フォールスコンセンサスとは、自分の意見や行動が一般的だと考える心理現象のことです。
たとえば、「〇〇ちゃんには甘いお菓子を買って帰ろう〜」とお土産を買ってきたものの、友達は甘いものが好きではありませんでした・・・
こんな経験はありませんか?
これは「自分は甘いものが好きだから、〇〇ちゃんも甘いものが好きに違いない!」と無意識レベルで勘違いしてしまった結果生じた現象です。
実は、このようなフォールスコンセンサスにより、人間関係のトラブルに巻き込まれることが多々あります。
なぜなら、他者の考えとこちらの考えに齟齬が生まれてしまうからです。では、どうすればこのようなトラブルを避けることができるのでしょうか?
というわけで本日は、
- フォールスコンセンサスとは
- フォールスコンセンサスの具体例
- フォールスコンセンサスから脱却する方法
- フォールスコンセンサスをマーケティングに活用する方法
というテーマで記事を執筆していこうと思います。
目次
フォールスコンセンサスとは
自分の意見や行動が一般的だと考える心理現象
つまり、「相手も自分と同じように考えるだろう〜」と思ってしまうことですね。
フォールスコンセンサス(False consensus effect)を日本語にすると、「False(偽り)」「consensus(合意)」となります。
※フォールスコンセンサスは、他にも「偽の合意効果」「総意誤認効果」とも言われています
フォールスコンセンサスの提唱者
フォールスコンセンサスは、1970年代にスタンフォード大学の社会心理学社リー・ロスにより提唱されました。
後ほどリー・ロスの実験を紹介します
フォールスコンセンサスの具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
例1.異性を傷つけてしまった…
こちらは褒め言葉として放った言葉が相手を傷つけることってありますよね?
たとえば、好きな女性に「〇〇ちゃんって身長高いよね!」と伝えました。
しかし、実は〇〇ちゃんは、昔から身長にコンプレックスを感じており、それが嫌だと感じていました。
このように、こちらは「モデルさんのようで綺麗だね!」という意味合いで使っていたけど、人によってはそれがよくない結果を招くこともあるということですね。
例2.どうせ自分なんて…
こちらで勝手に思い込んでいるなんてことはありませんか?
たとえば、「どうせ自分なんて上司に評価されていない…」という感じで。
しかし、それは大きな勘違いで、突然上司から「今回のプロジェクトリーダーは君だ!」なんて言われることがあったりします。
その時は、驚きが隠せないですよね。
例3.当然!!!コミュ力は大切!!!
オータニは、コミュ力UP講座というコミュニケーション力を鍛えるオンライン講座を販売しています。
しかし、結論から言うと、これはそこまで売れていません。
オータニ視点「これは絶対に売れる!」と思っていたのですが、どうやら人はそこまでコミュニケーションにそこまで困っていなかったようです。
これも明らかにフォールスコンセンサスと言えるでしょう。
フォールスコンセンサスの実験
ではここからは、1970年代に行われたリー・ロスの古典的な実験を紹介します。
サンドイッチマン実験
リー・ロスは、ある大学の学生に「サンドイッチマンの広告をぶら下げてキャンパスを歩いてくれないか?」というお願いをします。
※サンドイッチマンとは、身体に広告を貼り付ける人のことを指します
そして、その要求に同意するか?拒否するか?を回答させます。
さらに、このお願いを他の学生にした場合、その学生は同意するか?拒否するか?についても回答してもらいました。
実験の結果
お願いに同意した学生は、その他の学生も同じように同意するだろうと回答する割合が高く、
逆に、お願いを拒否した学生は、その他の学生も同じように拒否するだろうと回答する割合が高くなりました。
- 同意した学生:他の学生も同意するだろう(約60%)、他の学生は拒否するだろう(約40%)
- 拒否した学生:他の学生も同意するだろう(約30%)、他の学生は拒否するだろう(約70%)
フォールスコンセンサスはなぜ発動してしまうのか
- 安心したいから
- 投影するから
要因1.安心したいから
人は多数派に属していると感じることで安心します。
たとえば、A・B・Cという3つのプランがあった時、「70%のお客様がBプランをお選びになっています」なんて言われると、Bを選択したくなりますよね?
なぜなら、多数派の選択に信憑性を感じるからです。
つまり、「他者も自分と同じように考えているに違いない!(フォールスコンセンサス)」と考えることは、自分が多数派に属していることの証明なのです。
要因2.投影するから
人は自分の意見・価値観・信念などを無意識に他人に投影させる傾向があります。
これを、「帰属バイアス」といいます。
たとえば、「普通〜でしょ!?」と言ってしまった経験はありませんか?
これは、無意識のうちに自分の価値観を他者に投影してしまったことによる現象です。
フォールスコンセンサスに陥らないための対策
- 直接聞く
- 事実に目を向ける
- 常に自分を疑う
対策1.直接聞く
主張をする前に、相手に逐一質問をするようにしましょう。
例.営業
たとえば、営業マンが「商品・サービスの話を聞きにきたんだろう!」と思っていても、顧客は「ただなんとなく会いに来た…」という感じかもしれません。
なので、必ず「本日はどのような形でこちらにお越しになられたんですか?」と質問しましょう。
すると、押し売りになるリスクを最小限にすることができます。
対策2.事実に目を向ける
客観的な事実に目を向けるようにしましょう。
例.新商品
ただ主観の中だけで「この商品は売れるに違いない!」と思っていても、それが売れる保証はどこにもありません。
なので、実際にデータを確認したり、消費者の意見に耳を傾けることで、失敗を未然に防ぐことが可能となります。
対策3.常に自分を疑う
フォールスコンセンサスを理解して、それを常に意識するようにしましょう。
つまり、「常に自分はフォールスコンセンサスの影響を受けているんだ!」ということを意識するのです。
例.コミュ力
たとえば、前述しましたが、オータニはコミュ力UP講座というオンライン講座を販売しています。
しかし、結論、そこまで大盛況とはなりませんでした。
なぜこのような現象が起きてしまったのかというと、「みんなコミュ力は大切だと思っているに違いない!」と勘違いしてしまっていたからです。
つまり、フォールスコンセンサスの影響を受けていたからです。
なので、事あるごとに、フォールスコンセンサスの影響を意識するようにしましょう。
フォールスコンセンサスをマーケティングに活用する方法
では、ここからはフォールスコンセンサスをマーケティングに活用する方法について解説して行きますね。
結論:マーケットイン
消費者のニーズに合わせて商品を作り、提供するといった考え方
売れる商品・サービスを作りたいのであれば、プロダクトアウトの思考を捨てましょう。
そうではなく、マーケットインの思考を待ちましょう。
- プロダクトアウト=生産者側が売りたい商品を作り、提供するといった考え方
なぜなら、プロダクトアウトの視点は、不確実性が高いからです。
たとえば、「オレンジジュースをください!」と言われて、オレンジジュースを売るのは簡単ですよね?
しかし、「何か商品を売ってください」と言われ、仮に何か作ったとしても、それが売れるかどうか分からないですよね?
このように、消費者が実際に求めている商品を作り、それを販売した方が売りやすいということが言えます。
なので、高確率で商品を売りたいのであれば、マーケットインの思考でプロダクトを作成するようにしましょう。
プロダクトアウトも捨てがたい
たとえば、2007年に発売されたiPhoneですが、これはプロダクトアウトによって投下された商品と言えます。
なぜなら、「タッチスクリーンがいい!」「デザインはシンプルがいい!」なんてニーズを拾ったわけではなかったからです。
しかし、そんなマーケットインの時代にも関わらず、プロダクトアウトという手法で結果は大ヒット。
このように、プロダクトアウトとマーケットインには、どちらにもメリットとデメリットが存在するので、それを理解した上で使い分けるようにしましょう。
マーケティングで使える心理学
まとめ:フォールスコンセンサス
では最後にまとめましょう。
本日は、
- フォールスコンセンサスとは
- フォールスコンセンサスの具体例
- フォールスコンセンサスから脱却する方法
- フォールスコンセンサスをマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
フォールスコンセンサスにより、人間関係や営業、マーケティングなどでトラブルが生じてしまうことは多々あります。
しかし、事前にしっかりと対策しておくことで、それらの問題を解決することができます。
なので、フォールスコンセンサスについての理解を深め、しっかり対策するようにしましょう。