文脈効果とは、前後の文脈によって、対象の認知が変化するという心理現象です。
たとえば、リッツカールトンホテルで出されるコーラは1,000円と高いことで有名ですよね?
では、それはなぜでしょうか?
結論、目の前のコーラに、下記のような文脈が存在しているからです。
このように、我々の認知は、その対象の前後に存在する文脈によって大きく変化するということが分かります。
しかし、なぜこのような現象が発動するのでしょうか?
というわけで本日は、
- 文脈効果とは
- 文脈効果の具体例
- 文脈効果と関連のある心理学
- 文脈効果を営業に活用する方法
- 文脈効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
文脈効果とは
前後の文脈によって、対象の認知が変化するという心理現象
文脈効果は、1955年にアメリカの心理学者ジェローム・ブルーナー(1915~2006)が、論文『Journal of General Psychology』の中で提唱しました。
文脈効果とUX(ユーザーエクスペリエンス)
加えて、文脈効果は、ユーザーエクスペリエンス(User Experience)にも応用されるまでになっています。
※ユーザーエクスペリエンス=ユーザー体験のこと
疑問:なぜスターバックスのコーヒーは高いのか?
たとえば、スターバックスのコーヒーは、競合と比較するとかなり値が張りますよね?
それにも関わらず、多くのユーザーがスターバックスでコーヒーを購入しています。
では、それはなぜなのでしょうか?
結論、文脈効果によってユーザーエクスペリエンスを高めているからです。
たとえば、ゆったりできるBGM、おしゃれなインテリア、店員さんのホスピタリティー、などがコーヒー1杯の価値を高めているのです。
文脈効果の具体例
では、文脈効果の具体例をいくつかみていきましょう。
例1:真ん中の文字
さて、真ん中の文字はなんでしょうか?
きっと、上から読んだ時は「B」、横から読んだ時は「13」と解答するのではないでしょうか?
これは、“上からの文脈”と“横からの文脈”によって、真ん中の文字の認知が変化したことによる現象です。
例2:カミを取って
たとえば、A君から「カミを取って!」と言われても、トイレをしている時と、絵を書いている時では、取るべきカミが違ってきますよね?
(トイレをしている時=トイレットペーパー、絵を書いている時=画用紙)
このように、どのような状況か?によって、「カミ」への認知が変化してしまうのです。
例3:夕食とゾンビ
今晩の夕食は、あなたの大好物であるステーキです。
しかし、ふとテレビをつけると、ゾンビの映画が放送されていて、不本意にも“ゾンビが人の肉を貪るシーン”を見てしまいました。
その瞬間、大好物であるはずのステーキでさえも、食べる気をなくしてしまいます。
これは、ゾンビという文脈によって、ステーキへの認知が変化したことによる現象です。
文脈効果と関連のある心理学
- ハロー効果(後光効果)
- 代表性ヒューリスティック
- クレショフ効果
心理学1:ハロー効果(後光効果)
ある突出した特徴に引っ張られて、その他の要素が歪められてしまう心理現象
例:メガネをかけた人は頭がいい
メガネをかけている人に対して「頭が良さそう〜」「真面目そう〜」「運動できなさそう〜」と判断してしまうなんてことありませんか?
これは、「メガネ」という突出した特徴によって、「内面」が歪められて判断された結果と言えます。
心理学2:代表性ヒューリスティック
過去の経験から、連想ゲームのように処理される心理現象
例:血液型と性格
- A型=几帳面
- B型=個性的
- O型=大雑把
- AB型=二面性
血液型と性格に関して、上記のようなイメージを持っているのではないでしょうか?
だから、あるひとがA型だと知ると「ということは彼は几帳面に違いない!」と一瞬のうちに判断してしまいます。
※実際は血液型と性格の関係には、一切の科学的根拠がありません。これはメディアが植え付けたイメージと言えますね
心理学3:クレショフ効果
前後の繋がりを無意識に関連付け、意味付けをしてしまう心理現象
例:猫の気持ち
写真①と写真②をご覧ください。
では、写真①の猫と写真②の猫では、それぞれどのような感情を抱いていると思いますか?
きっと、写真①を見た人は猫に対して「警戒している」とか、中には「友達になりたがっている」なんて答える人もいるかもしれませんね。
しかし、写真②を見た人は「魚を狙っている」とか「お腹が空いている」などと答えるのではないでしょうか?
このように、並べる写真によって、猫が抱く感情への解釈が違ってくるということですね。
文脈効果を営業に活用する方法
- 見た目を意識する
- 前置きを意識する
- 営業プロセスを意識する
- ベネフィットを意識する
方法1:見た目を意識する
営業マンであれば、見た目には気を配るようにしましょう。
というのも、我々は人を見た目で判断する傾向があるからです。(ハロー効果)
例:見た目と営業成績
たとえば、あなたはどちらの営業マンからだったら、話を聞こうと思いますか?
- A:シワクチャのスーツの営業マン
- B:キレイにスーツを着こなす営業マン
迷うことなく、Bの営業マンですよね?
このように、我々は見た目によって、人を判断する傾向があるので、営業マンは特に、見た目に人いちばい気を配るようにしましょう。
もしも、見た目において、気を配るポイントを知りたい方は、『できる営業マンの見た目とは|第一印象を攻略する方法を解説』を参考にしてください。
方法2:前置きを意識する
前置きをするかしないかで顧客に与える印象は大きく変化します。
例:売れる営業マンのヒアリング
たとえば、いきなり「何か今、お困りのことなどはございますか?」と質問をしたとしても、
顧客から「は?いきなり何?」と嫌悪感を持たれてしまうこと可能性があります。
しかし、ある前置きをすることで、そのような嫌悪感をもたれずに、スムーズにヒアリングに入ることができるのです。
いくつか質問をさせていただきたいのですが〜
このような、前置きをしてから質問に入ることで、顧客を“回答モード”にすることができます。
つまり、スタンバイをさせることができるので、藪から棒な質問にならなくなるのです。
方法3:営業プロセスを意識する
顧客には、営業プロセスに相応しいアプローチをしましょう。
- 信頼
↓ - ヒアリング
↓ - プレゼンテーション
↓ - クロージング
というのも、営業プロセスとズレたアプローチをかけると、顧客から嫌悪感を持たれてしまうことにつながるからです。
例:パーソナルトレーナー
顧客の「現状」と「理想」をヒアリングせずに売り込み(プレゼンテーション)を開始したらどうなるのでしょうか?
たとえば、パーソナルトレーナーが、
- 現在の体重
- 理想の体重
- なぜ痩せたいのか?
ということをヒアリングせずに、いきなり「弊社のサービスは〜」なんてプレゼンテーションをし始めたら?
きっと、多くの人たちが「売り込まれてるぅ〜〜」と感じるでしょう。
これは、営業プロセスを無視して、売り込みを開始しているから起こる現象です。
つまり、売り込み(プレゼンテーション)を開始していいのは、「信頼→ヒアリング」という文脈を作った営業マンだけということですね。
方法4:ベネフィットを意識する
商品・サービスを購入した後の恩恵
ベネフィットという文脈から商品・サービスを提供することで、顧客はより必要性を感じてくれるようになります。
例:ワイヤレス掃除機
ワイヤレス掃除機を「ワイヤーがない掃除機なんです!」というふうに特徴を伝えても販売を成立させることは難しいと言えるでしょう。
だから、そんな時はベネフィットを強調するのです。
この掃除機はワイヤレスなので、普段は煩わしいと感じる掃除もストレスなく行うことができちゃいますよ!
このように、ベネフィット(ストレスなく掃除ができる)という文脈から掃除機を提案されると、“掃除機の話を聞く”という動機が生まれます。
そのため、プレゼン移行率も契約率も高めることができるようになるのです。
- ×商品の説明
- ○ベネフィット→商品の説明
営業で使える心理学
文脈効果をマーケティングに活用する方法
- ユーザーエクスペリエンスを意識する
- コピーを意識する
- 画像・動画を意識する
方法1:ユーザーエクスペリエンスを意識する
ユーザーエクスペリエンスを高めることで、高単価の商品・サービスを販売することができるようになります。
たとえば、スターバックスのコーヒーや、ディズニーランドの飲食品、富士山で購入するお水、などがまさにそうです。
このように、ユーザーに感動的な体験をしてもらうことで、高単価の商品・サービスを購入してもらうことが可能となります。
なので、常に「ユーザーはどうすれば感動してくれるだろうか?」という視点を持って、商品・サービスを作るようにしましょう。
方法2:コピーを意識する
読者が最初に目にする場所に“読者に響くコピー”を設置するようにしましょう。
例:2つのコピー
たとえば、下記の2つのコピーをみてください。
\\期間限定で1万円相当のメルマガを無料で配信中//
\\完全無料!1万円相当のメルマガを期間限定で配信//
上記2つのマイクロコピーに、多少違いがあるのが分かるでしょうか?
では、どちらのマイクロコピーの方がCVR(成約率)を高めることができるでしょうか?
結論、「コピー2」の方が、CVR(成約率)は高まるでしょう。
(実際に、テストしてみないと分からないが)
というのも、“無料”というコピーが、読者が最初に目にするであろう左端に設置されているからです。
※もちろん、“期間限定”という言葉も響かなくはないですが、“無料”という言葉の影響力は侮れません
方法3:画像・動画を意識する
画像や動画が商品・サービスに与える影響は計り知れません。
例1:マイナビエージェント
こちらは、マイナビエージェントさんのサイトのヘッダー画像なのですが、男子も女性もキレイな顔立ちをしていますよね?
マイナビエージェントさんに限らず、ほとんどの某有名サイトのヘッダー画像には、このような顔立ちが整った人たちが採用されています。
なぜなら、もちろん、文脈効果を使うためです。
ヘッダー画像に、顔立ちの整った人たちを掲載することで、
サイト全体の印象をポジティブにし、読者に「ここの会社にお願いしてみよう!」と感じさせることができるようになるのです。
例2:TUBAKI(資生堂)
ド直球な質問ですが、なぜシャンプーなどのCMには、キレイな人ばかり起用されるのでしょうか?
結論、文脈効果を使うためです。
キレイな人たちが、TSUBAKIのシャンプーを使っている映像を見せると、
「TSUBAKIのシャンプーによってこんなにキレイになれるんだ!」と錯覚させることができるのです。
マーケティングで使える心理学
まとめ:文脈効果
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 文脈効果とは
- 文脈効果の具体例
- 文脈効果と関連のある心理学
- 文脈効果を営業に活用する方法
- 文脈効果をマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
文脈効果は、無意識に発動するものです。
だからこそ、文脈効果を理解し、そして営業やマーケティングに効果的に活用していくようにしましょう。
(まるでシャンパンが入っているみたい)