、目標を小さくするようにしましょう。
このような、行動を小さくするメソッドをダウンサイジングと言います。
例:オータニの場合
- 毎日3,000文字の記事を執筆
- 毎日10分の動画を撮影
しかし、これらも最初は小さい目標からのスタートでした。
- 毎日300文字の記事を執筆
- 毎日1分以内の動画を撮影(YouTubeにアップしない)
このようなスモールステップで行動を起こし続けることで、最終的に行動のレベルが上がっていきます。
もしも、ダウンサイジングから行動のレベルを上げていく方法について知りたい方は、『モチベーションを高く保つ心理戦略』を参考にしてください。
▼おすすめ図書:バイアス・ヒューリスティック▼
まとめ:現状維持バイアス
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 現状維持バイアスとは
- 現状維持バイアスの具体例
- 現状維持バイアスはなぜ発動するのか?
- 現状維持バイアスを外す5つの方法
というテーマでブログを執筆しました。
われわれがまだサバンナで生活していた時には、現状維持バイアスはものすごく大切なものでした。
しかし、現代はチャレンジすることにそこまでリスクはなく、むしろチャレンジをしないと望む未来を手にすることができない時代です。
なので、本日お伝えした4つの方法を使うことで、現状維持バイアスの影響から逃れ、あなたの望む未来を手にしましょう!
もしも、その他バイアスについて知りたい方は、下記の記事も参考にしてもらえればと思います。