プロスペクト理論とは|営業・マーケティングに活用する方法

プロスペクト理論とは、人は何かを得るという「利得」よりも、何かを失うという「損失」に影響を受けやすいという理論のことです。

 

たとえば、化粧品を販売する際、どちらの方が「購入しよう!」と思いますか?

  1. この化粧品を使うと、お肌がプルンプルンになります
  2. この化粧品に含まれる〇〇という成分を継続的に入れていかないと、お肌のハリが失われていってしまいます

きっと、後者の方に影響を受けた人の方が多いのでは?

このように、われわれは、「利得」よりも「損失」の方に影響を受けやすいということが分かります。

 

しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?

 

というわけで本日は、

本日のテーマ

  1. プロスペクト理論とは
  2. プロスペクト理論で大切な4つの理論
  3. プロスペクト理論を営業・マーケティングに活用する方法

というテーマでブログを執筆していこうと思います。

 

プロスペクト理論とは

プロスペクト理論
プロスペクト理論

人は何かを得るという「利得」よりも、何かを失うという「損失」に影響を受けやすいという理論

プロスペクト理論は、1979年に行動経済学者のダニエル・カーネマンエイモス・トベルスキーにより提唱されました。

ちなみに、プロスペクト理論の「プロスペクト(Prospect)」には、「予期・見通し・期待」などの意味があります。

 

プロスペクト理論の具体例

ではいくつか具体例をみていきましょう。

 

パチンコ

なぜわれわれは、パチンコで1万円負けてしまったのにも関わらず、さらにそれ以上のお金を投下してしまうのでしょうか?

それは、1万円の損を取り戻そうとするためです。

つまり、「損をしたくない!」という欲求が働くからです。

 

断捨離

「モノを捨てられない…」なんて人たちがいますが、なぜこのような現象が起こってしまうのでしょうか?

それは、モノを失うことへの恐怖を感じるからです。

つまり、「失いたくない!」という欲求が働くからです。

 

恋人と別れられない

「もうこれいじょう一緒にいたくない!」と分かっているのにも関わらず、なぜわれわれは恋人との関係をズルズル引きずってしまうのでしょうか?

それは、「現状を維持したい!」という欲求が働くからです。

つまり、「新しい恋人を探すというチャレンジ」よりも、「多少の不満があっても現状でい続けること」を選択してしまうわけです。

 

プロスペクト理論はなぜ発動するのか

結論、これは人間の本能だからです。

 

サバンナ時代の話

われわれが、サバンナで生活をしていた時、何かを失うということは「死」に直結する概念でした。

たとえば、所有している食べ物を失ってしまうと、次いつ手に入るか分からないわけです。

(昔はコンビニなんてありませんからね)

だから、手に入った食べ物をなんとしても所有し続けようとしていたわけです。

このように、われわれはサバンナ時代に培った本能によって、何かを失うという「損失」に敏感に反応するようにできているわけです。

 

プロスペクト理論の実験

では次に2つの質問に答えてみてください。

 

2つの質問に答えてみて

質問1:あなたはどちらを選びますか?

  1. 確実に9万円もらえる
  2. 90%の確率で10万円もらえる

質問2:あなたはどちらを選びますか?

  1. 確実に9万円失う
  2. 90%の確率で10万円失う

 

答え合わせ

あなたの回答は下記のような感じになったのではないでしょうか?

質問1:あなたはどちらを選びますか?

  1. 確実に9万円もらえる
  2. 90%の確率で10万円もらえる

質問2:あなたはどちらを選びますか?

  1. 確実に9万円失う
  2. 90%の確率で10万円失う

 

ではなぜこのような結果になったのでしょうか?

質問1の解説

きっとあなたは①を選択したと思うのですが、その理由は、確実に9万円を手に出来る機会を失う(損失)のが嫌だったからです

 

質問2の解説

きっとあなたは②を選択したと思うのですが、その理由は、確実に9万円失うという損失を回避したかったからです。

 

プロスペクト理論で大切な4つの概念

ではここからは、プロスペクト理論を理解するうえで大切な4つの概念について解説していこうと思います。

  1. 価値関数
  2. 確率加重関数
  3. 参照点依存性
  4. 感応度逓減性

 

①価値関数

価値関数

その人が感じる「利得」と「損失」をグラフ化したも

このように、同じ1万円でも「得る」という価値よりも、「失う」という価値の方が大きくなるわけですね。

 

損失回避倍率

「損失」は「利得」よりも1.5〜2.5倍(約2倍)も影響力があると言われています。

たとえば、「1万円を失うこと」と、「1.5~2.5万円をもらうこと」の価値はほぼ一緒だということです。

 

②確率加重関数

確率加重関数

ある対象の客観的確率と、人が感じる主観的確率をグラフ化したもの

人は実際の確率が低い時にその確率を高く見積もり、実際の確率が高い時にその確率を低く見積もる傾向があります。

 

ウイルスにかかる確率

たとえば、あるウイルスに感染する確率が50%だったとします。

しかし、「いや、俺がかかるわけない!」と50%以下の確率に見積もってしまうことってありますよね?

これは、「正常性バイアス」の影響ともいえますね。

 

③参照点依存性

参照点依存性

人の感情は自ら設定した基準(参照点)から判断するという理論

われわれは、ある対象を客観的に評価するのではなく、主観的に評価していると言えます。

 

お金を失うダメージ

たとえば、

  1. 20万円(参照点)→0円
  2. 0円(参照点)→-20万円

とどちらの方が心理的ダメージは大きいですか?

同じ20万円の損失であるのにも関わらず、明らかに後者の方がダメージがおおきいですよね。

 

おにぎりを購入する喜び

他にも、

  1. 100円のおにぎりを購入する
  2. 120円から20円値引されたおにぎりを購入する

とどちらの方が心理的喜びが大きいですか?

同じ100円のおにぎりであるにも関わらず、明らかに後者の方が心理的喜び(お得感)が大きいですよね。

このように、われわれの感情は参照点によって決まるということが分かりますね。

 

④感応度逓減性

感応度逓減性

扱う金額が増えると、利得・損失のインパクトが減少するという理論

 

感応度逓減性かんのうどていげんせいとは、

  • 感応度=感じ方
  • 逓減性=減少して行く

と言う意味になります。

 

高い・安いは関係ない?

たとえば、あなたが自宅から近い服屋Aに買い物をしていたとする。

すると、そこでは欲しいと思った服が9,000円 で売られています。

 

しかし、自宅から離れた服屋Bでは、その服が5,000円 で売られているとします。

この場合、あなただったらどちらの服屋で購入しますか?

きっと、わざわざ歩いて服屋Bでその服を購入するのではないでしょうか?

 

しかし、服の値段がそれぞれ194,000円190,000円だったらどうでしょうか?

きっと「面倒だから服屋Aで買っちゃえ!」となってしまいますよね?

このように、扱う金額が大きくなると、「損失」「利得」のインパクトが小さく感じられるのです。

 

プロスペクト理論と関連のある心理学

ではここからは、プロスペクト理論と関連性の高い心理学を5つほど紹介していこうと思います。

  1. 損失回避
  2. 現状維持バイアス
  3. 保有効果
  4. フレーミング効果
  5. サンクコスト効果

 

損失回避の法則

損失回避の法則とは、損失を回避したいという人間の欲求のことです。

※プロスペクト理論とほぼ一緒です

 

パチンコ

なぜわれわれはパチンコで1万円負けてしまったのにも関わらず、さらにそれ以上のお金を投下してしまうのでしょうか?

それは、1万円の損を取り戻そうとするためです。

つまり、「損をしたくない!」という欲求が働くからです。

パチンコで大損をこいてしまう人たちは、この損失回避に踊らされていることが多いと言えるでしょう。

【損失回避の法則】得をするより損をしたくない人間心理

 

現状維持バイアス

現状維持バイアスとは、現状を維持したいという欲求のことです。

 

「チャレンジ」=「死」

われわれがサバンナで生活をしていた時代、何かにチャレンジすることは「死」と直結した概念でした。

たとえば、「現在の集落」から「別の集落」に移動すると、移動中に猛獣に襲われたり、移動した後も予想していなかった災害に襲われる可能性があります。

 

だから、われわれはちょっと不自由なことがあっても、現状維持をし続けることを選択するのです。

たとえば

  • 起業しようと思ってもなかなか起業できない…
  • 転職を考えているけど、なかなか踏み出せない…
  • なかなかウォーキングを習慣化できない…

現状維持バイアス|変化を恐れる人間心理

 

保有効果

保有効果とは、所有しているモノに対して、不当に価値付けしてしまう心理現象のことです。

 

たとえば、「買ったもの」や「貰い物」をいつまでも捨てることができないのは、所有することでこれらの価値を高く見積もってしまっているからです。

他にも、投資の損切りができなかったり、恋愛をズルズル引きずっとしまうのも、保有効果が深く関連しています。

【保有効果】他者を依存させる心理学

 

フレーミング効果

フレーミング効果とは、同じ主張でも表現を変えることで、違う印象を与える心理現象のことです。

 

たとえば、「嫌い!」と言われるよりも、「好きではない」と言われた方がなぜか軽い印象がありませんか?

他にも、「死亡率10%の手術」と言われるよりも、「成功率90%の手術」と言われた方が手術を受ける気になりますよね?

このように、同じ主張でも表現を変えるだけで、全く違う印象を相手に与えることができるのです。

【フレーミング効果】表現を変えるだけで売上を爆上げさせる心理テク

 

サンクコスト効果

サンクコスト効果とは、特定の対象にコスト(お金・時間・労力など)をかけると、それに不当に価値付けをしてしまうという心理現象のことです。

 

男女の恋愛感の違い

たとえば、男性が女性と別れた後に引きずってしまうのは、これまでのデート代などの多くのコストをかけてきたからです。

だから、よく男女の恋愛感の違いを説明する時、

  • 男性=別フォルダを作る
  • 女性=上書き保存

なんていますよね?

 

これは、男性が女性にかけてきたコストが大きいから起こることなのです。

しかし、女性はコストをかけられている側なので、恋愛を引きずることはほとんどありません。

サンクコスト効果・コンコルド効果|損失を嫌がる心理学

 

プロスペクト理論を営業・マーケティングに活用する

ではここからは、プロスペクト理論を営業やマーケティングに応用する方法についてお伝えして行きます。

  1. 全額返金保証
  2. 期間限定割引
  3. フレーミング効果

 

①全額返金保証

「全額返金保証」という言葉って、よく見かけますよね?

たとえば、テレビショッピングなどで、

お使いいただいて満足されなかった、全額返金とさせていただきます!

と言われると、「満足しなかったら、返金すればいっか!」損失を回避できるという安心感を抱かせることが出来るのです。

 

リスク・リバーサル

ちなみに全額返金保証は、リスク・リバーサルなどとも言われており、マーケティングではよく使われる手法になります。

これにより、契約率を飛躍的に上昇させることができるようになるのです。

 

しかし、このように思われた方もいるのではないでしょうか?

「リスク・リバーサルを積極的に行うと、会社に大きな損失が出るんじゃないの?」と。

 

もちろん、返金のリスクが付きまとうので、そのような可能性も無くはないですが、実は、通販などの返金率を見てみると、たったの2~4%ほどです。

つまり、返金依頼が来るということはかなり珍しいことなんですよね。

だから、あなたの販売する商品が顧客の問題解決をする素晴らしいものであれば、積極的なリスク・リバーサルするのもアリと言えるでしょう。

 

②期間限定割引

期間限定割引とは、「3日間限定で30%のOFFとさせていただきます!」のようなものです。

期間限定割引をすることで、顧客に「この機会を失いたくない」という欲求に刺すことが出来るので、売上を高めることにつながります。

 

即決の契約率を高める

ちなみに、これはオータニが営業コンサルタントをしていた時の例なのですが、この手法は即決の契約をもらう際にも応用できます。

つまり、即決価格を用意するのです。

通常値段:300,000円

即決価格:248,000円

 

このように、即決価格を用意することで、顧客の「52,000円の割引という機会を失いたくない」と欲求に刺すことが出来るのです。

ゆえに、即決の契約をガンガン取っていくことが出来るようになるわけです。

 

その他の限定性

人は、限定されたものに不当に価値付けしてしまうという性質があります。

これを希少性の原理と言います。

だから、商品・サービスに、様々な形で限定性を設けるようにしましょう。

 

たとえば

  • 数量
  • 日数
  • 地域
  • 会員

このように、限定性を設けることで、顧客の「損をしたくない!」という欲求に拍車をかけることができます。

【希少性の原理】を営業・マーケティングに活用する方法

 

③フレーミング効果

フレーミング効果とは、同じ主張でも表現を変えることで、違う印象を与えることができるという心理効果です。

 

利得→損失

結論、利得を損失に言い換えましょう。

「利得」のトーク・ライティング

「損失」のトーク・ライティング

「利得」の表現を「損失」の表現にするだけで、オンライン上でのコンバージョン営業での承諾率などが一気に高まります。

 

化粧品

あなたは、どちらのセリフに強く影響を受けるでしょうか?

  • 利得:弊社の化粧品に含まれる成分Aはお肌にどんどんハリを与えてくれます
  • 損失:お肌に弊社商品に含まれます成分Aを与えないと、お肌のハリがどんどん失われていってしまいます

 

おすすめ本:行動経済学

 

まとめ:プロスペクト理論

では最後にまとめましょう。

本日は、

本日のテーマ

  1. プロスペクト理論とは
  2. プロスペクト理論で大切な4つの理論
  3. プロスペクト理論を営業・マーケティングに活用する方法

というテーマでブログを執筆しました。

 

プロスペクト理論は知っておくだけで、売上に貢献する理論です。

もしも、今までメリットの提示だけを意識してきたのであれば、これからは損失も意識して、トーク・ライティングしてみるようにしましょう。

 

もしも、その他の心理テクニックについて知りたい方は、下記の記事を参考にしてもらえればと思います。

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