代表性ヒューリスティックとは、過去の経験から、連想ゲームのように処理される心理現象のことです。
たとえば、本を読んでいる人を見て「あの人は頭が良いに違いない!」と思ったり、低身長の人がスポーツをしていると聞くと「体操選手なのかな?」と想像したりします。
このように、我々は過去の経験から、連想ゲームのように想像することが多々あります。
しかし、なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
というわけで本日は、
- 代表性ヒューリスティックとは
- 代表性ヒューリスティックの具体例
- 代表性ヒューリスティックを営業に活用する方法
- 代表性ヒューリスティックをマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆していこうと思います。
目次
代表性ヒューリスティックとは
過去の経験から、連想ゲームのように処理される心理現象
代表性ヒューリスティックの具体例
では、いくつか具体例をみていきましょう。
- 身長とスポーツ
- 血液型と性格
- ガラスを割った犯人
例1:身長とスポーツ
たとえば、友達が「私の彼氏、身長180センチあるの〜」と言ってきたとします。
さらに、話を聞いていくと、どうやらスポーツをやっているそうです。
さて、彼氏はなんのスポーツをやっている可能性が高いでしょうか?
きっと、多くの人たちは「バスケットボール?」「バレーボール?」と思うでしょう。
これは、「身長が高い→バスケットボール」という連想ゲームが脳内で一瞬にして行われたからです。
例2:血液型と性格
- A型=几帳面
- B型=個性的
- O型=大雑把
- AB型=二面性
血液型と性格に関して、上記のようなイメージを持っているのではないでしょうか?
だから、あるひとがA型だと知ると「ということは彼は几帳面に違いない!」と一瞬のうちに判断してしまいます。
※実際は血液型と性格の関係には、一切の科学的根拠がありません。これはメディアが植え付けたイメージと言えますね
例3:ガラスを割った犯人
朝、学校に登校すると2階のガラスが割られていました。
先生たちは犯人を突き止めようとするわけですが、次のうちガラスを割った可能性が高いのはどちらの生徒でしょうか?
- 勉強熱心なA君
- 不良のB君
きっと、多くの人は「B君」と答えるでしょう。
なぜなら、「不良→悪いことをする」という連想ゲームが一瞬で行われたからです。
しかし、勉強のストレスが溜まっていたからという理由で、「勉強熱心なA君」がやった可能性も考えられますよね?
代表性ヒューリスティックをさらに理解する
では、ここからは代表性ヒューリスティックを理解するために、有名な実験と事例を紹介していきます。
- リンダ問題
- 平均への回帰
リンダ問題
被験者に「リンダ」という女性のプロフィールを読ませました。
リンダは、31歳の独身女性。外交的でたいへん聡明である。専攻は哲学だった。
学生時代には、差別社会主義の問題に強い関心を持っていた。また、反核運動に参加したこともある。
次に、被験者に対して下記の質問をしました。
- リンダは銀行員ですか?
- リンダはフェミニスト運動に熱心な銀行員ですか?
結果、被験者の全員が口を揃えて「フェミニスト運動に熱心な銀行員」だと答えたのです。
これって面白い結果ですよね?
なぜなら、「フェミニスト運動に熱心な銀行員」である可能性は「銀行員」である可能性を必ず下回るからです。
①は②を含みますからね。
では、なぜこのようなエラーが起きてしまったのでしょうか?
それは、リンダのプロフィールの中にある「独身女性」「差別社会主義の問題」「反核運動」などの要素に引っ張られたからです。
平均への回帰
良いことも、悪いことも最終的には平均へ回帰するという概念のこと
行動経済学者のダニエル・カーネマンが、イスラエル空軍の訓練教官に、訓練効果を高めるための心理学を指導していた時の話です。
カーネマンは、訓練教官たちに、このように指導しました。
失敗を叱るよりも、能力向上を誉める方が効果的だ
参考図書:ダニエル・カーネマン著『ファスト&スロー-上-』
※空軍などでは「叱る」のが当然とされています
褒めても、叱っても一緒
一体、カーネマンのこの指導にはどのような意味があるのでしょうか?
結論、「誉めても叱っても結果は同じ」ということを意味しています。
つまり、上手くいった後は、前より上手くできなくなり、上手くいかなかった後は、前よりも上手くできるということです。
勘違いから生まれた教育
たとえば、ある練習で上手くいかなった訓練生がいたとします。
すると、教官は怒鳴り散らすわけですが、別に怒鳴る怒鳴らないに関係なく、次回は前よりも上手くいくできる可能性が高いわけです。
しかし、それを教官は「怒鳴ったかいがあった!」と勘違いをしてしまうのです。
だから、このような厳しい訓練では、たびたび「叱る→成果が出る!」という誤った代表性ヒューリスティックが発動してしまうのです。
このように、我々は、統計を無視して因果関係を誤ってしまうことが多々あります。
代表性ヒューリスティックを営業に活用する方法
- 見た目を意識する
- 言葉を意識する
- 話し方を意識する
方法1:見た目
これらのことを、上司から言われることがあると思いますが、これは代表性ヒューリスティックが関係しています。
今、営業活動をしている人は、当たり前にしていることだと思いますが、この記事を読んでより一層意識してもらえればと思います。
方法2:言葉を意識する
たとえば、「マジで〜」「くそですよね〜」「キモイっすよね〜」という言葉を使う営業マンに対してどのような印象を抱くでしょうか?
きっと、悪いイメージを抱くでしょう。
なぜなら、ネガティブな言葉を使うと、直感で「この人は不誠実に違いない!」と感じてしまうからです。
なので、言葉をしっかり選んで営業をするようにしましょう。
営業トークを学ぶよりも、言葉選びに慎重になった方が、売上が上がるかもしれませんよ?
方法3:話し方を意識する
営業では、「説得力」が非常に大切です。
では、説得力を高めるためには何をすればいいのでしょうか?
結論、「なぜなら〜」という接続詞を使いましょう。
というのも、人は「なぜなら〜」という接続詞を聞くだけで、相手に説得力を感じるということが科学的に分かっているからです。
もしも、説得力を高めるフレームワークについて知りたい方は、『PREP(プレップ)法とは|論理的な文章を書くフレームワーク』を参考にしてください。
代表性ヒューリスティックをマーケティングに活用する方法
- 高単価戦略
- 松竹梅戦略
方法1:高単価戦略
人は、高単価なモノほど質が良いと勘違いしてしまうという性質があります。
※これをヴェブレン効果といいます
ビジネス駆け出しの人たちは、「自信がない…」という理由から低価格で販売してしまいがちですが、高単価にすることで逆に売上が上がる可能性もあります。
なので、もしも今必要以上に低価格で販売されている方は、相場よりも少し高い金額に設定してみるのもありますね。
方法2:松竹梅戦略
人は、3つのうち真ん中のものを選びやすいという性質があります。
※これを、ゴルディロックス効果といいます
疑問:なぜ真ん中を選ぶ
結論、「真ん中=無難」という代表性ヒューリスティックが働くからです。
もっと、厳密に言うと、上位商品と下位商品には、それぞれデメリットがあるからです。
なので、結果、中間の商品が選ばれやすくなるのです。
例:コンサル業
このように、プランを3つ用意すると、真ん中が選ばれやすくなるのです。
基本、最上位の商品は、生贄として設置されることが多く、真ん中を選ばせるための戦略とされています。
なので、もしもまだプランが1〜2しかない人は、最上位のプランを作成することをオススメします。
まとめ:代表性ヒューリスティック
では最後にまとめましょう。
本日は
- 代表性ヒューリスティックとは
- 代表性ヒューリスティックの具体例
- 代表性ヒューリスティックを営業に活用する方法
- 代表性ヒューリスティックをマーケティングに活用する方法
というテーマでブログを執筆しました。
人は多くの場合、代表性ヒューリスティックのような直感で行動しています。
なので、代表性ヒューリスティックを理解し、これを利用することで、大きな売上を作ることができるでしょう。
代表性ヒューリスティックという概念は少し難しいですが、何度も繰り返し読んで理解してもらえればと思います。