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ブーメラン効果とは|説得するほど離れていく心理学

ブーメラン効果とは、説得されればされるほど、逆の態度・行動をとってしまうという心理効果です。

たとえば、親に「勉強しなさい!」と言われると、勉強する気が失せたりしたことってありませんか。このように、説得は相手を変えるうえで非常に大切ではありませんが、実は逆効果になったりすることが多々あります。

しかし、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。本記事では、ブーメラン効果が発動する心理学的理由、またそれを営業やマーケティングに活用する方法などを紹介していきます。

というわけで本日は、

本日のテーマ

ブーメラン効果とは|説得するほど離れていく心理学

というテーマでブログを執筆していこうと思います。

ブーメラン効果とは

ブーメラン効果

説得されればされるほど、逆の態度・行動をしてしまうという心理効果

ブーメラン効果(Boomerang Effect)は、心理学やコミュニケーション研究において、説得や影響力を用いた試みが意図とは逆の結果を招く現象を指します。つまり、人々が意図された方向とは反対の意見や行動をとることで、説得の努力が逆効果になることがあります。

ブーメラン効果を緩和するためには、説得の戦略を適切に選択し、相手の立場や感情を尊重することが重要です。また、信頼性の高い情報源を提供し、説得のプロセスに対する抵抗を減らすことが役立ちます。

ブーメラン効果と経済学

経済学におけるブーメラン効果は、政策や規制が意図された結果とは逆の結果を招く現象を指します。これは、政策立案者が市場の動きや経済主体の反応を十分に予測できなかったり、予期しない副次的影響が生じたりすることが原因で起こります。

以下に、経済学におけるブーメラン効果の例をいくつか挙げます。

  1. 価格規制:価格上限や下限を設定する政策が、しばしば意図しない結果をもたらします。例えば、家賃規制が低い家賃を維持することを目指していても、供給不足や質の低下を招くことがあります。また、価格下限(最低賃金制度)が労働者の所得を向上させることを目指している場合でも、雇用の減少や非正規雇用の増加につながることがあります。
  2. 税制改革:税率を変更する政策が、しばしば予期しない影響を与えます。例えば、所得税率を増加させることで、タックス・イールド・カーブ(税収曲線)がピークを過ぎ、実際の税収が減少する場合があります。これは、高い税率が労働意欲を低下させ、タックス・イーベイション(税逃れ)を促すためです。
  3. 輸入規制:輸入品に関する規制や関税が、国内産業の保護を目指している場合でも、逆効果となることがあります。例えば、輸入規制により国内産業が競争力を失い、イノベーションが阻害されることがあります。また、報復措置として他国が同様の規制を行うことで、国際貿易全体が減少する場合もあります。

経済学におけるブーメラン効果を避けるためには、政策立案者が市場の動きや経済主体の反応を正確に予測し、副次的影響を慎重に評価することが重要です。また、政策実施後の効果を定期的に検証し、必要に応じて修

ブーメラン効果の具体例

では、いくつか具体例をみていきましょう。

  1. 親子関係
  2. ダイエット
  3. SNS

事例1:親子関係

親が子どもに厳格なルールを課すことで、子どもが反発し、逆に規則に従わない行動をとることがあります。例えば、遅くまで外出禁止というルールを設けると、子どもが秘密裏に遅くまで外出するかもしれません。これは、子どもが自分の自由が制限されていると感じ、反発心理が働くためです。

事例2:ダイエット

ダイエット中に食事制限を厳しく行うと、空腹感やストレスが溜まり、結果的に過食や間食に走ってしまうことがあります。これは、過剰な制限が反発心理を引き起こし、自制心が弱まるためです。適度な制限とバランスの良い食事が、長期的なダイエット成功につながります。

事例3:SNS

SNSで強烈な意見や主張を展開すると、意図せず相手を遠ざけたり、意見の相違から対立が激化したりすることがあります。特定の意見を強制することで、相手が反発し、逆に自分の意見に反対する立場を強めることがあります。対話や意見交換を通じて理解を深めることが、効果的なコミュニケーションにつながります。

ブーメラン効果の実験

ブーメラン効果を説明する実験の一例として、カール・ホヴランド(Carl Hovland)とアーヴィング・ジャニス(Irving Janis)が1950年代に行った研究が挙げられます。この研究では、禁煙キャンペーンの効果について調査しています。研究の概要は以下の通りです。

  • 研究対象:被験者は喫煙者で、喫煙の危険性に関する情報を提示されることになります。
  • 実験の手法:被験者は2つのグループに分けられます。一つのグループには、喫煙の危険性に関する情報が穏やかなトーンで提示されます。もう一つのグループには、同じ情報が非常に強烈で恐ろしいトーンで提示されます。
  • 研究の結果:穏やかなトーンで情報を提示されたグループの喫煙者は、禁煙への意識が高まり、禁煙を試みる可能性が高くなりました。しかし、強烈なトーンで情報を提示されたグループの喫煙者は、反発心理が働き、禁煙への意識が低下しました。このグループでは、ブーメラン効果が明らかになりました。

この実験は、説得の方法やトーンが、受け手の反応に大きな影響を与えることを示しています。強烈な説得が逆効果になることがあり、相手の立場や感情を尊重し、適切なアプローチを選ぶことが重要です。初心者にも分かりやすく、ブーメラン効果の実例として説明することができる実験です。

ブーメラン効果が発動する理由

ブーメラン効果が発生する理由は、人間の心理学的側面に根ざしています。以下に、ブーメラン効果が発動する心理学的な理由をいくつか挙げて説明します。

  1. 心理的反発
  2. 否定的情動
  3. 自己確認バイアス
  4. 同一性の維持

理由1:心理的反発

人間は自由が制限されると感じると、その制限に反発し、制限された行動や選択肢に対して逆に魅力を感じることがあります。これは、心理的反発と呼ばれる現象で、ブーメラン効果の根本的な原因となります。

理由2:否定的情動

強烈な説得や制限が与えられると、受け手は不快感や怒りを感じることがあります。これらの否定的な感情は、受け手が説得者や提案された行動に反発することを促す可能性があります。

理由3:自己確認バイアス

人間は、自分の信念や意見を支持する情報を探しやすく、その逆の情報を無視しやすいという傾向があります。これは自己確認バイアスと呼ばれる現象で、説得や制限が信念に反する場合、ブーメラン効果を引き起こす可能性があります。

理由4:同一性の維持

自分のアイデンティティや所属グループに対する忠誠心から、異なる意見や価値観を持つ人々に対して反発することがあります。これは、自分のアイデンティティやグループの結束力を維持しようとする心理的な要因からくるものです。

ブーメラン効果が働く条件

ブーメラン効果が働く条件や状況は様々ですが、以下にいくつかの一般的なシチュエーションを挙げて説明します。

  1. 強い信念や意見がある場合
  2. 自由が制限されると感じた場合
  3. 強制的いな説得や制限
  4. 否定的な感情を引き起こす場合
  5. アイデンティティや所属グループに関連がある場合

条件1:強い信念や意見がある場合

個人が強い信念や意見を持っている場合、異なる意見や情報が提示されても、逆に自分の信念を強化する傾向があります。このような状況では、ブーメラン効果が働く可能性が高くなります。

条件2:自由が制限されると感じる場合

説得や制限が人々の自由を侵害すると感じさせる場合、心理的反発が働き、逆効果となることがあります。このような状況では、ブーメラン効果が発生しやすいです。こちらは先ほど紹介した心理的反発の内容になります。

条件3:強制的な説得や制限

説得や制限が強制的であり、受け手に選択肢や自主性を与えない場合、ブーメラン効果が発生しやすくなります。これは、受け手が自分の意志を尊重されていないと感じるためです。

条件4:否定的な感情を引き起こす場合

説得や制限が受け手に不快感や怒りを引き起こす場合、ブーメラン効果が働く可能性があります。否定的な感情は、受け手が説得者や提案された行動に反発することを促します。

条件5:アイデンティティや所属グループに関連する場合

説得や制限が個人のアイデンティティや所属グループに関連している場合、忠誠心や結束力を維持しようとする心理から、ブーメラン効果が発生しやすくなります。

ブーメラン効果を営業に活用する方法

では、ここからはブーメラン効果を営業に活用する方法をいくつか紹介していきます。

  1. 消費者の選択肢を提示する
  2. 事前の信頼関係の構築

方法1:消費者の選択肢を提示する

顧客に製品やサービスの選択肢を提示し、彼らに自由に選択させることで、ブーメラン効果を活用できます。これにより、顧客は自分の意思で選択を行ったと感じ、自社製品やサービスに対する満足度が向上し、継続的な関係が築ける可能性が高まります。

たとえば、「AプランとBプランでしたら、どちらがよろしいでしょうか?」というように二択で質問を迫るクロージングは、心理的反発を生みにくくなります。

方法2:事前の信頼関係の構築

やはり営業を行っている以上、少なからず強引になってしまうこともあるでしょう。しかし、それにより、心理的反発が生まれ、不買に繋がってしまうことになります。ではどうすればいいのでしょうか。

結論、事前に信頼関係を強化していれば、顧客の心理的反発を小さくすることが可能になります。極論になりますが、たとえば、”初めて会った知らない誰か”と”あなたの信頼する友達”だったら、どちらの方が心理的反発が少ないでしょう。明らかに後者ですよね。なので、営業では、必ず信頼関係の強化を怠らないようにしましょう。

ブーメラン効果をマーケティングに活用する方法

では、ここからはブーメラン効果を営業に活用する方法をいくつか紹介していきます。

  1. お試し期間やサンプル提供
  2. 限定版商品や期間限定セール
  3. インフルエンサーの活用

方法1:お試し期間やサンプル提供

顧客に製品やサービスのお試し期間やサンプルを提供することで、ブーメラン効果を営業に活用できます。これにより、顧客は制約のない状況で製品やサービスを試すことができ、満足すれば購入する可能性が高まります。また、お試し期間やサンプル提供が終了する際に、顧客がそれを失うことを恐れて購入を決断することもあります。

方法2:限定版商品や期間限定セール

たとえば、スターバックスの「季節限定フラペチーノ」は、ブーメラン効果を利用したマーケティング戦術の良い例です。季節限定商品は、期間限定でしか入手できないため、消費者は「今しか手に入らない」という印象を持ちます。これにより、消費者は逆にその製品に魅力を感じ、購入意欲が高まります。

方法3:インフルエンサーの活用

インフルエンサーに商品を紹介してもらうことで、心理的反発を最小化することができるようになります。なぜなら、インフルエンサーが「私も使っているんですよ」とファンに伝えることで、押し売り感がなくなるからです。自身の尊敬するインフルエンサーが使っているのであれば、「私も使ってみよう!」と思うようになりますからね。

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まとめ

本日のテーマ

ブーメラン効果とは|説得するほど離れていく心理学

世の中には、「想いを伝える営業」が流行っており、ゴリゴリにプッシュする営業が当たり前になっています。

しかし、「だから売れない」ということを理解してください。

自分の想いばかりを伝える「独りよがりな営業」をするのではなく、顧客のことも考えた営業をしていきましょう。

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