感情ヒューリスティックとは、感情に従って判断や意思決定してしまう現象のことです。
たとえば、多くの人が詐欺被害に遭ってしまうのは、詐欺師がめちゃくちゃ良い人だからです。
それにより、詐欺師へポジティブな感情を抱き、普通に考えたらあり得ない商品・サービスのポジティブな側面ばかりが目についてしまうのです。
このように、我々は、感情(好き・嫌い)によってある対象を判断してしまうということが分かりますね。
しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか?
というわけで本日は、
- 感情ヒューリスティックとは
- 感情ヒューリスティックを営業に活用する方法
- 感情ヒューリスティックの罠から脱却する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
感情ヒューリスティックとは
感情に従って判断や意思決定してしまうという心理現象
別の言い方をするのであれば、「好き・嫌い」で全てのことを決めてしまう心理現象とも言えますね。
感情ヒューリスティックの具体例
ではいくつか具体例をみていきましょう。
- 飛行機の墜落事故
- 晴れの日と雨の日
- 売れる営業と売れない営業
例1:飛行機の墜落事故
あなたはテレビのニュースで、飛行機の墜落事故について知りました。
しかし、その日は沖縄へ旅行するために飛行機を使ったとする。
すると、飛行機が墜落するリスクばかりに目が向けられるようになります。
- 飛行機にネガティブな感情を抱く
↓ - 飛行機事故のリスクに目が向けられる
例2:晴れの日と雨の日
経済学者のハーシュライファーとシャムウェイの研究によると、午前中に晴れると日中の株式市場は上昇するということが分かりました。
つまり、晴れの日には「買い」が増えるということですね。
あなたにも、晴れの日にはポジティブな感情になり、雨の日にはネガティブな感情になったりした経験はありませんか?
このように、天気によって株式市場にも影響を及ぼすのです。
(ちなみに、雨の日には「売り」が増えるということではないようです)
- 天気が晴れる
↓ - ポジティブな感情になる
↓ - 「買い」が増える
例3:売れる営業と売れない営業
売れる営業マンはやはり「人柄」を大切にします。
なぜなら、多くの顧客は無意識のうちに、営業マンにポジティブな印象を持つか、ネガティブな印象を持つかで、商品の購入を決めているからです。
つまり、営業マンに良い印象を持てばその商品にも良い印象を受けますが、悪い印象を持てばその商品にも悪い印象を受けるのです。
- 営業マンにポジティブな印象を持つ
↓ - 商品にもポジティブな印象を持つ
感情ヒューリスティックの実験
オレゴン研究所のポール・スロビックの研究チームは、感情ヒューリスティックに関するある実験を行いました。
被験者に、水道管へのフッ素添加、化学プラント、食品防腐剤、自動車など様々な技術についての個人的な好き・嫌いを言ってもらいます。
そして、それぞれのメリット・とリスクを書き出すように指示しました。
ある技術に対して好感を抱いている場合は、メリットを高く評価し、リスクはほとんど考慮せず、
一方、ある技術に対して嫌悪を抱いている場合は、リスクを高く評価し、メリットはほとんど考慮されないという結果となりました。
このように、感情には一貫性が働くということが分かりますね。
感情ヒューリスティックを営業に活用する方法
では、ここからは感情ヒューリスティックを営業に活用する方法について解説していきます。
- ベネフィットを見せる
- 笑顔を意識する
方法1:ベネフィットを見せる
商品・サービスを購入した後の恩恵
我々が販売しているのは、商品・サービスではありません。
では、何を販売しているのでしょうか?
結論、商品・サービスを購入した後の恩恵です。
なので、営業マンは、「商品・サービスを購入後にどのような未来を手にすることができるのか?」について言及しながら、商品・サービスを勧めなければなりません。
たとえば、ダイエットサプリを販売するのであれば、「痩せて綺麗になる!そして、男性からモテモテになる!」という未来を販売していたりします。
他にも、クラウド型の会計ソフトを販売しているのであれば、「会計に使うコスト(時間、労力)をカットする!」という未来ですね。
このように、購入後の未来を具体的に見せることで、顧客の感情はポジティブにし、それにより契約率をアップさせることができるのです。
方法2:笑顔を意識する
営業では、たびたび「笑顔が大切だ!」なんて言われますが、この言葉を侮ってはいけません。
研究:ミシガン大学
被験者に、三枚ある写真のうち一枚を、100分の1秒以下という短い時間光らせて見せます。
- 笑顔の写真
- 怒った写真
- どちらでもない写真
そして、被験者にどれか一枚の写真を見せたあとで、無作為に選ばれた漢字を見せて、その「好き・嫌い」を答えてもらいます。
ほとんどん被験者は、「笑顔の写真」を見せた時は、その後の漢字を好きと答える傾向にあったのです。
このように、笑顔を見ただけで、その後の対象へ印象もポジティブなものになることが分かりました。
つまり、営業では、笑顔を意識することで、「あなた」や「商品」への印象も良くすることができるということです。
感情ヒューリスティックの罠から脱却する方法
感情ヒューリスティックは、我々をネガティブな結果へと導くこともあります。
たとえば、笑顔という仮面を被った詐欺師に騙されたりなど。
というわけで、ここからは感情ヒューリスティックの罠にかからないようにするための方法について解説していきます。
- 感情ヒューリスティックを理解する
- 感情の逆を考える
方法1:感情ヒューリスティックを理解する
まずは、この記事を繰り返し読んで、感情ヒューリスティックを理解しましょう。
なぜなら、感情ヒューリスティックを理解することで、メタ認知できるようになるからです。
※メタ認知=自分を客観的に見つめる
たとえば、詐欺師に遭遇した場合、感情ヒューリスティックを知らなければ、騙される確率が大幅に上がります。
しかし、感情ヒューリスティックを理解していたら、「これは感情に支配されているな!」と思考することが出来るので、騙される確率を大幅に低下させることが出来るのです。
方法2:感情の逆を考える
今の自分の感情と逆の感情を持ってみるようにしましょう。
たとえば、詐欺師が良い人だと判断すれば、その人が扱う商品・サービスも良いものだと勘違いしてしまいます。
なので、その場合は、目くじらを立てて商品・サービスをみるようにしましょう。
なぜなら、そうすることで、「サービスの欠陥」「現実味」「緊急性の低さ」などを発見することができるようになるからです。
たとえば、ある人に見た目の印象で嫌悪感を感じたとする。
つまり、理由が明確ではない嫌悪感を抱いたということですね。
すると、その人の嫌なところしか目につかなくなってしまいます。
なので、その場合は「この人の良いところを探そう!」と思うようにしましょう。
すると、意識しなければ発見することができなかった良いところを見つけることができるようになります。
まとめ:感情ヒューリスティック
では最後にまとめましょう。
本日は、
- 感情ヒューリスティックとは
- 感情ヒューリスティックを営業に活用する方法
- 感情ヒューリスティックの罠から脱却する方法
というテーマでブログを執筆してきました。
感情ヒューリスティックを理解することで、感情に支配されない理性的な思考・行動をすることがきます。
なので、「我々は常に感情に支配されているんだ!」と考えながら行動するようにしましょう。