バンドワゴン効果とは、多数派の意見に従いやすいという心理傾向のことです。
たとえば、「みんながAを選ぶんだったら、私も〜」と選択してしまったことはありませんか?
このように、我々は多数派の意見に流されてしまうことが多々あります。
しかし、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか?
というわけで本日は、
- バンドワゴン効果とは
- バンドワゴン効果の具体例
- バンドワゴン効果を営業・マーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
バンドワゴン効果とは
多数派の意見に従いやすいという心理傾向
※バンドワゴン効果は、「社会的証明」と全く一緒です
バンドワゴン効果は、アメリカの経済学者ハーヴェイ・ライペンシュタインにより提唱されました。
「バンドワゴン」とは、パレードの先頭を走る「楽隊車」のことで、「勝馬に乗る」「多勢に与する」「時流に乗る」などの意味があります。
バンドワゴン効果の具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- 行列ができたお店
- モテる人・モテない人
- SNS
- みんなと違う答え
- 投資
例1:行列ができたお店
行列ができているお店を見かけると、「すごい人気だな!きっと美味しいに違いない!」と思いますよね?
例2:モテる人・モテない人
恋愛では、下記のようなことが囁かれています。
モテる人はとことんモテる。モテない人はとことんモテない
残念な話ではありますが、これは事実です。
なぜなら、「モテモテの人」にはバンドワゴン効果により人が集まりやすいのですが、「モテない人」にはその心理が働かないため人が集まりにくくなるからです。
例3:SNS
周りの友達たちがTwitterをやり始めたから、「じゃあ興味はないけど、私もやっておくかぁ〜」とアカウントを作ってしまったなんて経験はありませんか?
他にも、これはオータニが実際に経験したことなのですが、
「ビジネスをやっている人たちは、ほぼ全員facebookをやっているよ!」と言われ、「じゃあオレもやらないと!」とアカウントを作ってしまいました。
例4:みんなと違う答え
ある数学の問題を解いているのですが、周りの友達の解答と自分の解答が違います。
その場合、仮にあなたの解答が正解だとしても、「自分が間違っているのではないか…」という錯覚を起こしてしまいます。
例5:投資
FX投資やビットコインなどの仮想通貨で損失を出してしまう人たちの共通点はこちらです。
このような思考でいると、上がりきってから買う、下がりきったら売るという結果となってしまい、利益を出すことが難しくなってしまいます。
なので、投資では群衆の動きに騙されないことが大切なのです。
バンドワゴン効果はなぜ発動するのか
- 安全の確保
- 脳のエネルギーの節約
理由1:安全の確保
結論、バンドワゴン効果は人間の本能だからです。
我々が、狩猟採集民だった時は、多数派の意見に従うことは「安全」な選択でした。
なぜなら、多数派の意見の方が正しい可能性が高いからです。
多数派の意見=安全
たとえば、集落の移動中に分かれ道があったとする。
様々なことを要素を考慮した結果、90%の人たちはAの道を通ることを選択しました。
この場合、Aを通った方が安全な可能性が高そうですよね?
なぜなら、90%の人たちが選択しているわけですから。
※もちろん、間違っているかもしれませんが
このように、我々は自分の安全を守るために、バンドワゴン効果を利用してきたのです。
理由2:脳のエネルギーの節約
バンドワゴン効果のおかげで、我々は脳のエネルギーを節約することができています。
なぜなら、「多数派の意見=正しい」と判断すれば、脳のエネルギーを使う必要がないからです。
多数派の意見=質が保証されている
たとえば、スマホを選ぶ際に、Aプラン・Bプランがあるとする。
そして、「ユーザーさんの90%の人たちがAプランを選択している!」と言われてら、それを選んでしまいますよね?
なぜなら、みんなが選んでいるということは、ある程度の「質」が保証されていることの証明となるからです。
つまり、「みんなが選んでいる=質の保証」なのです。
この思考を反射的に行うことができれば、いちいちAプランとBプランの中身を吟味する必要がなくなります。
結果、脳のエネルギーを節約できるというわけです。
バンドワゴン効果の実験
ホテルの旅行客を対象にある実験を行いました。
無作為に、旅行客たちのバスルームに、タオルを再利用してもらうためのメッセージが書かれた2種類のカードをおきます。
- 環境保護メッセージが書かれたカード
- 大多数の旅行客は滞在中に少なくとも1回はタオルを再利用してくれているというメッセージが書かれたカード(バンドワゴン効果による訴求)
そして、旅行客がどれくらいタオルを再利用してくれるどうか?を調べました。
結果、「②バンドワゴン効果による訴求を受けた旅行客」は、「①環境保護のメッセージに触れた旅行客」よりも26%もタオルを再利用していたことが分かりました。
バンドワゴン効果と類似性
さらに、同実験では「人は一体誰の行動に一番釣られやすいのか?」ということについても調べました。
そこで、先ほどの2種類のカードに「旅行客が泊まっているその部屋に以前泊まっていた旅行客の行動に関するカード」を追加しました。
- 環境保護のメッセージが書かれたカード
- 大多数の旅行客は滞在中に少なくとも1回はタオルを再利用してくれているというメッセージが書かれたカード
- 過去にその部屋に泊まった旅行客の大多数は滞在中に少なくとも1回はタオルの再利用に協力してくれたというメッセージが書かれたカード
そして、旅行客がどれくらいタオルを再利用してくれるどうか?を調べました。
結果、③の旅行客は②の旅行客よりも再利用する数が多く、③は①よりもタオルを再利用する数が33%も多くなりました。
この実験から、バンドワゴン効果を強化するためには、「類似性」も利用した方がいいということが分かりました。
人は多数派の意見に従うのですが、さらにそこに「似たところ」があると、より大きな影響を与えることができるということですね。
バンドワゴン効果と関連した心理学
- スノッブ効果
- ヴェブレン効果
バンドワゴン効果、スノッブ効果、ヴェブレン効果は、いずれもアメリカの経済学者ハーヴェイ・ライペンシュタインが、
1950年に論文『消費者需要理論におけるバンドワゴン効果・スノッブ効果・ヴェブレン効果』の中で提唱した概念になります。
消費者が商品を選択する際に、他者の影響を受けるという概念のこと(他者依存性)
つまり、我々は、時に他者の影響から消費行動を起こすことがあるということですね。
スノッブ効果
多くの人たちが持っているモノの価値を低く見積もる心理現象
簡単に説明すると、「自分↔︎多数派」という感じです。
例:会員限定
たとえば、「会員限定!」などと言われると心が躍りますよね?
なぜなら、多くの人たちが手に入れていない限定品を、自分だけが手にいれることができるという感覚を味わうことができるからです。
ヴェブレン効果
価格が上昇するほど、需要が上昇するという心理現象
簡単に説明すると、「自分→高価なモノ」という感じです。
例:ブランド物
たとえば、高額であるにも関わらず、GUCCI、CHANEL、BVLGARIなどのブランド品が売れてしまうのはヴェブレン効果によるものです。
これは、他者に見せびらかしたいという心理が働いていると言えます。
バンドワゴン効果を営業・マーケティングに活用する方法
- 「多くの人が〜」という言葉を使う
- 画像で表現する
- 似ている人を引き合いに出す
- 人気ランキングを使う
- お気に入り数を表示する
- こちらが望む規範に注意を向ける
方法1:「多くの人が〜」という言葉を使う
人は「多くの人が〜」という言葉に弱いです。
この言葉を使われた瞬間にすぐさま、バンドワゴン効果の本能が呼び覚まされるからです。
「だったら、私もそれにする!」というふうに。
たとえば、「本」はある程度売れると「10万部突破!」などの帯がついたりしますが、これもバンドワゴン効果を使った戦略ですね。
ポイント:「数字」を使う
ここでのポイントは、「多くの人が〜」という言い方も悪くはありません。
しかし、これだと表現が抽象的で、イメージがわかない人もいるでしょう。
だから、数字を使った具体的な表現するようにしましょう。
- 「80%の人たちがリピートしています」
- 「70%の人たちはこちらのAプランをお選びになりますね」
このように、数字を使うことで、イメージしやすくなり、信憑性も一気に高まります。
なので、バンドワゴン効果を使う際は、数字も一緒に添えるようにしましょう。
方法2:画像で表現する
「たくさんの人たちから選ばれているんだろうなぁ〜」と感じる画像を使うようにしましょう。
なぜなら、画像を使ってビジュアル化した方が、その人気を一瞬で理解させることができるからです。
これは、ページを一瞬で判断されるLP(ランディングページ)や広告などで使えます。
なので、ページの精読率やクリック率・成約率に大きく貢献するでしょう。
方法3:似ている人を引き合いに出す
似ている人を引き合いに出すと、さらにバンドワゴン効果の力を強化することができます。
なぜなら、「私と似た人たちがやっているのであれば、大丈夫か!」と更なる安心感を与えることができるからです。
たとえば、顧客が40代の女性であれば、下記のように伝えましょう。
弊社の商品は、〇〇さんのような40代女性からも広く支持していただいております
※LP・販売ページなどでは、ターゲットに合わせたライティングを心がけましょう
このように、自分と似た人たちが成果を出せているのであれば、「じゃあ私にもできるかも!」と自信を持ってもらうことができるようになるのです。
方法4:人気ランキングを使う
人気ランキングを使うことで、その商品の購入率を高めることができます。
たとえば、大手ECサイト楽天市場では、トップページに人気ランキングが表示されています。
上記の画像は、ビジネス・経済・就職という部門の本のランキングです。
もしも、このランキングを見たら、「1位の本だったら間違いない!買っちゃおう〜」となり、購入率を上げることができます。
他にも、ブログサイトでも、人気の記事ランキングなどがありますが、デイリー、ウィークリーで1位の記事などはなんとなく覗いてしまいますよね?
方法5:お気に入り数を表示する
ユーザーがたちの「お気に入り数」を表示させることで、人気感を醸成することができます。
大手ファッション通販サイトZOZOTOWNには、「お気に入り登録」という機能があるのですが、商品ページにその数を表示させるようにしています。
上記の服は、22067人のユーザーがお気に入り登録をしているようですね。
なので、もしもこの数を買い物をしようと考えているユーザーが見たら「これだったら信用できるし、購入しよう!」と感じてしまいます。
実際は、「お気に入り数」と「質の良さ」には相関関係はないのですが、数の力で「良い商品に違いない!」と勘違いしてしまうのです。
方法6:こちらが望む規範に注意を向ける
「有害な行為」にではなく、「望ましい行為」に導くための規範に目を向けさせましょう。
ちょっとイメージがわかないと思うので、実験を2つほど紹介します。
実験:大学生に「飲酒」を控えさせるには
ここでは、何かをさせるのではなく、控えさせるためのコツをお伝えします。
そこである大規模な実験をご紹介しましょう。
たとえば、あなたが大学の委員会から依頼を受けて、学生がアルコールを飲みすぎないようにするための掲示板を作成するとする。
その場合、次の2つのメッセージのうちどちらの方が効果的だと思いますか?
- 最近の調査で、本キャンパスでは、驚くほ多くの学生がアルコール過剰摂取していることが分かりました。飲みすぎには注意しましょう。
- 最近の調査で、本キャンパスでは、ほとんど多くの学生が注意しながらアルコールを飲んでいることが分かりました。引き続き飲みすぎに注意しましょう。
実験の結果、②の方がはるかに効果があることが分かりました。
まとめ:バンドワゴン効果
では最後にまとめましょう。
本日は、
- バンドワゴン効果とは
- バンドワゴン効果の具体例
- バンドワゴン効果を営業・マーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
バンドワゴン効果は、ものすごく大きな影響を与える心理テクニックです。
なので、まだ販売戦略に入れていないのであれば、すぐにでも導入するようにしましょう。